トランプを弾劾・罷免し、再選の道を閉ざせ

トランプの行なった事は何だと定義したら良いだろう。トランプが大統領でなければ「クーデター」と呼ばれた類いかもしれない。時期大統領バイデンの選出プロセスをとどめる為に彼が支持者らを嗾けた事は否定できない。ところがトランプ自身が米国政府を代表する大統領である。選挙に敗れた現役大統領が選挙によって当選した次期大統領選出プロセスを阻む為に、支持者らを首都議事堂に嗾けた前例など米国史には無い。

尤もトランプは、彼の支持者らが警察官の殺害や警官何十人かを入院させるに至る程の暴行を行ない、また自身の選んだ副大統領ペンスや、ペロシ下院議長、マコーネル上院議長などの殺害を叫び、制止を破り議事堂に乱入すると考えていただろうか。ライフルを抱え、ペンス副大統領やペロシ下院議長の射殺を呼びかける暴徒が議事堂に乱入し、パイプ爆弾や火炎瓶が民主党全国委員会本部と共和党全国委員会本部付近から発見されている。審議中の議会への乱入は、一人の警官が身を挺して2分間の時間稼ぎをした為に、議員らが無事に避難出来た後となったようだ。

ベン・サシー共和党上院議員がホワイトハウス側近に聞いた話によれば、暴徒乱入の様子がテレビで放映される間トランプは、支持者らが自分の為に立ち上がった事を喜び、側近や陣営関係者がなぜ自分と同じように議事堂で起きている様子に歓喜していないのか理解できなかったらしい。

https://www.nytimes.com/2021/01/09/us/pelosi-threat-Cleveland-Grover-Meredith.html?smtyp=cur&smid=tw-nytimes

https://www.toocool2betrue.com/the-simpsons-predicted-the-future/?utm_source=tw-infinite2&utm_template=infinite2&utm_campaign=tc-tw-us-d-simposonsdidit-21.01.10-skd_n_91_is2&utm_medium=tc-tw-us-d-simposonsdidit-21.01.10-skd_n_91_is2

当初、トランプが暴力的反乱を煽動しているつもりが無かったとして、もし彼らがバイデン次期大統領就任前に、ペンス副大統領やペロシ下院議長、マコーネル上院議長、シュマー上院副議長、及びバイデン次期大統領、またハリス次期副大統領を殺害してバイデン新政権誕生を阻止した場合、トランプは果たしてその違法性、暴力性、国家への裏切りと民主主義への攻撃を厳しく咎め、そのような暴徒のもたらす『政治目標』との関わりを絶とうとしただろうか。実際にトランプ支持者らは、バイデンが大統領として就任する1月20日に首都に結集する事を計画しているが、もし暴徒化した支持者らがトランプに「盗まれた選挙を取り返したら」トランプはそれを喜んで受け取り、大統領自由勲章の一つや二つを送ったのではないだろうか。
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   議会に乱入する暴徒化したトランプ支持者たち「マイクペンスを首吊りにしろ」と叫んでいる

暴徒による議事堂乱入の様子や二桁に上る入院が伝えられていた時に、トランプは自分の支持者たちが議事堂を襲う姿にすっかり感心して見入っていたようだ。複数の側近らによれば、議事堂で起きている襲撃を生中継するテレビに見入っており、側近らの強い勧めにもすぐには耳を貸さなかったという。トランプはその途中、暴徒の乱入によって、共和党議員らが怯えてしまい、バイデン選出への反対票を投じられなくなるかもしれないと心配したらしい。ケリアン・コンウェイ、ケヴィン・マッカ-シー、イヴァンカ・トランプ、ジェアード・クシュナー、クリス・クリスティー、リンゼイ・グラハムらの説得によって、トランプが暴徒に対して家に帰るように勧めるツイートを送るのは、議事堂乱入からおよそ二時間が経過していた時だ。

「あなた方の痛みはわかっている。あなた方の傷もわかっている。我々は選挙に勝ったのに、それを取り上げられてしまったのだ。これは大勝利の選挙であり、本当は全ての人が認めている事です。特に民主党は知っています。これは不正選挙でした。ですが反対者の手に乗ってはなりません。平和を保たなければなりません。家に帰りましょう。あなた方の事は愛しています。あなた方はとても特別な人々です。」

トランプ氏の口調に暴徒の不法行為や暴力性を咎めるトーンは全く感じられない。事もあろうに、暴徒の不満に同調し、怒りの炎にガソリンを注いでいるのだ。ツイッターはすぐさまこのビデオを「暴力を煽動する」として削除する。

