オバマ大統領の演説と『ブラック・ライブズ・マター』による警察へのテロ

木曜日、テキサス州ダラスで起きた反警察を掲げた『ブラック・ライブズ・マター(黒人の命には価値がある)』運動のデモ隊が警察官を襲撃し、5人の警察官がスナイパーによって射殺され、12人の警察官が負傷しました。
 

f:id:HKennedy:20160710131555j:plain

 
実はこの事件が起こる数時間前、オバマ大統領は、「『ブラック・ライブズ・マター』と主張する人々がいますが、これは勿論、『警察の命はどうでも良い』というメッセージではありません。全ての(人種の)命には価値があるという意味です。ところが今、大きな懸念となっているのは、データによれば、黒人の命はこのような事件において、もっとも危険に晒されているという事実がある点です」と演説を行なっています。
 
オバマ大統領の演説は、七日に起きた警察による黒人男性の射殺が原因となっており、オバマ大統領は事件直後にも「これは黒人だけでなく、アメリカ全体の問題です」と演説をしましたが、翌日に別の警察によって白人男性が殺害された件は全く話題となっていません。

Fatal shooting of black man Philando Castile by police during traffic stop in Minneapolis caught on video by girlfriend

 
昨夜の演説で、オバマ大統領はいくつかの偽りを語っています。
 
まず、ブラック・ライブズ・マター』がただ単に「すべての人種の命には価値がある」という主張ならば、ブラック・ライブズ・マターの運動家たちが「オール・ライブズ・マター」(すべての命に価値がある)という主張に反対をし、「そういったスローガンは『人種差別主義だ』」と主張する理由は何でしょう。
 
彼らの主張が「すべての人種の命には価値がある」というものならば、「オール・ライブズ・マター」或いは「ブルー・ライブズ・マター」(警察官の命には価値がある)というスローガンに賛成できる筈です。
 
オバマ大統領が認めようとされないのは、ブラック・ライブズ・マターは『反警察』を掲げた国内テロ運動だという点です。『ブラック・ライブズ・マター』の運動家たちが掲げているのは、黒人の地位向上ではなく、反警察であり、標的となるのは、市民を犯罪から守っている警察官と一般の白人アメリカ人です。
 
また、「データによれば、黒人の命はこのような事件において、最も危険に晒されている」という主張ですが、『データ』が示すのは、全く逆の事実です。
 
2015年のデータによれば、警察による法的殺害で、黒人の約二倍の白人が死亡しています。ワシントン・ポストの報道によれば、警察による法的殺害の50%を白人が占め、黒人が警察によって殺される割合は26%となっています。
 
また人種を問わず、これらの警察の発砲は、「警察に対して銃を向ける」「警察の指示に意図的な不服従の姿勢を見せ、警察官の安全を脅かすと見られる行動をとる、或いはそういった行動をとると示唆する」為になされています。
 
人口構成を見れば、アメリカの人口の約62%は、白人が占め、黒人が占める割合は13%となっています。2009年のウォール・ストリート・ジャーナルは、全米75の大都市に於いて、強盗で起訴される犯罪者の62%、殺人の57%、暴行傷害の45%が黒人であるという司法統計局の調査を発表しています。
またニューヨークで黒人が占める人口比率は23%ですが、黒人が起こす発砲事件の比率は、全体の75%、強盗事件の70%、暴力犯罪の66%となっています。
 
黒人の犯した犯罪現場を目の前にして、警察官の意識がより緊張したものとなることは、黒人警察官ですら認めています。

The Racial Reality of Policing - WSJ

また、白人とヒスパニック系が警察によって殺害される割合は12%となっていますが、黒人が警察によって殺害される割合は4%です。本来ならば、反警察の運動として掲げるべきスローガンは「ホワイト・ライブズ・マター」や「ヒスパニック・ライブズ・マター」である筈です。
 
またフィラデルフィアの警察を対象とした2015年の司法統計局の調査と、ペンシルバニア大学の犯罪学のグレッグ・リッジウェイ教授の調査によれば、犯罪現場において、黒人の警察官が容疑者に対して発砲する割合は、他の人種の警察官よりも3,3%高い割合となっています。
 
FBIのデータによれば、警察官が黒人によって殺害される割合は全体の40%で、警察官が黒人によって殺害される割合は、武器不携帯の黒人が警察によって殺害される割合の18,5倍となっています。
 
