大統領選挙に不正が行われた証拠は無い

手短に、BBCの記事とあわせ、要点のみを書く。

 

トランプ大統領は5日、自身の再選を阻む目的で、選挙の不正行為が複数の州に渡って大規模に行われたと証拠を示すことなく発表した。証拠があるならば、法廷において宣誓をして発言すれば良い。それ以外の大文字のみのツイートや記者会見、インタビューでの発表には、正当性や法的責任は無い。証拠が無いのだから、証拠が提示されるまで「不正行為の証拠は無い」と言うのが正しいだろう。
                                     f:id:HKennedy:20201106134047j:image

現在では、民主党のジョー•バイデン氏が有利になっているだけで、バイデン氏の当選も決定ではない。それでもトランプ大統領のツイートや記者会見は、「潔く自身の負けが認められない醜態を世界にさらしている」と多くの国民が見ている。

普通の大統領選挙では、現役大統領が有利である。ジョージ•W•H•ブッシュ故大統領は二期目との当選を果たさなかったが、彼はロナルドレーガン大統領政権で副大統領を務めており、国民の間に同じ政権が12年続いているというウンザリ感があったからだ。現役大統領でありながらトランプ氏がほとんど選挙活動をしていないバイデン氏にリードされているのは、国民の多くが陰謀説を語るだけの記者会見で見られるようなトランプ氏の醜悪な言動に嫌気をさしている事による。

トランプ陣営はいくつもの陰謀説を流しているが、これらの一つとして証拠は無い。これはトランプ氏に近いフォックスニュースのブレット•バイヤー氏やクリス•クリスティー元ニュージャージー州知事、また保守派のメディア、ニューヨーク•ポストも認めている。

第一、もし選挙不正を行う手段と能力が民主党にあるならば、なぜ民主党は、バイデン政権閣僚候補の承認をする権限があり、また法律案や政策においてもブロックできる上院を共和党議員優勢にし、下院においても多くの共和党議席を増やし、50州中27州の知事を共和党にしたのか。

むしろ今回の選挙結果は、トランプという問題人物を排除し、コロナや不況の後始末をバイデンや民主党におしつけ、ついで民主党政策の実現を阻みたい共和党の野心にとって、願ってもない最高の結果である。今回の選挙結果で喜んでいるのはむしろ共和党のミッチ•マコーネル上院議長であり、決して民主党のナンシー•ペロシ下院議長ではない。ペロシ議長については、民主党内で責任論が囁かれている。また「民主党が一部の急進派議員の為に、非現実的な社会主義政党だと思われ、国民の不信感を強めている」と、グリーン•ニューディールで有名な、アレクサンドリア•オカシオ•コルテス議員らに引きずられた形の左極化を、反省する声が出ているのが実情だ。

いずれにせよ、極右と極左の両方に、国民が「ノー」を叩きつけた結果である。多くの国民は、極右でも極左でもない、ノーマルなアメリカを求めている。「穏健派」と言われつつ、急進派に媚びるべくカマラ•ハリス上院議員を副大統領候補に選んだバイデン氏に、共和党マジョリティーの上院という足かせがつけられたのは、トランプを退けつつ急進派左翼も拒絶する国民心理があってのことだ。

 

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-54835283.amp