大統領選挙:証拠の無い陰謀論を流布する人々

11月3日の大統領選挙において、トランプ現大統領がバイデン元副大統領に敗北して一か月が経過した。自身の敗北を認めないトランプ大統領とその選挙陣営は、40を超す訴訟を激戦区の州に次々と起こしたが、ペンシルバニア州で起きた100票以下を争う(*)訴訟を除いて、その全てが裁判所により棄却されたり、或いは陣営によって取り下げられている。(*この訴訟は、身分証明を伴わず投票しようとた人々に、3日の投票期間延長を与える権限が州務長官にあるかを争った訴えである。身分証明を示さず投票しようとした人々は、同州内で100人に満たないと見られている。)

11月12日には、米国政府内のCISA(サイバーセキュリティー・アンド・インフラストラクチャー・セキュリティー・エージェンシー)が2020年の大統領選挙について、「アメリカの歴史上、最も安全公正の確保された選挙であった」と公式声明を発表し、12月1日には、トランプ政権のウイリアム・バー司法庁長官がAPのインタビューに答える形で、2020年の選挙について「選挙結果を覆すような不正工作は無かった」と述べている。

https://www.cisa.gov/news/2020/11/12/joint-statement-elections-infrastructure-government-coordinating-council-election

https://time.com/5911518/2020-election-most-secure-history/

https://apnews.com/article/barr-no-widespread-election-fraud-b1f1488796c9a98c4b1a9061a6c7f49d

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     選挙結果が覆った証拠は無いと答えるウイリアム・バー司法庁長官

ジョージ・W・ブッシュ元大統領や、その弟のジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事、2012年には共和党大統領候補であったミット・ロムニー上院議員やスーザン・コリンズ上院議員、ベン・サッシー上院議員や、マサチューセッツのチャーリー・ベーカー州知事、ヴァ―モントのフィル・スコット州知事、ユタのスペンサー・コックス州知事、またトランプ政権では国家安全保障問題担当補佐官を務めたジョン・ボルトン元国連大使など、錚々たる共和党政治家の面々がバイデン次期大統領に祝意を表し、トランプ勝利を主張して止まないトランプ陣営と立場を異にするのは、選挙結果の如何が、共和党対民主党、或いは保守派対リベラル派といった政治趣向とは関係が無いからだ。

https://www.forbes.com/sites/andrewsolender/2020/11/23/these-are-the-republicans-who-have-acknowledged-bidens-victory/?sh=39607cf1597d

トランプ弁護団も訴えていない「組織的不正工作」

「不正工作によって選挙結果が盗まれた」などという主張には、証拠が全く無い。実際に注意深く読めば、トランプ弁護士団はどの法廷においても「不正工作」を訴えていない。むしろ「不正工作は無かった」と同意しているのだ。トランプ陣営のコーリー・ランゴーファー弁護士はアリゾナ州マリコパの法廷において、「我々はこの訴訟で、不正工作を訴えているのではありません。我々は誰それが選挙を盗んだ等と主張しているのでもありません。我々は、混乱の中、悪意の無い誤りが発生し、いくつかの票が数えられない不公平があったかもしれない事を問うているのです」と述べている。またペンシルバニア州の法廷では「不正行為、及び不正工作が行われた証拠は無い」と、文書に署名している。

https://www.wsj.com/articles/trump-cries-election-fraud-in-court-his-lawyers-dont-11605271267

https://lawandcrime.com/2020-election/trump-campaign-attorneys-admit-there-is-no-evidence-of-any-fraud-in-connection-with-challenged-ballots-in-bucks-county-pa/

https://www.washingtonpost.com/politics/2020/11/19/trumps-own-lawyers-keep-undermining-his-voter-fraud-claims/

ツイッターや記者会見、インタビューで何を主張しようと偽証罪に問われることは無い。宣誓の上での主張ではないからだ。ところが宣誓をした後の発言に虚偽があれば、偽証罪に問われる。トランプ陣営が言葉の使い分けをしている事を無視し、法廷での発言よりもソーシャルメディアでの主張を鵜呑みにするような人々は、真実について興味を持っているとは言い難い。こういった人々は、法律や政治について語らない方が良いのではないだろうか。

