日本の歴史、政治

昭和天皇と第二次世界大戦 (5)国民の意識

第二次世界大戦末期の米国の世論は、昭和天皇に対して険悪であり、「世論の国」である米国としては、昭和天皇の戦争責任に対してどのような対処をとるか、苦慮していたようです。 ギャラップ社が1945年6月に米政府の依頼で行った非公開の調査結果によれば、…

アメリカから見た第二次世界大戦 (2)

「アメリカが中国やアジアにおける列強の利権を守る為に、日本に対して戦争を仕掛けた」という説がありますが、実はアメリカは、ヨーロッパ列強の植民地支配や帝国主義を支援していた事はありません。 例えば、戦後オランダがインドネシアを去ったのは、アメ…

昭和天皇と第二次世界大戦 (4)穏健派•宇崎一成

秦郁彦氏の『昭和天皇五つの決断』によれば、 『本庄日記(*¹)、原田日記(*²)など天皇の生野声を記録した文献で見ると、天皇は、(1)軍縮賛成、(2)満州事変反対、(3)軍司令の権限強化反対、(4)国際連盟脱退に不賛成、(5)日ソ不可侵条約賛成、(6…

昭和天皇と第二次世界大戦 (3)軍の暴走を支えたもの

昭和天皇が支持した「天皇機関説」は、天皇の地位を議会と等しくするものです。 明治憲法は「天皇は国の元首にして統治権を総攬し」としながら「この憲法の条規によりこれを行なう」と運用上の制約を課していました。具体的には、法律、勅令、詔勅などが効力…

昭和天皇と第二次世界大戦 (2)2・26事件(下)

皇道派にとって、天皇の親政政治を目指した「昭和維新」が、昭和天皇その人の強い反発と怒りを買ったことは全くの計算外だったようです。昭和天皇は伏見宮を通した「昭和維新の大詔渙発」などの上伸にも、「自分の意見は宮内大臣に話し置いてある」「宮中に…

昭和天皇と第二次世界大戦 (1)2・26事件(上)

昭和天皇の「戦争責任」が追及されなかったのは、GHQの占領にとって都合が良かったからという見方が、左翼・右翼両側からなされています。そういった一面があった事は否定しませんが、終戦当時のアメリカの世論は、昭和天皇の戦争責任を追及する声が強く、GH…

狂信的ナショナリストたちが、いかに日本を傷つけているか

2013年、ディプロマット誌は、過去に対する日本の謝罪が忘れられてしまう原因を、歴史論争が中国や韓国によって政治問題へ発展してしまった点を挙げて書きましたが、同時に、日本側の問題点として、歴史修正主義者・ナショナリストの言動があるとし、靖国参…

オバマの謝罪がもたらすもの

日本側の意見として、「70年前の原爆投下に関して、何とか米国大統領からの謝罪を受けたい」、「日本こそ被害者である」という感情論がありますが、オバマ大統領の広島訪問の予定を受けて、保守派メディアや世論は、「広島や長崎の被害者に対して哀悼の意を…

フーバー回想録---『Freedom Betrayed』とマッカーサーの「歴史観」

第二次世界大戦当時のアメリカの政策に対する批判の声が、アメリカ側にも無いわけではありません。特に有名なのは、歴史家のチャールズ・ビヤードやハーバート・フーバー元大統領ら「Isolationist (一国平和主義)」などによる反ルーズベルト大統領を掲げる方…

ディプロマット誌も認める「政治論争」としての「歴史論争」

2013年に書かれたディプロマット誌の記事を再読する機会に恵まれました。 以下はその和訳(部分)です。 thediplomat.com ------------ 『歴史の議論』は、日本が近隣諸国に対する過去の侵略戦争を一度も誤ったことが無いという前提で常になされている。(とこ…

マッカーサー発言の誤解と保守派の「内ゲバ」

私は、日本の愛国保守派の多くに「歴史の事実」と受け入れられている知識が、実は「歴史の事実」と呼べるものではなく、「日本人であることに誇りを感じられる」事を目的とした、いわば『目的を持った歴史認識』であること、そして残念ながらこの『歴史認識…

国家指導者として...英霊を祀る心(2)

3月23日、約一月ほど前のことですが、ブリュッセルのテロの後に発表されたイスラエルのベンジャミン・ネタヤフ首相の反テロリズムのメッセージを発しました。 www.youtube.com ----- 「私は、最近ブリュッセルで起きたテロ攻撃の犠牲となられた方々のご家族…

英霊を祀る心

「日本が戦った戦争が侵略戦争だとすれば、『英霊』は『英霊』でなくなるのでしょうか」というご質問を頂きました。保守派政治家として知られ、靖国神社参拝もされた安倍首相が、「侵略」という言葉を使われ、言葉は違うものの、村山元首相が出された談話の…

「国家権力」による弾圧を主張する田母神氏の往生際

田母神元幕僚長の逮捕に際して、ご自身は「国家権力にはかないません」とツイートをされました。 戦後生まれの田母神氏にとって殆どご自身ではご存じでない筈の、戦前の日本については良い国だと弁護をされていますが、田母神氏に言わせれば、現在の日本は国…

オバマ広島訪問に期待する、非現実的な『核の無い世界』

ケリー国務長官の広島訪問を受けて、オバマ大統領の広島訪問が取り沙汰され、70年前の原爆投下への謝罪を期待する声が、多くあるようです。 オバマ大統領の広島訪問、及び、謝罪をもって、『核の無い世界』への第一歩だとする考えには、私は強く反対致します…

安倍談話「事変 •侵略•戦争」 中西氏への反論 ⑥ (最終)

