アメリカ地方都市と慰安婦像設置運動 (2)

さて、グレンデール市に慰安婦像が設置された当時の市議のうちの二人、ザレア・シニャイナンとローラ・フリードマンを見てみよう。


ザレア・シナイニャンはアルメニア系アメリカ人である。この慰安婦像設置運動が韓国人団体の言う「女性の権利」や「人権」の向上についての意識を高めることを目的としているならば、彼の言論は正反対であり、糾弾するべき人物であると言って良い。シナイニャンはユーチューブやフェイスブックなどのソーシャルメディアでの発言で、良識派でなくても常識ある人物であるならば、眉をひそめるような発言を残している。

 

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その代表するコメントは、彼がユーチューブにコメントした「お前の尻にテニスラケットを突っ込んでやる」。同じくユーチューブでは、女性器名称を用いてディベート相手をなじったものもある。こう言った人物が、嬉々として女性の権利や人権を口実に日本を非難している事、又こう言った人物が市議を務めるグレンデール市に、韓国人団体が近づき関係を結んでいる事がどういう意味を持っているのか…邪推したくなってしまう。

Tropico Station: THE Glendale Blog: Zareh Sinanyan's Infamous Alleged Youtube Comments***

 

市議の一人、ローラ=フリードマンは今年の夏、「チベット人の為の人権委員会」に出席するためとして、チベット入りをしている。彼女にとってチベット訪問は少なくとも2度目だ。


そこで彼女が何をしているのかハッキリとはわからないが、忘れてはならないのは、中国共産党の支配下にある現在のチベットには「チベット人の人権を向上するための人権委員会」など無いと言う事実だ。チベット人の人権向上を目指すチベット政府は、現在も亡命中のダライラマ法王のもと、インドにある。中国共産党支配下で人権委員会など、チベット人が運営できるはずがない。

中国共産党支配下のチベットにとって、「開発」とは単にチベット仏教寺院の破壊、チベット人の強制退去、中国人の入植を意味する。

実際、チベット・ナショナル・コングレスは、この人権委員会開催について、以下の反対声明を出している。

བོད་རྒྱལ་ཡོངས་རང་བཙན་ལྷན་ཚོགས། | Tibetan National Congress | Tibetan National Congress Condemns China’s “Lhasa Consensus”

 

「中国は、ダライ=ラマがチベットの本当の姿を歪曲して紹介したと攻撃すると同時に、チベット人が幸福で宗教の自由を満喫していることを謳ったラサ=センサスという書類に、出席者が同意と署名をするように要求した。100人を超す外国の政治家たちを招いてのフォーラムが開かれている期間、平和デモを行なっていたチベット人のうち少なくとも10人が中国警察によって狙撃され、そのうちの5人は死亡し、25人が逮捕され、一人は拷問に抗議する為に焼身自殺をした。」

 

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これがチベット・ナショナル・コングレスの主張するこの開発フォーラムに対する反対声明の記事である。中国によるチベット人の人権侵害が広く伝えられているのに、フリードマンはどうして中国政府によるチベットの人権侵害を憂慮する主張をしないのか。むしろラサ=センサスという書類に署名することで中国側に組していると思われる彼女が、女性の権利や人権に対して本当関に深い関心を持っているとは到底思えない。

 


グレンデール市議達の行動に眉をひそめたくもなるが、不正で言えばニュージャージー州ユニオンシティーのブライアン・スタック市長をおいては語れない。彼こそが、慰安婦像設置運動のロビイスト達が近づき、運動に協力をしていく地方自治体の抱える矛盾を表している典型的ケースだと思われる。

 

ユニオンシティーは、ニュージャージー州に於いて唯一、過去三年間にわたり約17億円の援助を州から受けている、いわば破産した市である。援助への返済のめどは立っていない。


スタック自身も個人的に1万ドル(約1億円)近い借金を抱えている。借金だけではなく、彼はその不正行為によって実に33もの連邦の訴訟を抱え、現在もFBIによる捜査対象であり、又、百を超える裁判に於いて名前が挙げられている。