さて、不正を訴えるトランプ陣営への反論として特に注目を浴びたのが、ペンシルバニア州の裁判所が下した、トランプ陣営によるバイデン勝利を取り消す要求への判決だ。この訴訟は、11月21日土曜日朝、ペンシルバニア中部地区連邦裁判所のマシュー・ブラン連邦判事によって『最終的(With Prejudice)』に退けられている。英語の判決文は『With Prejudice』という言葉を使っているが、多種の英語圏メディアの日本語訳では、何故かこれを「偏見を以て」と訳している。Prejudiceの意味として「偏見」という役が最も頻繁に使われているからだろうが、判決などに用いられる法的用語の意味として、With Prejudiceは、「最終的に」と訳されるのが正しい。裁判においては、原告側の訴えを却下する場合でもDismissal Without Prejudiceの場合は、同じ問題について再び訴えを起こす事ができる。これに対しDismissal With Prejudiceの場合は、「同問題について同じ訴えを再び起こす事を禁じる」と意味する。日本語では「既判力」すなわち、『前の確定裁判でその目的とした事項に関する判断につき、当事者は後の裁判で別途争うことができず、別の裁判所も前の裁判の判断内容に拘束されるという効力』と言われる。但しこれは必ずしも控訴を禁ずるものではない。控訴の場合でも、同じ訴訟内容を新たに訴え直す事は出来ない。

実際にトランプ陣営は、日曜にフィラデルフィア第三巡回控訴裁判所に上告をしているが、控訴内容は、先にペンシルバニア中部地区連邦裁判所に提出した「開票所の職員らが、主にバイデンへの不正票と見られる郵送票を加算する為に、オブザーバー達を排除した」という訴えの訂正受理を要求しているだけだ。

陰謀説を流布する人々

ブラン判事の判決は、「原告側は(700万人近い有権者からの票を無効かする)法的根拠を示す事が出来なかった」とし、陣営の主張は「論拠に乏しく推測にすぎない」「フランケンシュタインの怪物のように、適当に(部分部分を)つなぎ合わせたものである」と厳しい。

ブラン判事の言うように、部分部分をつなぎ合わせ作られる怪物は、何もフランケンシュタインだけではない。陰謀説と呼ばれる説は、大抵、都合の良い事実の一部を憶測でもってつなぎ合わせたものに過ぎない。

2020年の大統領選挙の結果が民主党による共謀工作によって覆されたという主張は、敗北を認められないトランプ氏の流す、悪質な陰謀説でしかない。そして敗北した場合トランプ氏がこのように反応する事は、選挙前から多くの人々によって予測されていた。トランプ氏が立候補を表明してから今まで、選挙は一つしかなかった訳では無い。トランプ氏は、自身がテッド・クルーズ上院議員に敗れた2015年の共和党アイオア州予備選挙でも「不正工作によって選挙が盗まれた」と主張し、票の数え直しを主張していた。2016年の大統領選挙においては選挙人投票によって当選したものの、一般票において約300万票ヒラリー・クリントン元国務長官に敗れた事を受けいれられず、選挙が工作されたと今に至るまで繰り返し主張してきたのだ。

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トランプ陣営による「民主党によって選挙が盗まれた」という主張は、11月19日にはシドニー・パウエル弁護士によって「ヴェネズエラのウゴ・チャヴェス(2013年に死去)、キューバや恐らく中国など共産主義の資金と、ドミニオン投票機の操作によって選挙結果が何百万とトランプ大統領からバイデン氏へ盗まれたという、更に大掛かりな国際的陰謀論に変わっていく。しかもパウエルは、共和党州知事や州務長官を含む全米何千もの公務員らがトランプ票をバイデン票に変える計画に関わり、実行したと主張する。勿論、主張だけで何の証拠も提示していない。ドミニオンのCEOは「ドミニオンはカナダと米国に拠点を構える会社であり、キューバや共産圏の選挙にかかわった事はない」と声明を発表している。名誉棄損の訴訟も視野に入れているのだろう。

https://www.wsj.com/articles/fake-claims-about-dominion-voting-systems-do-real-damage-11606755399

https://www.washingtonpost.com/investigations/sidney-powell-trump-kraken-lawsuit/2020/11/28/344d0b12-2e78-11eb-96c2-aac3f162215d_story.html

https://reason.com/2020/11/23/was-sidney-powells-conspiracy-theory-too-crazy-even-for-donald-trump/