「日本は侵略戦争を起こさなかったのか」 中西氏への反論 ⑥ (最終) --- 『日本が絶対に「侵略」と認めてはならないのは、次の四つの理由があるからである。 第一は、何と言ってもそれは歴史の事実ではないからである。このことを実証的、歴史学的に論じる…

「安倍談話と慰安婦合意は、ナチスのホロコーストに該当する戦争犯罪を犯したと認める事になる」のか? 中西氏への反論 ⑤

中西氏の「日韓合意」に対するご不満や不支持はともかく、「安倍談話と慰安婦合意は、ナチスのホロコーストに該当する戦争犯罪を犯したと認める事になる」というご意見に、反論を致します。 ⑤、 --- 『実際、八月に出された「七十年談話」と十二月の「慰安婦…

「安倍晋三は果たして保守なのか」 中西氏への反論 ④

中西氏の「日韓合意」に対するご不満や不支持はともかく、中西氏は安倍首相が「保守かリベラルか」という問いかけをされていますので、中西氏の記事を引用して、保守派とは何か考えたいと思います。 ④、 --- 『ネット空間では、「安倍晋三は果たして保守なの…

慰安婦非難決議121号とトルコ反発に関する誤解、中西氏への反論 ③

中西輝政氏の「さらば安倍晋三、もはやこれまで」の記事を、いくつかに分けて引用させて頂いた上で、事実誤認と思われる点を指摘したいと思います。 ③ --- 『巷間、「アメリカの圧力」を云々する声がある。そこには「アメリカの声は天の声。だから仕方がない…

現れ始めた日韓合意の効果

産経新聞ロス支局の中村記者の報道によれば、昨年末結ばれた日韓政府による慰安婦問題の最終的解決を謳った合意を、全米で初の慰安婦像が設置されているグレンデール市のアヤ•ナジャリアン市長が、歓迎する意向を明らかにしたようです。 【歴史戦】慰安婦像…

国破れて頑迷あり 中西氏への反論 ②

『今回の日韓合意に際しては、北朝鮮の核実験とミサイル発射が迫っているというタイミングでアメリカから日韓双方に対し合意への圧力があった以上、安倍首相は安全保障を優先して慰安婦問題で大幅譲歩したのはやむを得ない、正しい選択だった、とする保守派…

「さらば理性、もはやこれまで」 中西氏への反論 ①

中西輝政氏の「さらば安倍晋三、もはやこれまで」の記事を、いくつかに分けて引用させて頂いた上で、見解の違いを述べたいと思います。 --- 『実際、「安倍談話」と「日韓慰安婦合意」は、歴史観をめぐるこの数十年にわたる日本の保守陣営の戦いにおいて、ま…

ブローカード・コンヴェンションを恐れるトランプ陣営の脅迫と#NeverTrump

『ブローカード・コンヴェンション(或いはオープンド・コンヴェンションとも呼ばれます)』となれば、一般投票の結果に拘束されない共和党選挙人による投票となる為に、ドナルド・トランプ氏にとっては有利に働かないことを今までにも述べて参りました。 ト…

トランプ氏によってもたらされた共和党分裂の危機 4月5日ウィスコンシン州選挙

火曜日夜開票されたウィスコンシン州での共和党オープン・プライマリー選挙で、テッド・クルーズ議員が52.9%の得票率で勝利を収めています。 ウィンスコンシン州での結果をもって、クルーズ議員の選挙人獲得の合計は505人となりました。 首位を走るトランプ…

ホワイト・ハウスの検閲

オバマ大統領とフランスのオランド大統領が木曜、ワシントンで会合を開き、テロリズムに対する対抗戦略を話し合いました。 しかしながらホワイト・ハウスは、オランド大統領の使った『イスラム教テロリズム』という言葉が気に入らなかったようで、ホワイトハ…

デマゴーグ(煽動的民衆指導者)としてのドナルド・トランプ

「その他全ての煽動者と同じく、トランプ氏は彼の嘘を、支持者の忠誠心を試すテストとして用いている。彼は支持者らが精神的に深くそれを信じ込み、それに従う以外の選択肢がなくなるまで、彼の描く『作り話』を信じるように強要している。」 ドナルド・トラ…

ドナルド•トランプの引き際

一連のトランプ氏の言動や、トランプ氏の資質を鑑みて、トランプ氏が果たして本心から大統領となりたいと考えているのかを疑問に思う声が、メディアから出ています。 この疑問は、私も感じていたことですが、ナショナル・レビュー誌が、過去のトランプ氏の自…

元妻が語る、ISISリーダー、アブ・バクル・アル・バグダディ

ISISのリーダーであるアブ・バクル・アル・バグダディの元妻が語った、彼との結婚生活に関する記事です。 nypost.com 彼女は世界で一番危険なテロリストと結婚していた、しかしながら、彼女の夫がISISのリーダーであった事には気づかなかったと言う。 アブ・…

植民地支配について考える (3) イギリス連邦の場合

ここでまた問題となるのが、民族の自決、或いは民族主義(ナショナリズム)と呼ばれるものです。 何度か以前も書きましたが、実は、ナショナリズムというものは、19世紀のヨーロッパで誕生した概念であって、それまではヨーロッパの国々でさえも、支配者(支配…

植民地支配について考える(2) アステク、インカ、マヤの場合

白人による侵略によって民族浄化され、絶滅した場合があったかどうかを考えてみます。 一般的に、白人によって植民地化された国、帝国、或いは地域は、統治した国と比較した場合、発達していない地域であって、時には未開の非文明国でもあります。 アメリカ…