またトレド大学の犯罪学者であるリチャード・ジョンソン博士のFBIのデータ調査によれば、2009年から2012年までに、平均して一年間に4472人の黒人が、別の黒人によって殺害されていますが、これは警察による黒人殺害の40倍に上ります。
 
別のFBIのデータによれば、2010年から2011年の一年間で、4906人の黒人が、別の黒人によって殺害されていますが、この数は、1882年から1968年までの間に、白人によるリンチに遭った黒人の数よりも1460人多い数です。
 
2013年のFBIのデータによれば、黒人が殺害された事件の90%以上が、別の黒人によって犯されています。
つまり、どのデータを見てもオバマ大統領の主張する『事実』とは別の統計が『事実』として出されていますが、「教えられた憎しみに煽動されて、感情的に反応する」人々によって、オバマ大統領の演説後、5人の警察官の命が奪われ、12人の警察官が負傷をしました。
 
警察当局による正当的防衛手段としての発砲が、あたかも警察による『人種偏見』『人種差別』が原因であるかのようなデマが流された『ファーガソン事件』の悪影響で、『人種差別主義者』と国家と国民から糾弾される事を恐れた警察が全米50の大都市のパトロールすることを控え、その為に、これらの都市での犯罪発生率は17%上昇しています。
 
また、2016年の過去3か月間の間に行なわれた警察に対する殺害事件は、既に例年の2倍に増えています。
 
共和党のポール・ライアンが警告した通り、「市民を犯罪から守る役目を負う警察への攻撃は、そのまま市民を攻撃する事と同様」であり、国を内側から崩壊させます。
 
5人の警察官が殺害された事件発生後、オバマ大統領は「警察を襲う行為は許されない」としながらも、「このような恐ろしい武器の所持が許され無ければ、このような事件は起こらなかった」と語り、更に警察組合や保守派からの怒りを買っています。
 
 

ヒラリー・クリントン、e-mail疑惑不起訴決定

FBIのジェームズ・コーミィ長官は、ヒラリー・クリントン候補のe-mail私的サーバー使用の問題に関して、クリントン候補が国務長官時代に、国の機密情報を私的サーバーで扱った事について、「極めて軽率であり、別の場合、解雇や機密事項取扱い不許可になると考えられるが、国の安全保障を意図的に危機に陥れようとしたとは考えられず、犯罪行為として起訴の対象となるとは思われない」として不起訴の見方を強めました。

 

f:id:HKennedy:20160707153120j:plain

 

これを受けてロレッタ・リンチ司法長官は、クリントン候補の不起訴を決定しました。

Hillary Clinton Email Investigation Closed by Attorney General - WSJ

 

コーミィ長官の発言した『解雇』と言っても、クリントン候補が既にその地位にとどまってはいない限り、『解雇』は出来ません。疑問となるのは、国務長官としての彼女の怠慢や軽率さ、愚かさが、違法行為、或いは犯罪行為として起訴の対象となるかでしょう。

ここで、長官は『意図』という新たな基準を設けましたが、『意図的かどうか』が基準となるとすれば、「飲酒運転で死亡事故を起こしても、歩行者を殺害する意図さえなければ、飲酒運転は許されるか」などの新たな議論が、どの場合でも生じます。

いずれにせよ、アメリカには、現在二人の候補者が与えられています。

 

f:id:HKennedy:20160707153219j:plain

 

一人は、国の安全保障を著しく貶める『意図は無かった』候補者であり、もう一人は、身体に障害を負ったジャーナリストを嘲ったり、詐欺大学を設立して学生から資金を騙し取る、他候補者の父親がJFK暗殺に関与したと示唆する、経済状況が悪化すれば大統領として債権者に債務を負けさせる、反ユダヤ主義のメッセージをツイートする、捕虜となった退役軍人を侮る、サダム・フセインの指導力を称賛する、或いは、実の娘を指して、幸せな結婚をしていなく、実の父親でもなければ、彼女と性的関係を持っていたかもしれないと語る『意図は無かった』候補者です。

トランプ支持者は、「トランプ氏に投票しないならば、ヒラリー・クリントンの不正を何とも思わないという表明になる」と主張しますが、彼らのうちの多くは、他に15人の候補者が共和党から立候補していた頃からトランプ支持を打ち出していました。

彼らの主張通り「限りなく腐敗にまみれたヒラリー・クリントン」以外の『選択肢』が消滅した原因は、彼らにあります。

 
 
 