そのユニオン・シティーで、2014年の8月4日に、韓国人元慰安婦、李玉善(イ・オクソン)と、姜日出 (カン・イルチュル)を招いて新たな慰安婦碑の除幕式がニュージャージー州のユニオンシティーで行なわれた。

 

この式典に参加した元慰安婦達は、月刊WiLL誌、2014年10月号の拙稿で指摘したように、中国共産党が独裁政権を握る中国に50年以上滞在し ていただけでなく、およそ4500万人の死者を出した大躍進、文化大革命時に於いて中国解放軍に所属して看護婦として働いていた姜日出。同じく人民解放軍 に所属し1999年まで中国で暮らしていた李玉善の二人だ。

 

中国共産党の人民解放軍に属していたという事は、すなわち中国人民やチベット人、ウイグル人に対する殺戮を行っていた側に属していたという事になる。その彼女たちが、今になって、70年以上前の慰安婦制度の被害者として日本政府を訴えている、という構図なのだ。

 

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韓国系住民が多いグレンデール市と違って、ユニオンシティーには韓国系住民は殆ど住んでいないのだが、全米で6基目となるこの慰安婦碑は市の公共地に設置され、「日本帝国陸軍によって性奴隷になることを強制された 数十万の女性と少女を記憶にとどめる」との文字が刻まれている。


この式典ほど、慰安婦像設置運動の本質的偽善をよく表したものはないのではない。メディアと市の有力者達を招き、蝶の形をしたモニュメントを前に「我々は歴史から教訓を学び、こういった事が世界のどこに於いても二度と行われないようにしなければならない」とスピーチを行なった。

 

スタックがこのスピーチを行なった地点から、ほんの数マイル離れた場所で、当時ニュージャージー州の司法長官であったクリス・クリスティー現州知事が「最悪の人身売買のケース」と言った事件が起こった。

 

人身売買摘発の為に調査を進めていた司法当局が、ユニオン・シティーの2つの酒場とグーテンベルグ=タウンシップ内の小さな酒場で、強制売春組織が活動を行っている事を突き止めた。


被害者はホンジュラスから誘拐されて連れてこられた少女たちで、アメリカに密入国させられて昼の12時から明け方の2時まで週七日、飲酒と客との性行為を行うように強要されていたという。そのうちの一人に至っては、顧客との間に妊娠をして、風呂場において出産させられ、その生まれた赤ん坊が殺されている。


クリス=クリスティー司法長官(当時)の管轄下にある法廷で、証人として立ったルイサ・マドラノは、ユニオンシティーのブライアン・スタック市長とグーテンベルグのデヴィッド・デール・ダーナ市長に対して、彼女の経営する酒場における未成年者の強制売春について、見ないふりをしてくれるように何万ドルも賄賂を払って頼んだことを供述した。またマドラノがスタック市長の選挙キャンペーンに寄付を行なっている事も判明している。

Hudson Reporter - Chain reaction Pols want action on Stack contributions

Group accused of forcing Honduran women to work in New Jersey bars as slaves


ところが、この件に関して懲役刑の判決を受けたのはダーナ市長だけで、マドラノは保護観察処分、スタックに於いては、クリスティーの特別な計らいで、受け取った金額を女性の保護施設に寄付しただけでそれ以降の捜査の対象となることからも免除された。

マドラノの事件を未成年者の人身売買犯罪の最悪のケースと言いながら、その共犯ともいうべきスタックを無罪放免にした理由は何故だろうか。



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2009年、共和党議員であるクリスティーが州知事に立候補する際、民主党議員であるスタックは、クリスティーの支持を表明した。

 

普段は民主党候補に投票するユニオン・シティーのヒスパニック系が、どういう訳か、共和党からの候補者であるクリスティーに投票したのだ。

 

内情に詳しい人々からは、民主党政治家であるスタックの地区の、ヒスパニック系の1万7千票でクリスティーを当選させる代わりに、彼らの不正を免除すると言う裏取引がなされたのではないか、と推測をされている。

 

(3) へ続く