こうした陰謀論には、さすがにトランプ氏に近いフォックス・ニュースのタッカー・カールソンなども「証拠が無い」とし、クリス・クリスティー元ニュージャージー州知事に至っては11月22日にトランプ弁護団の主張を「国家の恥さらし」と厳しく批判した。同日、元ニューヨーク市長で、トランプ氏の私的弁護士を務めるルディー・ジリアーニとジェナ・エリス弁護士は共同声明で「パウエル弁護士はトランプ弁護団の一員ではない」と発表する。(パウエル弁護士が弁護団の一因である事はトランプ氏本人が11月14日にツイートをしていた。但しパウエル弁護士を切る事で、これらの「狂っている」と揶揄される陰謀説からトランプ陣営が距離を置いたとは言い難い。ジリアーニ本人が同様の陰謀説を繰り返しているからだ。

https://www.newsweek.com/giuliani-claims-allies-venezuelan-government-manipulated-ballots-latest-push-overturn-election-1548823

パウエル弁護士と、トランプ派の弁護士としてジョージア州を訴えたリン・ウッド弁護士は、共にジョージア州の上院選挙をボイコットするよう、共和党支持者らに訴えている。ウッド弁護士は証拠を提示する事無くトランプ氏が7割の得票で当選したと主張し、ジョージア州選出の共和党上院議員候補2名が同州選挙結果への正式捜査を要求しないならば、選挙資金の寄付や彼らへの投票をするべきではないと共和党支持者らに呼び掛けているが、この2議員が落選すれば、上院は民主党が多数派政党となる。こうした行き過ぎに、スティーブ・バノンがCEOであったブレイトバート誌なども「ウッド弁護士は民主党への寄付や投票を何十年も続けてきた」と、ウッド弁護士が隠れた民主党支持者であるかのような批判をしている。

https://www.thedailybeast.com/trumpist-lawyers-lin-wood-tell-georgia-republicans-dont-vote-in-the-senate-runoff

https://www.breitbart.com/politics/2020/12/02/records-lin-wood-decades-voted-donated-democrats-including-barack-obama-david-perdues-2014-opponent/

https://www.politico.com/amp/news/magazine/2020/12/02/the-conspiracy-theory-that-could-hand-joe-biden-the-senate-442415?__twitter_impression=true&fbclid=IwAR0G99Gg_8KedaUpfcOyOksuK4ZulqEngV8tM9J4UAV1LQK3Rya4Iea96JM

またパウエル弁護士がミシガン州を相手取った訴訟で、不正の目撃者として採用した証言者は「ミシガン州のエディソン郡で不審な工作を目撃した」と証言しているが、ミシガン州にエディソン郡という郡は存在しない。不審であるのは証言者の方である。また同州を相手取った訴訟でジリアーニ弁護士が採用した不正行為の証言者は、泥酔状態にある為か呂律が回らず、ジリアーニ弁護士の阻止も無視して、質問しようとする共和党州議員に対して食って掛かっている。(本人は泥酔状態で無かったと否定)ちなみにこの証言者は2918年にコンピューター犯罪を犯したとして2019年9月から一年間の保護観察処分にあった。呂律の回らない元犯罪者による「3万票余りの誤りを見た」「死んだ人が投票した」という証言を、どこまで信じる事が出来るだろう。

https://twitter.com/NumbersMuncher/status/1334338794502451200?s=20

https://www.dailymail.co.uk/news/article-9015555/I-WASNT-drunk-Rudy-told-shush-says-star-witness-Trumps-voter-fraud-claim.html?ito=social-twitter_dailymailus