あまりにも無残なイスラエル人少女の死と、テロリストに給与を支払うパレスチナ政府

f:id:HKennedy:20160705070339j:plain

 
6月30日、イスラエルの西岸地区に住むアメリカとの二重国籍を持つ13歳のイスラエル人女の子、ハレル・ヤファ・アリエルが就寝中、自宅に忍び込んだ17歳のパレスチナ人に刺殺されました。これに伴い、イスラエルのネタヤフ首相は緊急閣僚会議を開き、「国全体がご遺族の痛みに共感している。殺人者は我々に対して勝利する事は出来ない事を知るべきだ」と声明を発表しました。
 
またネタヤフ首相は、ビデオメッセージで「一体誰がこのようなことを行なうだろう。安心をして眠っている子供を殺してはいけない。自分の気に入らない政策に対する反発を表す為に、少女の喉を切り裂いてはいけない。こんなことを行なうのは「洗脳」をされているからだ。歪んだイデオロギーによって洗脳され、この子供は人間ではないと教えられているからだ」と語っています。

www.timesofisrael.com

 
アメリカ政府のジョン・カービィ報道官も、「テロに対する最も強い怒りを以て、これを非難する」と批判しました。

Jewish girl, 13, stabbed to death in West Bank bedroom was U.S. citizen | Fox News

 
少女の悲鳴を聞いて駆け付けたイスラエル警察によって射殺された犯人のパレスチナ人テロリスト、モハメッド・タライレーの母親は、事件の数時間後、パレスチナ系メディアに対して、以下の通り答えています。

Palestinian Mother Overjoyed Her Son Murdered Jewish Child - Israel Today | Israel News

 
「私の息子は英雄です。私は彼を誇りに思います。私の息子はエルサレムとアル・アクサ寺院を守る為に殉教者として死にました。アラーの御心に叶うなら、パレスチナの若者すべてが彼の後に続くべきです。アラーが褒め称えられますように」
 

f:id:HKennedy:20160705070445j:plain

 
母親が息子の行ないに誇りをもって語ったのとは対照的に、パレスチナの国営放送は、モハメッド・タレイレーが少女を殺害した事によってイスラエル警察によって殺害されたという見方を否定し、タレイレーが「何の理由もなく」イスラエル警察によって殺害されたと示唆しています。
 
さて、このようなパレスチナ人テロリストに対して、パレスチナ政府は政府の予算から給与を支払っている事が、2011年に「パレスチナ・メディア・ウォッチ』という団体の調査によって明らかにされました。
 
パレスチナ政府からテロリストに支払われる給与は、罪状の重さによってガザで働くパレスチナ人の平均給与の4割増しから、殺人を犯した為にイスラエル政府によって「終身刑」の判決を受けたテロリストは「夢のような高額給与」が毎月支払われる、と報告されています。イスラエル軍および、警察によって殺害された場合は、別の報酬がパレスチナ政府から支払われるようです。
 
西側各国はパレスチナ政府への援助を行なっており、西側の国民の支払う税金が、パレスチナ・テロリストへの給与に繋がっている事をメディアが報道した為、パレスチナ政府のモハメッド・アバスは大統領は、今後パレスチナ政府からテロリストに対して給与の支払いを行なうことを止め、代わりにPLO(パレスチナ解放機構)がその役目を負うとしましたが、両組織はともにアバス大統領が代表であり、両組織間の金銭の流通は自由に行なわれています。
 
オバマ政権をはじめ、西側各国はこのまやかしに対して介入をする強い姿勢を見せることはありませんでしたが、米国議会は来年からの外国支援の予算からパレスチナ政府とPLOがテロリストに支払っている給与と同額を「支援金」からカットする法案を通過させました。
 
複数のアメリカの保守系メディアは、この法案を取り上げ、イスラエルとアメリカの両政府が、イギリスを始めとするヨーロッパ各国政府にも、同等の対処を呼びかけています。
 
この法案を提案したインディアナ州選出のダン・コーツ共和党議員は、「(パレスチナ側の非道は)我慢するにも不道徳が過ぎる」と語っています。

バグダッドでのテロ...ダル•アル•ハルブ(戦いの家)

44名が犠牲となった、トルコの首都イスタンブールのアタトゥルク国際空港でのテロ、イエメンでの4名人が犠牲となった自爆テロ、バングラディシュのカフェ・ベーカリーでの20名が犠牲となったテロに続き、土曜日の夕刻イラクの首都バグダッドで、爆弾を積んだトラックによる自爆テロが起こり、少なくとも140名が犠牲となっています。

