通州事件のユネスコ申請に関して…(2)

通州事件のユネスコ申請に関して…(2)

 

ナショナリスト的な考えでは、「中韓は日本の敵」、「アメリカも敵」、「中韓以外のアジアの国々では、戦中の日本の行ないは感謝をもって受け入れられている」という理解のようですが、実際の意識調査では、フィ リピン、インドネシア、マレーシアなどに於いても、日本の行ないについて充分な謝罪がなされていないと考える割合が、充分な謝罪がなされたという意見、また謝罪は必要ないという意見を上回っています。http://www.pewresearch.org/fact-tank/2013/08/15/decades-after-wars-end-some-of-japans-neighbors-still-see-need-for-atonement/

具体的には、フィリピン人の47%が、日本は第二次世界大戦の行ないについて「充分に謝罪をしていない」と答え、29%の「充分に謝罪をした」、19%の「謝罪は必要ない」を上回っています。

インドネシアは同じ質問に40%が「充分に謝罪をしていない」と答え、29%の「充分に謝罪をした」、6%の「謝罪は必要ない」と答え、マレーシアでは、30%が「充分に謝罪をしていない」 22%が「充分に謝罪をした」 10%が「謝罪は必要ない」と答えています。

ちなみに、同じ質問に対する日本人の回答は、28%が「充分に謝罪をしていない」、48%が「充分に謝罪をした」、10%が「謝罪は必要ない」と答えています。

第二次世界大戦中のアジアに於ける日本の行ないについて、日本が「犠牲者」としての史観を広めようとしても、そうした史観は、アジア諸国を含めて日本以外の国では受け入れられません。

「シンガポール華僑粛清事件」などは余り取沙汰されていませんが、これは日本軍によって組織的に計画され、実行された中国系市民への虐殺事件です。日本側が認めた被害者数は5,000と見積もられていますが、シンガポール側の発表では、5万から10万人が虐殺されたと記されています。

1966年10月25日、日本政府はシンガポールとの間で、2,500万シンガポール・ドル相当の日本の生産物と役務を無償で供与する、という内容の戦後賠償協定を締結しています。

これよりも小規模の 虐殺事件は他にも存在し、現地の人々に語り継がれています。

そうした歴史を乗り越えて、アジアの国々は、現在の日本を高く評価してくれています。この理由の背景には、今日の中国という、制覇主義国、拡張主義国からの脅威や、現在の日本の平和外交への評価がある事は言うまでもありません。

ただそれでも、「犠牲者としての日本」という史観は、他国からは受け入れられない史観でありそうです。ましてや「アジアの解放者としての日本」ともなれば、実際にどれくらいの現地の方が、そうした史観を受け入れられているでしょう。