トランプ氏の当選を信じ、組織的不正工作を主張する人々は、「ドミニオン投票機」や「共産主義者の陰謀」云々だけではなく、一つの陰謀説が論破されると、反省を見せる事なしに、別の陰謀説を主張し始める。トランプ自身はジョージア州において署名と投票用封筒の一致確認がなされていなかったと主張するが、ジョージア州では署名と封筒の一致確認は二度なされてから計算される。またペンシルバニア州では、申請された不在票用紙の数(約190万)よりも、数えられた不在票(250万)の方が多かったという主張がトランプ氏らによって広められているが、これは6月に行なわれたプライマリーと呼ばれる予備選挙での不在票用紙の申請数と、大統領本選での不在票を混同しているからだ。予備選での不在票申請は約190万あり、返却され計算された投票数は約150万票ある。250万票とは、本選での300万票分の不在票申請に対して、返却され、計算された数である。

https://www.usatoday.com/story/news/factcheck/2020/11/28/fact-check-pennsylvania-ballot-claim-mixes-primary-general-election-data/6450032002/

https://www.electionreturns.pa.gov/

またミシガン州やウイスコンシン州などの複数の州において、不在投票用紙申請当日に、多くの不在投票用紙が返却された事を不審がる「陰謀論者」がいるが、これは郡の投票所に赴き、不在者投票用紙を申請する場合、投票所内の部屋で書き込み、投票する事を勧められるからだ。実際、私もそのように投票した一人である。

これら一つ一つの不正説(?)は、少し調べれば自分で得られる簡単な情報ですら自分で調べず、政治的に敵対するグループによる不正工作の噂であったら何でも信じたい陰謀論者によって、自省する事無く、次々に広められている。繰り返すが、トランプ弁護団は、法廷に対して、選挙結果が変わるような不正工作の証拠が無い事を認めているのだ。

呆れた事に日本ではジャーナリストを自称する有本香氏や百田尚樹のような言論人ですら、ジリアーニ弁護士による法廷闘争でもってトランプ氏の逆転勝ちの可能性があるように書くのだから、よほどトランプ勝利という願望が先に立っているか、トランプ陣営が法廷で何を主張しているか知らないのだろう。こうした事実関係への知識は、トランプ支持をするかバイデン支持をするかといった、個人の政治趣向とは関係が無い筈だ。国際投資アナリストの大原浩氏に至っては、2000年に、フロリダ州一州で1000票の行方を争ったブッシュ・ゴア両陣営の例を持ち出して、未だ勝敗が決まっていないかのような書き方をするが、バイデン氏とトランプ氏の得票の差は各州合わせ、およそ700万票に上る。12月14日の選挙人投票での正式決定をもって次期大統領が決まる事は事実であるが、一般票700万票の差と選挙登録人307人獲得という選挙結果を覆す事は『バナナ共和国』でもない限り、起こり得ないのだ。

https://www.zakzak.co.jp/soc/news/201113/for2011130003-n1.html

https://news.yahoo.co.jp/articles/00533644aa225eb53930e6d7a0c99e2cbca08055

トランプ弁護団の陳腐な主張や言動を注視すると、弁護士らが真に民主主義の為に戦っているとは考えにくいのが本当だ。彼らにはトランプ陣営によって日当200万円当たりの弁護士料が支払われているが、全てが金銭報酬の為では無いにしても、法廷では主張しない「不正工作の証拠」を、彼らが心底信じているとは思えないのだ。2016年3月には「私は、呆れるほど非論理で、矛盾していて、あからさまに愚かなトランプ支持への反論の為に、一日費やす事もできる。でもハッキリさせておくけれど、トランプ支持者らは、事実や論理なんてどうでも良いの。真実を求めている訳でもないの。トランプが誰かをニューヨーク市の真ん中で射殺したって、彼らは支持し続けるのだから。真実を求める人々よりも、ナルシシストが多い事に、この国がここまでひどくなってしまった原因があるの」と自身のフェイスブックに記していたジェナ・エリス弁護士だが、この投稿をそのまま鵜呑みに出来ないにしても、「不正工作によって選挙結果が覆った証拠がある」とメディアに向けて主張し、その主張に真実があるならば、証拠を裁判所に提出するべきだろう。

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「トランプ支持者は真実を求めていない」とトランプ支持者の非論理性を批判するエリス弁護士のフェイスブック記事

https://www.facebook.com/JennaEllisEsq45/posts/1672485549670699

尤も、自分が勝利しなかった選挙は全て「盗まれた」選挙だと主張し、特に選挙結果の開きが少ない場合にはやり直しを求め、自身が勝利するまでその選挙結果の正当性を認めない「目的の為には手段を選ばない」トランプ氏の言動こそ、トランプ支持者たちがトランプ氏に求める『強さ』なのかもしれない。トランプ氏と彼の支持者の間にある繋がりの強さにあやかろうと、以前はトランプ氏を詐欺師として批判をしていたテッド・クルーズ共和党議員らが、民主主義への攻撃を止めないトランプ陣営への批判を控え、賛同している姿は、あまりにも浅ましい。