 

                 f:id:HKennedy:20160705071109p:plain

 
これらは全てISISによって犯行声明が出されています。
 
バグダッドでのテロで犠牲となったのは、イラクやイランで多数派を占めるシーア派のイスラム教徒が殆どで、今回のテロはシーア派とISISの属するスンニ派の勢力争い的な要素も含まれているようです。
 
但し、シーア派とスンニ派の勢力争いを以て、そもそも国境線に問題があるという考えは真実から程遠いと言えます。『世界の宗教戦争、貧困、紛争の裏には全て欧米の非がある」という『陰謀説』に没頭しているのでない限り、現在の中東の国境線には関わりのないサイクス・ピコ合意や、日本が条約締結国として署名したローザンヌ条約に関わらず、これらの宗派の間では勢力争いが続き、宗教戦争が続き、侵略や拡張、テロが繰り返されているのが明らかです。
 
interest.com/2016/05/16/the-bullshistory-of-sykes-picot/
 
何派であっても、世界をアラーのものにしようとしているイスラム教徒にとって、世界の半分を分与されても、更に侵略に侵略を重ね、紛争に紛争を重ね、拡張やテロを繰り返すでしょう。実際に彼らには、世界を自分達の信じるセクトの「イスラム世界」にするまでは休む事が無いと言えます。
 
アルカイダであって、ISIS であっても、ボコハラムやムスリム兄弟団、タリバンやハマスであっても、これらの過激派イスラム教徒がテロを繰り返す理由は、欧米やアフリカ、アジアのキリスト教徒にはなく、仏教徒やヒンズー教徒、ユダヤ教徒にもありません。
 
「不自然な国境線が原因」という主張も、「ISIS とイスラム教とは関係がない」という主張も、共に偽りであると言えます。
 
全てのイスラム教徒がテロリストの筈がありません。殆どはテロとの関わりが無いでしょう。
 
しかしながら、殆ど全てのテロはイスラム教徒によって起こされています。
 
これらテロの背景にはイスラム教という宗教の教えがあることを直視せず、何か他に原因があるかのように誤魔化し続ける限り、これらの卑劣なテロは決して収まらないでしょう。
 

バングラディシュのカフェ・ベーカリーを狙ったテロ

バングラディシュのカフェ・ベーカリーで、金曜夜に起きたテロは土曜日未明にバングラディシュ軍と地元警察の襲撃で、11時間にわたる籠城の後に20名の犠牲者を人質から出し、終局しました。

バングラディシュ当局の発表によれば、犯人は全員バングラディシュ人で、そのうち5名は民兵です。

 

このテロについて、アメリカ政府は当初、バングラディシュにも拠点を置くアルカイダの犯行であ労と意見を述べましたが、事件が発生してから一時間後にISISのウエブサイトにカフェの中の映像が流され、ISISが犯行を発表したこともあり、ISISの関与が濃厚とされています。

 

犠牲となった人質20人は、イタリア人が9人、日本人が7人、バングラディシュ人が2人、バングラディシュ系アメリカ人が1人、インド人が1人となっています。イタリア・アメリカ、インド政府は犠牲者の名前を公表していますが、日本人犠牲者の名前は公表されていません。

 

バングラディシュのシェイク・ハシナ首相は、犠牲者に哀悼の意を表する為、2日間の喪に服すことを国民に訴えています。

 過去二年にわたるイスラム教過激派の起こすテロによって、すっかりテロ関して不感に陥ったバングラディシュ人にとっても、今回のテロは、大使館などの居並ぶ、治安のよい地区にあるベーカリーで起きたテロである為、国に衝撃が走っています。

 

f:id:HKennedy:20160703051039j:plain

 

ハシナ首相は、「誤った情報によって導かれている弱い立場の若い人々に対して、私は一つの質問をします。罪のない人々を殺害して何を達成しようとしているのでしょう。イスラムは平和の宗教です。イスラムの名による殺人を止めなさい。我々の清い宗教に害を及ぼすべきではありません」と声明を発表しています。

 

バングラディシュの宗教人口は87%がイスラム教徒であり、12%がヒンズー教徒です。後はそれに続いて仏教とキリスト教、その他の宗教が、0.6%、0.3%、0.1%となっています。

 

ハシナ首相自身は世界のイスラム教徒の約87%から90%を占めるスンニ派イスラム教徒で、教義的にはISISもスンニ派に属しています。但し、ISISにとっては、世俗派はもとより穏健派のイスラム教徒ですら「異教徒」だと考えられ、バングラディシュ政府は敵のうちに数えられています。