それからしばらくしてトランプ氏が自ら進んで投稿したツイートは更に酷い。

「これらの事柄や出来事は、神聖な圧倒的選挙勝利が、実に長い期間に渡って酷く不公平に扱われてきた偉大な愛国者たちから、無作法に、凶暴に取り上げられてしまった時に起こるのだ」

トランプのツイートには、国旗を使用して議事堂警察らを殴打し、バイデン選出を行なおうとする副大統領や議長らに危害を加えて審議を阻止しようとする暴徒らへの支持、感謝すら見えてこそすれ、非難など全く感じられない。こうした考えこそ、トランプの本心なのだ。トランプ政権内では、トランプ支持者らによる議事堂乱入を以て、運輸省長官と教育省長官の閣僚二名が辞任する。また補佐官などが次々辞任し始める。
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暴徒化したトランプ支持者らにより引きずり出され、国旗でもって殴打される警察官。この警察官が殉死したブライアン・シクニック氏かどうかは不明。 

(https://twitter.com/bellingcat/status/1348288680474128384?s=09)

閣僚、補佐官らの辞任、またTwitterのアカウント停止がプレッシャーをかけたのか、翌日ホワイトハウスにおいて、トランプは短く演説する。『人質ビデオ』のような不自然さを持つこの演説において、トランプは支持者らを「犯罪者」と呼び非難するが、これは計画そのものがトランプの考えを基にしたものでもなく、その言葉も心からの言葉でない事は、明らかである。実際、補佐官らの言葉を記した報道によれば、翌日のトランプは、暴徒化した支持者を非難しつつ秩序ある政権移行を約束した演説を後悔し、大統領の職を辞めるつもりが全く無い事を明確にしたと言う。バイデン就任式への欠席をツイートした金曜日、トランプ氏のツイッターアカウントは、暴力を煽動する恐れがあるとして停止された。自身のアカウントが停止された事に怒りを燃やしたトランプは、その後『トランプ陣営』のアカウントら別の3つのアカウントから怒りをツイートしたようだが、ツイッターはこれをモグラ叩きのゲームのように次々と停止させる。

https://www.washingtonpost.com/politics/trump-mob-failure/2021/01/11/36a46e2e-542e-11eb-a817-e5e7f8a406d6_story.html

https://www.sltrib.com/news/nation-world/2021/01/07/trump-concedes-some-call/

https://www.nytimes.com/2021/01/08/us/politics/democrats-trump-impeachment.html

トランプ擁護者たちは次々に、ジョージ・フロイトの死をきっかけとした左派による暴動を持ち出して、トランプ支持者による反乱が一日で終わり、放火も無く、死者も少ない事で事件を相対化しようとしている。

春から夏の間中、アメリカの各地で、ブラック・ライブズ・マターやアンティファのメンバーらによるデモンストレーションや暴動、放火や略奪が続いた事はその通りだ。シアトルの一角はアンティファが『自治区』を宣言し、ポートランドでは連邦政府の建物が放火されたり放火などの攻撃の対象となった。各地では歴史的偉人の像がデモ隊や活動家らによって取り壊され、奴隷解放戦争を行なったリンカーン大統領の像や、元奴隷でありながら初の副大統領候補となったフレデリック・ダグラスの像などが破壊された。メディアや民主党支持者らはこの様子を「黒人の感じる怒りを受け止めるべきだ」「黒人が怒るのは当然なのだ」と容認し、圧倒的大多数の黒人コミュニティーが警察による地域へのパトロールの増加を求めていたにも関わらず、「警察組織解体」を掲げた事は記憶に新しい。

一部左派による度を越した警察や法の秩序への攻撃に怒った保守派は「ブラック・ライブズ・マター」に反抗する形で「ブルー・ライブズ・マター(警察の命も価値がある)」や「オール・ライブズ・マター(すべての人の命には価値がある)」を掲げていた。警察組織を敵視する左派に対して、右派は『法の支配』を訴えていたのだ。

ところが暴徒化したトランプ支持者は、誤った犠牲者精神と愛国心、また群集心理に駆り立てられ、何十人もの議事堂警察官らを襲い、法による手続きを阻止して、自分たちの政治目的を達成しようとした。「警察による黒人への扱いに差別や暴力性が見られる」と主張し、国旗掲揚や国家斉唱の際に跪くNFL選手を批判していたトランプ支持者は、民主主義手続きが行なわれている議事堂を守る警察官を国旗によって殴打したのだ。