多くの職員とオブザーバーが関わり、不正が無いよう何重にもわたるチェックがなされるアメリカの選挙システムには、選挙結果が覆る程のレベルの工作など起こり得ない。こうした既存のシステムへの信頼の欠如は、却って人々を、あり得ない陰謀説へと靡かせてしまう。

政治工作としての陰謀説

人類の歴史の多くは、予期しなかったミステークによって計画が変えられたり、偶然によって流れが決定されてきた。ところが、陰謀説を信じる人々は、そうしたミステーや偶然の存在を認めず、歴史が常に計画された陰謀によって作られてきたと信じる。陰謀論者らは、結果と都合の良い部分部分の事実をつなぎ合わせ、大掛かりなストーリーを構成する。ストーリにとって都合の悪い事実は省略されるのだ。こうして作られた陰謀説は、「JFKの暗殺はCIA、FBI、マフィアや政治家が共謀して行ない、リー・ハーヴェイ・オズワルドは捨て駒に過ぎない」「世界の指導層が属する秘密結社によってグローバル政治が運営されている」「月面着陸はステージされた偽映像である」「911は米国の自作自演である」や、はたまた「トカゲ人間が陰の政府を運営している」まで限りない。このような陰謀説を信じる事によって、「多くの人は騙されているが、自分を含めた少数だけが、隠された真実を知っている」という満足感を得易いのだろう。

大人でも、このような陰謀説の少なくとも一つを信じている人は多いのだが、興味深い事に、その人の政治趣向は陰謀説にも影響を与えるようだ。ジョージ・W・ブッシュ大統領によって世界貿易センターは爆破されたという陰謀説を信じる人々が左派に多い一方、オバマ前大統領の出生証明には不正工作がなされており、彼はアメリカ人ではないという陰謀説を信じる人々は圧倒的に右派に多い。こうした陰謀説は、むしろ政治的対極にある人々を貶める目的で流布される側面があると言えるだろう。

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2020年の大統領選挙の公正を発表したCISAディレクターのクリストファー・クレブス(当時)

https://www.bbc.com/news/world-47144738

https://www.businessinsider.com/psychologist-explains-why-people-believe-conspiracy-theories-during-uncertain-times-2020-4

2020年の選挙は、盗まれてはいない。不正工作によって選挙結果が覆った証拠は、トランプ陣営の弁護団も出していない。敗北を認めないトランプ氏の主張は、傷付いたエゴの為なのか、自身の政治的求心力保持の為なのか、或いは民主党次期政権への妨害の為なのかはっきりとはわからないが、アメリカという国にとっての攻撃である。「真実を求める人々よりも、ナルシシストが多い事に、この国がここまでひどくなってしまった原因がある」のは本当だろう。しかしながら真の愛国者ならば、己の利益やエゴ、政治的動機の為に、国のシステムへの不必要な不信感を強める行為には加担しない筈だ。                    

却って、選挙の公正を発表した為に職を追われ、トランプ再選委員会のジョー・ディジェノヴァ弁護士から「死刑にされるべきだ」と名指し非難されたクリストファー・クレブス元CISAディレクターや、クレブス元長官への脅迫や暴力への停止を求めたマシュー・トラヴァス元CISA副ディレクター(辞任)、選挙結果認証を発行したジョージアのブラッド・ラフェンスパーガー州務長官らのような、共和党支持者でありながらも自らの政治趣向によらず、また脅迫に屈する事無く、ただ民意に従った人々によって、アメリカの民主主義は辛うじて守られていると言える。

https://thehill.com/policy/cybersecurity/528251-former-cyber-official-condemns-trump-attorney-for-threats-against-krebs

https://www.usatoday.com/story/opinion/voices/2020/11/25/georgia-secretary-of-state-election-integrity-2020-column/6407586002/