バイデン元副大統領の当選

2020年の大統領選挙において、民主党のジョー・ バイデン元副大統領が当選確実となり、これにより「次期大統領」 と呼ばれる事になった。これをもってイギリスやイスラエルなど同盟国の首相やジョージ・ブッシュ・ブッシュ元大統領、ミット・ロムニー上院議員らはバイデン氏とハリス次期副大統領に対して祝辞を送っている。https://www.nytimes.com/2020/11/08/us/politics/george-w-bush-congratulates-biden-on-his-victory.html
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今回の選挙に関して、 トランプ大統領は敗北を認めておらず、 トランプ陣営は民主党による不正行為を訴えているが、 複数の激戦区において、 選挙結果を覆す程の不正行為や誤りがあった証拠は無い。「 選挙結果を覆す程の不正行為や誤り」と注釈を付けるのは、 どの選挙時に於いても、複数の不正行為や誤作業は生じる。2016年の大統領選挙に於いても選挙権の無い外国人による不正投票が 行なわれたが、米国司法庁の捜査によれば19票ある。 因みに米国民と偽って投票し、告発された9人の中には日本人が一 人含まれる。これら9人は6年以下の懲役と約3,800万円の罰金が課せられた。

https://www.politico.com/amp/story/2018/08/24/voter-fraud-2016-foreign-nationals-charged-795704?__twitter_impression=true&fbclid=IwAR0i8fxLXWHJ-FQN3Fy__3CB5b1cYs025DLBsfuFAMqApzhbxMO qocA46BkE 

また同年の大統領選挙においてロシア政府の介入があったことは同 庁も認めるが、その介入が選挙結果を変えた証拠も無い。であるから、トランプ大統領就任の際に、 不正が行なわれたと選挙結果に不満を示す人々の多い中、それでもトランプ氏の当選は正当的なものであると認められてきたのだ。

今回の選挙においても、不正行為があったと不満を述べ、であるからバイデン氏の当選を認めないという人々はトランプ氏本人を始め、その陣営や熱心な支持者に多い。 しかしながら、民主党が複数の州にまたがって不正行為を行なったという証拠は皆無であり、トランプ氏らは何の証拠も提示していないのだ。 実際トランプ陣営は、「民主党による大規模で組織的な不正工作によって勝利が奪われた」という主張をバックアップする為の証拠を得る為にホットラインとウエブサイトを儲けている。要は、証拠ではなく主張が先に来ている訴えなのだ。しかもホットラインは主に十代のリベラル派によるイタズラやからかいを目的とした電話、またウエブサイトの方はポルノ映像で一杯だという。その為に、電話番号とウエブサイトのアドレスが頻繁に変えられている。

https://abcnews.go.com/Politics/inside-trump-campaign-grapples-defeat-plowing-forward-legal/story?id=74082317

ツイッターなどのソーシャルメディアに流布される何が何だかわからないようなビデオ等は、 投稿したユーザーによる解釈を必要としており、その解釈が真実である証拠がない。またこれらの多くは、保守派を含めるメディア関係者によって調査され、意図的なデマや誤解であると判明されている。だからこそ、トランプ支持で知られるフォックス・ニュースまでも「 選挙における不正行為の証拠は無い」と明言しているのだ。

トランプ陣営はミシガン州における票のカウントを中止させようと試みたが、これにはミシガン州裁判官が、トランプ陣営が提出した「証拠」を「 (証拠として提出されたものは)ただの伝聞の伝聞であり、 裁判所としては伝聞を証拠として取り上げない判例によって、訴えを退ける」とし、その要求を退けている。 但しミシガン州においては、誤作動によるデータ入力の為に、 トランプ氏に加算される筈の票がいくらかバイデン氏に加算された可能性があると疑われている。これには調査が必要となるだろう。 しかしながら、例えいくらかの票がトランプ氏に加算された可能性があったとしても、10万票を超えるリードを誇るバイデン票に追いつく可能性は限りなく低い。しかも同州から数えられる選挙人数は16人であり、すでにネヴァダ州とペンシルヴァニア州に勝利し、290人の選挙人を獲得しているバイデン氏の勝利を揺るがす可能性はなく、また214人の選挙人しか獲得していないトランプ氏の勝利には繋がらな い。

https://frenchpress.thedispatch.com/p/the-presidential-election-was-legitimate

トランプ氏は、バイデン氏当選確実の報道が各メディアから発表された翌日の土曜日、自身の経営するゴルフ場でゴルフをプレイしている。もしトランプ氏が民主党の不正工作によって不当に勝利を奪われたと真に信じているならば、米国民主主義への直接的な攻撃を目の当たりにした筈だ。その渦中の大統領としてゴルフやツイートをしながら過ごすとすれば、それはそれで無責任極まりない。
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今回の選挙では、 特に激戦区を含む複数の州における郵送投票の開票を、 投票日に直接投票した票の開票とデータ入力の終了後に行なってい る。これは共和党の州議員らによる選挙ルールの変更に基づく。 選挙結果の報告が通常年よりも遅れているのは、この為である。 また、このルール変更によって、 トランプ氏有利とされていた途中経過が、 一晩経つとバイデン氏有利に変わっていたのも、 郵送による開票の結果が徐々に入力された為である。 時間が経つにつれ、バイデン票が多く加算された為、トランプ支持者は「急に多数のバイデン票が見つかった」「 バイデン支持者は、 投票日後に郵送した投票用紙を数えさせている」 と陰謀があったかのように繰り返すが、 これは根拠の無い言い掛かりである。もともとトランプ氏は、何か月か前から郵送による投票では、トランプ票を捨てたり、 数えない等の不正が行なわれると主張し、支持者らに直接投票をするよう呼び掛けていた。その為、普段は郵送による投票で済ませる共和党支持者らが投票所に赴き、直接投票を済ませようと、長蛇の列を作って待つ光景が何度も報道される。 トランプ氏の主張を信じない民主党支持者の多くは、人混みによる新型肺炎感染への懸念もあり、郵送での投票を選んでいた。 「郵送による投票は不正行為である」と訴えるトランプ陣営の主張により、世論が二分化していたのだ。これらの事を踏まえれば、選挙当日の直接投票から始まる開票でリードをしていたトランプ氏 が、郵送票の開票が始まるにつれ、その優位に陰りを見せ、ついには逆転され、その差が開き始めたことに何の不思議も無い。 こうした結果に陥る事は以前から懸念されていたのだ。 そしてこれらのルール変更等は全て、トランプ陣営や共和党議員側によって決定されていた事を忘れるべきではない。