私はここで、左派による暴動を過小評価したり擁護するつもりは全くない。但しブラック・ライブズ・マターやアンティファらによる抗議運動、暴動、略奪、放火、殺人などの犯罪と、米国議事堂への襲撃とは、もたらす意味が違う。何ヶ月も続いた左派による暴動には、何百、何千の直接の被害者がいる。比較して6日の反乱の被害者は5人、自殺を含めれば6人、しかしながら著しい被害を被ったのは米国の民主主義であり、政治システムであり、しかも副大統領や議長らの殺害を叫ぶ反乱を率先したのは、大統領その人なのだ。
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議事堂に乱入した暴徒の通過を防ぎ、議員たちが避難する時間稼ぎをする警察官ユージーン・グッドマン

自分たちが正しいと信じる政治目的達成の為には、或いは仲間の為には、どのような手段を使っても許されるのだろうか。不当に扱われているという怒りが溜まれば、暴力や不法行為は正当化されるのか。そうではない。偽りや暴力、不法行為などは、本人がどのように崇高な目的を持ち、正しいと信じても、容認されるべきではない。BLMが行なってもMAGAが行なっても同様である。『基本に立つ』『原則を守る』とは、同じ物差し、同じ秤で測る事を意味するからだ。

ベンガジ事件は911テロを記念する9月11日に、在リビア米国大使館を襲ったイスラム教過激派によるテロ事件である。当時のオバマ政権は、反米感情の高まりを感じ、警備の補強を要求した米大使の警告を無視する。この事件の為に4人のアメリカ人が虐殺されたのだ。しかもオバマや当時国務長官であったヒラリー・クリントンらは「事件の背後にはイスラム教に批判的な映画がある」と嘘をつき、映画製作者を別件逮捕させた。事件の真相が判明するにつれ、特に保守派や共和党支持者から批判が高まり、ヒラリー・クリントンの政治生命は大きな打撃を受けた。

1月6日の議事堂を襲った反乱での死者は、ベンガジ事件を一人上回る5人となった。ベンガジ事件は反米イスラム教徒のリビア人らによるアメリカへのテロ攻撃であったが、今回の反乱は、大統領自らが何ヶ月も前から支持者に対して「選挙が盗まれた」と嘘をつき、法的プロセスを阻止させる為に彼らを議事堂に嗾けた結果なのだ。

反乱を煽動した責任をトランプに求めようと、民主党下院議員らはトランプを弾劾する計画を立てている。これに対し何人かの共和党議員やトランプ擁護者らは「弾劾は怒り狂っているトランプ支持者たちを更に怒らせ、国の分断を悪化させる」と反対している。共和党下院議員らは連名でバイデンに対し、ペロシを説得して弾劾を思いとどまってくれるよう嘆願している。これは卑怯な甘えでしかない。彼らが嘆願し、説得するべきは本来、自分たちが庇い続けるトランプではないか。トランプが国に対して、選挙に不正工作は無かった事を認め、支持者に対して嘘をつき続けた事、偽りによって「選挙を盗もうとしていた」事を謝罪するべきなのだ。勿論、トランプが自分の虚言を認める事は決して無いだろう。数か月もの間、選挙についての嘘をつき、自身の副大統領の殺害さえ計画させるような反乱を嗾け、死者5人を含む数十人が死傷した事件を起こしながら、秩序ある政権移行を誓った翌日にはその約束を後悔し、決して大統領の職を辞任する事は無いと明言するような人物に、自省などあり得ない。
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        民主党はインチキを行なったというボードを掲げるトランプ支持者

トランプに投票した人々の票は奪われていない。民主主義は奪われていない。システムは機能していたのだ。支持者の怒りには、理由が無いのだ。虚言によって偽りの怒りと被害者意識を植え付け、或いは濡れ衣を着せ、互いに敵対するように仕向けた責任を、トランプは必ず負わなければならない。嘘には支払われるべき代価が伴う。トランプは自身が政界に残り、再立候補する事を示唆しているようだが、その道は絶対に閉ざされなければならない。弾劾裁判、罷免は当然である。

共和党が真に一致といやしを願うならば、民主党と共に、トランプ再選の道を閉ざさなければならない。

https://twitter.com/JanNWolfe/status/1348327073773985802?s=20 

(暴徒化した支持者乱入の様子)

https://twitter.com/59dallas/status/1346963199778828290?s=20

(「マイク・ペンスはどこだ」と叫びながら乱入する暴徒化した支持者)

https://twitter.com/joshscampbell/status/1347749675777011714?s=20

(暴徒化した支持者らによりドアに挟まれる警察官)