オバマ大統領の演説と『ブラック・ライブズ・マター』による警察へのテロ

木曜日、テキサス州ダラスで起きた反警察を掲げた『ブラック・ライブズ・マター(黒人の命には価値がある)』運動のデモ隊が警察官を襲撃し、5人の警察官がスナイパーによって射殺され、12人の警察官が負傷しました。
 

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実はこの事件が起こる数時間前、オバマ大統領は、「『ブラック・ライブズ・マター』と主張する人々がいますが、これは勿論、『警察の命はどうでも良い』というメッセージではありません。全ての(人種の)命には価値があるという意味です。ところが今、大きな懸念となっているのは、データによれば、黒人の命はこのような事件において、もっとも危険に晒されているという事実がある点です」と演説を行なっています。
 
オバマ大統領の演説は、七日に起きた警察による黒人男性の射殺が原因となっており、オバマ大統領は事件直後にも「これは黒人だけでなく、アメリカ全体の問題です」と演説をしましたが、翌日に別の警察によって白人男性が殺害された件は全く話題となっていません。

Fatal shooting of black man Philando Castile by police during traffic stop in Minneapolis caught on video by girlfriend

 
昨夜の演説で、オバマ大統領はいくつかの偽りを語っています。
 
まず、ブラック・ライブズ・マター』がただ単に「すべての人種の命には価値がある」という主張ならば、ブラック・ライブズ・マターの運動家たちが「オール・ライブズ・マター」(すべての命に価値がある)という主張に反対をし、「そういったスローガンは『人種差別主義だ』」と主張する理由は何でしょう。
 
彼らの主張が「すべての人種の命には価値がある」というものならば、「オール・ライブズ・マター」或いは「ブルー・ライブズ・マター」(警察官の命には価値がある)というスローガンに賛成できる筈です。
 
オバマ大統領が認めようとされないのは、ブラック・ライブズ・マターは『反警察』を掲げた国内テロ運動だという点です。『ブラック・ライブズ・マター』の運動家たちが掲げているのは、黒人の地位向上ではなく、反警察であり、標的となるのは、市民を犯罪から守っている警察官と一般の白人アメリカ人です。
 
また、「データによれば、黒人の命はこのような事件において、最も危険に晒されている」という主張ですが、『データ』が示すのは、全く逆の事実です。
 
2015年のデータによれば、警察による法的殺害で、黒人の約二倍の白人が死亡しています。ワシントン・ポストの報道によれば、警察による法的殺害の50%を白人が占め、黒人が警察によって殺される割合は26%となっています。
 
また人種を問わず、これらの警察の発砲は、「警察に対して銃を向ける」「警察の指示に意図的な不服従の姿勢を見せ、警察官の安全を脅かすと見られる行動をとる、或いはそういった行動をとると示唆する」為になされています。
 
人口構成を見れば、アメリカの人口の約62%は、白人が占め、黒人が占める割合は13%となっています。2009年のウォール・ストリート・ジャーナルは、全米75の大都市に於いて、強盗で起訴される犯罪者の62%、殺人の57%、暴行傷害の45%が黒人であるという司法統計局の調査を発表しています。
またニューヨークで黒人が占める人口比率は23%ですが、黒人が起こす発砲事件の比率は、全体の75%、強盗事件の70%、暴力犯罪の66%となっています。
 
黒人の犯した犯罪現場を目の前にして、警察官の意識がより緊張したものとなることは、黒人警察官ですら認めています。

The Racial Reality of Policing - WSJ

また、白人とヒスパニック系が警察によって殺害される割合は12%となっていますが、黒人が警察によって殺害される割合は4%です。本来ならば、反警察の運動として掲げるべきスローガンは「ホワイト・ライブズ・マター」や「ヒスパニック・ライブズ・マター」である筈です。
 
またフィラデルフィアの警察を対象とした2015年の司法統計局の調査と、ペンシルバニア大学の犯罪学のグレッグ・リッジウェイ教授の調査によれば、犯罪現場において、黒人の警察官が容疑者に対して発砲する割合は、他の人種の警察官よりも3,3%高い割合となっています。
 
FBIのデータによれば、警察官が黒人によって殺害される割合は全体の40%で、警察官が黒人によって殺害される割合は、武器不携帯の黒人が警察によって殺害される割合の18,5倍となっています。
 
またトレド大学の犯罪学者であるリチャード・ジョンソン博士のFBIのデータ調査によれば、2009年から2012年までに、平均して一年間に4472人の黒人が、別の黒人によって殺害されていますが、これは警察による黒人殺害の40倍に上ります。
 
別のFBIのデータによれば、2010年から2011年の一年間で、4906人の黒人が、別の黒人によって殺害されていますが、この数は、1882年から1968年までの間に、白人によるリンチに遭った黒人の数よりも1460人多い数です。
 
2013年のFBIのデータによれば、黒人が殺害された事件の90%以上が、別の黒人によって犯されています。
つまり、どのデータを見てもオバマ大統領の主張する『事実』とは別の統計が『事実』として出されていますが、「教えられた憎しみに煽動されて、感情的に反応する」人々によって、オバマ大統領の演説後、5人の警察官の命が奪われ、12人の警察官が負傷をしました。
 
警察当局による正当的防衛手段としての発砲が、あたかも警察による『人種偏見』『人種差別』が原因であるかのようなデマが流された『ファーガソン事件』の悪影響で、『人種差別主義者』と国家と国民から糾弾される事を恐れた警察が全米50の大都市のパトロールすることを控え、その為に、これらの都市での犯罪発生率は17%上昇しています。
 
また、2016年の過去3か月間の間に行なわれた警察に対する殺害事件は、既に例年の2倍に増えています。
 
共和党のポール・ライアンが警告した通り、「市民を犯罪から守る役目を負う警察への攻撃は、そのまま市民を攻撃する事と同様」であり、国を内側から崩壊させます。
 
5人の警察官が殺害された事件発生後、オバマ大統領は「警察を襲う行為は許されない」としながらも、「このような恐ろしい武器の所持が許され無ければ、このような事件は起こらなかった」と語り、更に警察組合や保守派からの怒りを買っています。