 

『イスラム教が平和の宗教か』という議論はともかく、ISISやアルカイダは、その協力者や支援者を「イスラム教徒」の中に見出すことは事実のようです。一国のイスラム教徒の人口が増えれば、それだけ、彼ら過激派テロリストにとって、協力者や実行者を見出すことは容易であると言えそうです。

 

Dhaka cafe attack: Bangladeshi militants id'd in siege, officials say - CNN.com

米軍のISIS空爆に心を痛め「ヤディジ人の悲劇」を直視できない左派

アメリカ・オバマ政権は、ISIS制圧の為に最も効果的な「地上軍派遣」をせず、ISISの物資を運ぶトラックの列を断定的に空爆しているだけですが、それでもリベラル左派にとっては「環境に悪影響を与える」「市民に犠牲が出るかもしれない」という懸念が先立つようです。
 
 
歴史的文化財の破壊や動物虐待などの環境破壊はISISの得意とするところですが、「市民の犠牲」に至っては、米軍の空爆さえ無ければ「市民の犠牲は出ないのか」と逆に聞きたくなります。
 
「戦争はイヤ」というマントラさえ繰り返せば、戦争は起こらないのでしょうか。
 
戦争さえ避ければ、人権は守られるのでしょうか。
 
以下に、先月7日のイスラエル系Ynetnews、またWNDニュースをご紹介します。
 
-----
 
先週末、19人のヤディジ人女性がイラクの首都モスルで、ISISメンバーである強制結婚相手の夫とのセックスを拒絶した為、鉄の折に入れられ、目撃者の証言によれば何百人もの群衆の見守る中、生きたまま焼かれて処刑されました。
 
目撃者の一人がシリアのニュース・エージェンシーARAに語ったところによれば、「彼女たちは、何百人もの見守る中、生きたまま焼かれました。誰もあの恐ろしい罰から彼女たちを助け出す事が出来ませんでした。」もう一人の目撃者であるアブドラー・アル・マラは、「彼女たちはISISの民兵とのセックスを拒んだため、殺されました」と応えています。
 

f:id:HKennedy:20160702124819j:plain

 
ISISの民兵は2014年8月に、イラクのヤディジ人領域を侵略した後、何千にも女性を性奴隷として使用する為に強制連行しましたが、今回処刑された19人も、これらの女性の中に含まれています。アメリカのフォックス・ニュースの報道によれば、国連と人権擁護グループは、ISISに対してこれらの女性を釈放するように何度かISISに要請をし、ひどい人権侵害が行なわれていると報道しています。(イラク北部の)クルド人地域の政府によれば、ISISによってイラクやシリアでは、約1800人の女性が連行されたと見積もられていますが、国連の調査ではヤディジ人だけで、約3500人の女性が連れ去られています。
 
-----
 
1994年に起きた、約100日間の間に80万人から120万人のツチ族が虐殺された「ルワンダの民族浄化」については去年述べましたが、これは「戦争」ではありません。米国を含めた他国の軍事介入は無く、ツチ族は「国連平和維持軍」の目の前で虐殺されていきました。
 
現在のイラク・シリアで起きている、特にヤディジ人(その殆どはキリスト教徒ですが)を対象とした民族浄化の非は、全てISISを含むイスラム教過激派にあり、「穏健派イスラム教徒」も虐殺を援助している場合が報道されています。
 

       f:id:HKennedy:20160702124853j:plain

 
ISISは捕虜やヤディジ人などを、生き埋めにしたり、十字架につけて殺したり、斬首をしたり、檻に入れて溺死させたりしてきましたが、5月には25人の鉄の折に入れた捕虜を生きたまま酸のプールに沈め、体を溶かして殺害しています。
 
こういったISISへの制圧に、オバマ政権は『空爆』という方法で臨んでいるのですが、それでも左派には「残酷だ」と思えるようです。
 

英国の民意を批判し、『過激イスラム』と『ドイツ独裁』を擁護する愚

イギリスを代表する株価指数FTSE100の発表によれば、イギリスのEU離脱を問う国民投票の結果を受けて一時落ち込んだポンドや売りが目立った株価は、国民投票の行なわれた先週木曜日の水準以上に回復をしたようです。

www.theguardian.com

EU離脱によって株価が落ち込み、ポンドの価値が下落し、イギリス経済が不況に陥る事を警告した経済学者も多くいましたが、EU離脱までに月数があると考えられる事、またイギリス国立銀行や米国連邦(準備)銀行などが金利を低くして、英国経済のダメージを防ごうとすると見られた事が、ポンドやイギリス株の下落に歯止めをかけたようです。
 
