BBC慰安婦報道-----証人としての松本正義氏の資質
2015年8月、BBCが、"Japan Revisionists Deny WW2 Sex Slave Atrocity"という記事を書き、日本の歴史修正者が第二次世界大戦中の残虐行為を否定しているという内容で、歴史修正主義者として田母神俊雄氏が挙げられ、元慰安婦の李玉善さんが被害者として紹介されていました。
その記事には、神奈川県在住の元日本兵である松本正義氏が『残虐行為の証人』として紹介され、日本の『歴史修正者』を批判されていました。
Japan revisionists deny WW2 sex slave atrocities - BBC News
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「韓国人慰安婦は主に将校の為の存在でした。ですから、一般兵士たちは地元の村々を『良い娘がいないか?』と叫んで襲撃していたのです。これらの兵士たちは盗み、強姦し、言う事を聞かない人間は殺していました。」
彼らに捕まえられた者は、松本氏の部隊に慰安婦として連れてこられたようです。
戦後、松本氏は罪を償おうと牧師になりました。彼は何十年も、見た事を語りませんでした。
しかし、否定派の声が強くなるにつれ、彼の中に義憤が起こり、語る事を決意したようです。
「くだらないですね。安倍首相は、まるで見てきた事でもあるかのように語りますが、彼は目撃していません。私は目撃しました。」松本氏は語ります。
「ある人が言っていました。『振り返って過去を見ないものは悪い行ないを繰り返す』しかし、安倍首相は、我々が日本の過去に犯した悪い事全てを消し去って、何も無かったかのようなフリをすれば良いと思っているんです。だから、彼が許せないんです。」
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私は松本氏に2014年10月にお会いして、お話をお伺い致しました。勿論、松本氏は慰安婦たちに対する残虐行為を語られましたが、「衛生兵とし て、暴力を振るわれて怪我をした慰安婦たちをどのように手当されたのですか」という質問に対して、「怪我をした慰安婦はいませんでした」と答えられています。
松本氏は、慰安婦が強制連行をされたり、強姦をされたり、暴力を振るわれたのを見た事がなく、「ではなぜ、そういう事があったと仰るのですか?」との質問には、「本で読みましたから」と答えられ、参考文献として、本多勝一氏や金一勉氏の書籍を紹介して下さいました。(このインタビューは、ビデオにも録画され、2015年のWiLL1月号にも記事として掲載されました。)
つまり、「まるで見てきた事でもあるかのように語」るのは、安倍首相ではなく、松本氏です。
松本氏はきっと何かの誤解をなさっているのかもしれません。安倍首相や『歴史修正主義者達』が、慰安婦の存在を否定していない事をご存じないようですが、BBCの意図とは違い、松本氏は慰安婦に対する強姦や強制連行を行なわれた証人として語るべきではありません。
この点は、歴史修正主義者か、左翼メディアか、のレッテルの張り合いに関係なく、ジャーナリズムとして常識の範疇だと思えます。
ですので、それらの点を纏めてBBCに苦情を申し上げました。するとBBCから以下の返信が届きました。
(松本氏の発言は記事の通りです、という理解の下で)
『松本氏は、(中には誘拐された女性もいたでしょうが)殆どの女性は誘拐されたのではなく、別の仕事をするものだと思って応募をしたと付け加えていました。
しかし、もっとも説得力のある証拠は、1990年代に日本の学者・吉見義明教授によって発見された日本政府の資料にあります。彼女("彼"の間違いでしょう)の研究が、日本政府による全面的調査を経て、1992年の官房長官の謝罪となったのです。』
それならば、慰安婦に対する戦争犯罪の「証人」として松本氏を紹介するのではなく、「1990年代に日本の学者・吉見義明教授によって発見された日本政府の資料」を決定的な証拠として引用するべきでした。尤も、この『発見』された資料は、日本軍の慰安所への関わりを示すだけで、彼女たちに対する犯罪を立証するものではありません。
本来ならば、「松本氏が語られた日本軍の蛮行を氏は目撃なさっていません』と注釈を入れるべきですが、BBCとは、その後のやり取りを経ても、どうしても記事を変えたり、注釈を入れるつもりはないようです。
BBCがもし真実を報道したかったとすれば、松本氏に対してBBCが聞かなければならなかった質問は、他にも多くあった筈です。
例えば、衛生兵であった松本氏は、部隊が中国の村を攻撃する時に一緒に行動をとっていたのでしょうか?
一緒に行動を取っていなかったのなら、何故兵士たちが「良い娘はいないか?」と叫びながら家々を襲ったと主張するのでしょうか? これは私の記事を読んでいなくてもBBC記者が自らが思いつくべき質問です。
また、松本氏の部隊に存在していた慰安婦の数は6人で、300人の兵隊の相手をしていたとBBCのインタビューでも答えてられましたが、その一点をとれば、一人 の慰安婦が相手をしていた兵士の上限は50人であって、中国大陸に駐屯していた日本軍兵士の数が約100万人ですから、中国に滞在した慰安婦の総勢は約2万人となります。
この概算数は、秦先生の計算された慰安婦の総数と一致していますが、国連クマラスワミ報告書や、韓国の主張する20万人説や、中国の主張する40万人説は崩れてしまいます。どちらが正しいのか、BBC記者は調べるべきでした。
しかも、BBCへのインタビューで松本氏が仰ったのは、兵士たちに休みを与えられたのは週に一度、日曜日の午後1時から午後3時、或いは午後4時までだったという点です。
『日本軍には休みは週に一度、日曜日しかなかった』という松本氏のこの証言は、戦争中という当時の状況を考えれば、史実に忠実なのではないかと思えるのですが、『毎日30人の相手をさせられた』という元慰安婦の方々の『証言』との矛盾を、どの様にBBC記者は折り合いをつけたのでしょう。
私の印象として、松本氏は決して嘘を仰る方ではありません。実際、松本氏が自ら目撃された、或いは体験したとされる証言は、歴史家の研究結果と一致しています。ただし、松本氏の証言の中には様々な誤解がある点も否めません。本で読まれた事は必ずしも事実ではありませんし、慰安婦の存在を否定する人もいません。これらは明確な誤解の例です。
慰安婦問題の政治化が終結し、いずれその誤解が解けることを願ってやみません。
http://www.sdh-fact.com/CL/Anatomy-of-Falsehood.pdf