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ルワンダの虐殺・民族浄化-----アメリカの無い世界にようこそ (3)

ルワンダに残ったアメリカ人活動家、カール・ウィルキンソンは、アメリカ政府の全員よりも多くのルワンダ人を救ったでしょう。彼は、虐殺を行なっている50人程の過激派武装集団が、働いている孤児院を取り囲んでいるのに気付きました。
 
「彼ら武装集団は、皆マシンガンを持っていました。孤児たちを皆殺しにしようとしているのが明らかでした。私は、ルワンダ人の同僚に言ったんです。『どうしよう、ツチ族を皆殺しにしようとしているんだ。でも我々がここにいる限り、攻撃はしないみたいだ。』
 

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ウィルキンソンは、ルワンダ人の同僚を残して、地元政府の事務所に助けを求めに出かけると、応対に出た秘書課の男性が、「今、丁度ここに首相が見えています。彼に掛け合ってみたらいかがでしょう?」
 
「虐殺を直接指示しているフツ族政府の首相に助けを求めろって…? こんな事誰が信じるでしょう? でも、私にはそれ以外には、何の手段もありませんでした。ドアが開いて、みんな立ち上がり、首相を迎えました。私は駆け寄って、『首相閣下、私は奉仕活動をしているカール・ウィルキンソンです。』と手を差しだし、握手を求めました。首相は私の手を取り、握手をし、『あなたのお名前は聞いていますよ。どうです、状況は?』と聞きました。」

 

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「私は、『ご存じの通り、状況はあまり良くありません。虐殺が起こっています。孤児院が周囲を囲まれ、虐殺の危機に瀕しているんです。』 正直に話したんです。すると彼は振り返り、補佐官に何か言いました。そして『私たちは、その事を知っています。その孤児たちには危害が加えられないようにしましょう。』」
 
そしてその様に、彼らは守られました。何年も経って、首相は民族浄化の戦争犯罪を犯したかどで、国際裁判所に起訴されます。
 
「私は、ある人から見たら、虐殺を行なっているフツ族と交渉したり、或いは妥協したり、そういった見方も出来るかもしれません。でも、こういった虐殺は、複雑で、何というか、人間っていうのは…我々はみんな気付くべきなんですが、我々みんな、良くなる可能性もあれば、悪くなる可能性も多いんです。」
 
5月の終わりには、フツ族過激派には、これ以上殺戮できるツチ族が残されていなかったようです。
 
BBC放送の取材班がルワンダの虐殺の様子を取材しようとルワンダ入りします。
 
「私は、ニャルブイエの或る教会を訪ねました。どこにもたくさんの死体が転がっていました。死体を踏む事無しに歩くのは困難でした。教会内には学校の制服を着たままの子供の死体がありました。頭は勝ち割られていました。男の死体もありました。いたる所に死体が重なっていました。すると突然、隣の部屋から物音がしました。恐怖に包まれました。するとドライバーに言われたんです。『心配しなくていいですよ。ネズミです。』」
 

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「それから中庭に出ると、教会の壁の上に腕を広げたキリストの像がありました。その下には腕を広げた死体の残りがありました。私は元々カトリックの生まれなんですけれど、長い事、そういうものからは遠ざかっていました。でもそれを見た時、祈ったんです。一生懸命祈りました。『天にまします、われらの父よ。御名が崇められますように。御国が来ますように。』 その時、神の存在を信じる必要がありました。
 
人間がどれくらいの悪を行なえるか、頭では分かっているでしょう。でも実際にそこへ行き、そこを歩き、そういうものを目撃すると、人を変えます。」
 
 

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6月10日、民族浄化の法的定義を避けようとしてきたアメリカ国務省は、
「我々は"民族浄化のような行ない"が行なわれていると信じるに十分な根拠があります。(We have every reason to believe acts of genocide have occurred.)」と記者団に答えます。
「いくつの"民族浄化のような行ない"があったら、民族浄化となるのですか?(How many acts of genocide does it take to make genocide?)」
「そうしたご質問には、お答え出来ません。」
「民族浄化という言葉を使わないようにという指示が出ている、というのは本当ですか?」
 
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『民族浄化が行なわれていると知りつつ、何故放っておいたのか』という倫理的質問を避けるために、アメリカはこの後、『知らなかった』に徹する事を決めます。
 

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