また、イギリスのEU離脱に関連して、中東問題を専門に扱う保守派メディアの『Middle Eastern Forum』は、過激イスラム教の問題をBrexitの真の原因として、これを『臭いものに蓋』のように扱い、敢えて話題にしないEUや左翼エリート、また多くのリベラル派のメディアを批判するカナダ人で世俗派イスラム教徒のジャーナリストであるタリク・ファター氏の意見を掲載しています。

Radical Islam Was Brexit's Elephant in the Room :: Middle East Forum

 
自身が世俗派イスラム教徒(伝統文化、慣習的なイスラム教徒で、イスラム教を宗教的には信じていないイスラム教徒を指す)であるファター氏は、離脱が70%を超えた、かつて栄えた炭鉱の街であるバーンスリーでの、中年の男性の離脱に票を投じた理由を「イスラム教徒(の難民)がこの国に押し寄せる事を避ける為だ。単純な理由だよ」とイギリスのテレビ番組で答えた事を上げ、『過激イスラム』への危機感こそが、学者や政治家、メディアがはっきりと宣言しないまでも、離脱派が現状維持派を上回った理由であると分析しています。

f:id:HKennedy:20160630142632j:plain

 
またファター氏は、過激イスラムを問題視して『人種差別主義者』というレッテルを貼られる事を恐れる感情が多くの人々にあることを認めながらも、過激イスラムの問題が無いかのように振る舞えば、将来的に必ず極右勢力の反発があるだろうと予測しています。
 
人種差別主義者と見られる事への恐れは、イギリスだけでなくフランスでも特に左翼やエリート層の国民の間にありますが、過激イスラムやイスラム教の中世時代そのものの価値観を受容することへの抵抗感は、イギリス、フランス、ミャンマー、インド、中央アフリカなどで、実は殆どが抱えています。
 
続けてファター氏は、イスラム教の指導者が「過激イスラム」への受容を、ヨーロッパの街や路上、職場や学校で非イスラム教徒である地元民に対して強要し続けたり、路上を防いで金曜の祈りを捧げるならば、左翼に牛耳られているEU首脳がどのようにイギリスに対して『報復処置』を模索しても、英国の離脱に他の加盟国も続くだろうと分析しています。

f:id:HKennedy:20160630142716j:plain

 

民主主義的な手続きを以て『離脱』の意思表示をした英国を『ポピュリズム』と批判するメディアもあるようですが、むしろ共同体の一員でありながら、他の加盟国との同調や同意を得ないまま、多くのシリア難民の受け入れを独断で決行し、他国にもその政策のツケをを払わせているドイツのメルケル首相による『独裁』こそ、厳しい批判を受けるべきです。米国の保守派メディアは、英国の民意に対する批判を『反民主主義的だ』と酷評しています。
 
私は、感情的で反射的なナショナリズムやポピュリズムに決して賛同をするつもりはありませんが、EU離脱を望む英国民の意識は、現実を照らし合わせてむしろ理に適っていると考えます。批判されるべきは『過激イスラム』であり、移住先の先進国でイスラム主義社会を築き、地元に溶け込もうとしない多くの移民であり、また「民主主義的な手続きを省いて」80万人のシリア難民を受け入れを独断したドイツ・メルケル首相の『独裁』です。英国のEU離脱に対してドイツが批判をするならば、それこそ責任逃れの的外れでしょう。
 

f:id:HKennedy:20160630142743j:plain

 
イギリスが受け入れたシリア難民の数は5,000人です。これはドイツの80万人に比べれば僅少と言えますが、日本が去年受け入れたシリア難民はたった27人です。日本にシリア難民を受け入れる責務はない傍ら、イギリスがシリア難民を受け入れなければならない政治的、道義的、歴史的、言語、文化的責任も皆無です。

Japan took in just 27 refugees last year. Yes, for the entire year. - The Washington Post

 
イギリスと同じ立場に自国を置いて考えれば、軍事的、経済的に独立できる見通しが立つ限り、殆どの先進国、民主主義国家の国民は、ドイツの独裁(失政)の道連れとなるよりも、共同体離脱の道を選ぶでしょう。
 
ポピュリズムをいつでも手放しで賛同する事はありませんが、『過激イスラム』や『独裁』よりはマシであると考えます。