因みに、今回の選挙でトランプ氏は敗北したが、 同時に行なわれた上院、下院議会選挙においては、共和党議員、 また共和党知事らの当選、再選が目立つ。 大統領選挙の投票用紙は、大統領候補にマークした後、上院議員、下院議員、知事らを選ぶ欄がある。 トランプ氏の敗北が決定する一方、未だ民主党議員らの苦戦が目立つのは、多くの人々が大統領としてトランプを退けた一方、 議会においては民主党政治も退けているからだろう。

たとえばトランプ氏が敗れたウイスコンシン州では、下院選挙においては共和党議員に投票しながら、トランプ氏には投票しなかった評が4万9千票ある。 また同州では、大統領にはバイデンを選びながら下院選挙において民主党に投票しなかった票が6万4千票ある。同様に、 大統領にはバイデンに入れながら、 議会選挙において民主党議員には投票しなかった票が、 ペンシルヴァニア州では98,000票、ジョージア州では80, 000から90,000票、アリゾナ州では42,000票、 ミシガン州では69,000から115,000票ある。
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また出口調査によれば、 自身をリベラル派とも保守派とも位置付けない「穏健派」 がトランプ氏に投票した割合は33%であるが、 同派がバイデン氏に投票した割合は64%とある。 同様に自身を民主党支持者とも共和党支持者とも位置付けない「 インディペンデント」である人々がトランプ氏に投票した割合は40%であるが、彼らがバイデン氏に投票した割合は54%とある。 また、候補者に投票するにあたって、 その候補者への支持を理由に挙げている割合がトランプへの投票者 では54%とあるが、バイデンへの投票者では67%の人々が対立候補(トランプ氏) への反対票として投票した事を理由として挙げている。

これらの統計から理解できるのは、大多数の国民が、トランプを大統領として退ける一方、民主党議員による政治も、共和党議員らを多く選出する事によって歯止めをかけようとしてい る傾向である。国民は、左右どちらの極論も退け、大統領による独裁も議会による暴走も無い政治を願っているのだ。

https://www.nytimes.com/interactive/2020/11/03/us/elections/exit-polls-president.html

https://www.wsj.com/articles/america-chooses-divided-government-11604620220? redirect=amp&fbclid=IwAR1l8qDInftYS5ldPSdfa1mGQAum 9nPXHGiOWoYH8GGp3ju_ Qyeqc8tpa4I#click=https://t.co/d1dicqkBMY

ジョージア州の上院選挙決選の結果にもよるが、 同州から共和党議員が再選を果たせば、 上院において共和党がマジョリティーとなり、 バイデン政権の閣僚等を承認する(しない)権限を持つ。 また下院でも民主党は議席を減らしており、 急進派の民主党議員らの提出する法案が却下される可能性や、下院で可決されても上院で否決される可能性は非常に大きい。 知事選に於いても50州のうちの27州を共和党の知事が当選 (再選)している。 今回の選挙結果において不利に立たされたのは民主党なのだ。 だからこそ、アレクサンドリア・オカシオ・コルテスのような急進派左翼議員らによる「警察組織解体」「 社会主義」の叫びを止めずに放って置いた、ナンシー・ペロシ下院議長の責任問題が、 穏健派民主党議員から続々出ているのである。

https://www.washingtonpost.com/politics/house-democrats-pelosi-election/2020/11/05/1ddae5ca-1f6e-11eb-90dd-abd0f7086a91_story.html?fbclid= IwAR10uoVyO02EF6keUdJ3rbK7T-bFFYR6zOsVAGU7Yss71eepVlCQ1qJNoIA

これらの全てを踏まえれば「 民主党による組織的選挙不正行為が複数州にまたがって行なわれた 」と信じる事は、論理的に不可能である。

私はかねがね、多くの人々が『言論の自由』と呼ばれる権利や、『 民主主義』などの本質を、 理解しているようで理解していないのではないかと考えてきた。 ある人の言論の自由への真の理解は、 その人が反対する言論に対してどのように対するかで試される。 同様に、ある人の民主主義への真の理解は、選挙が自分の望まない結果をもたらした時に、 その人がどのように対するかで試されるのではないだろうか。

私はジョー・バイデン次期大統領の人格には好感を持つが、 彼の率いる民主党政治には反対する事が多いだろう。今回の選挙で、私はトランプ氏とその他の共和党議員らに投票した一人だ。 しかしながら証拠として存在するデータは、 バイデン氏の勝利を示している。これから通常で言えば少なくとも4年間は、バイデン政権への批判を随時行なっていくだろう。 しかし今は、国民が選んだジョー・ バイデン元副大統領当選への祝意を示したい。