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『ボルトン提言』の重要性---日本メディアはトランプ政治を見抜け

アメリカの政治事情
『ジョン・ボルトン元米国連大使は17日付のウォールストリート・ジャーナル紙に寄稿し「米軍の台湾駐留によって東アジアの軍事力を強化できる」と述べ、在沖縄米軍の台湾への一部移転を提案した。ボルトン氏は強硬派として知られ、トランプ次期政権での国務副長官起用が取りざたされている。』

https://www.google.com/amp/www.sankei.com/world/amp/170118/wor1701180019-a.html

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ボルトン元国連大使が、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に対中国政策への提言を書いたが、米国内では全く注目されていない。
 
それはそうだろう。元国連大使によるただの提言であり、トランプ新政権の政策にまつわるニュースではないのだ。そもそも、ボルトン元国連大使は、トランプ氏の外交政策アドバイザーではないし、国務副長官に取り沙汰されていると言っても、あまたの候補者の一人に過ぎない。トランプ氏に直接アドバイスする立場であるなら、ボルトン氏がメディアに対して外交政策の提言記事を書く必要も無かっただろう。

 

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トランプ氏は、ミット・ロムニー氏や、デイビッド・ペトレイアス元将軍、ルディー・ジリアーニ元市長、今まで多くの名前を、国務長官候補者として挙げてきたが、その本心は、これら共和党重鎮らを自身に屈伏させ、膝を屈める彼らを見て、己のエゴを満足させたいだけだろう。尤も、名前を挙げられた人々がトランプ氏に屈伏するとは限らないが。

Donald Trump rejected Secretary of State candidate John Bolton over his moustache, adviser reveals | The Independent

 
実際、国務長官として名前を挙げられた人々の数は多いが、トランプは最近になって国務長官にはレックス・ティラーソンをはじめから考えていたと発言している。

Trump: Tillerson Was the 'Man I Wanted From the Beginning'

 
そうであるならば、わざわざロムニー氏を二回も呼びつけることは無かったのだ。トランプ側はロムニー氏に対し国務長官の座をちらつかせて、選挙期間中にトランプ氏を批判した事を謝罪させたかったようだ。原則に立つロムニー氏は、勿論これに応じていない。

Trump should be the one apologizing, not Mitt Romney (Opinion) - CNN.com

 
因みに、ボルトン氏に関しては、髭が気に入らないと国務長官の候補から降ろしている。トランプが「気に入らない」といっている髭を剃るようなイエスマンになれないボルトン氏や、彼の提案が副長官として起用される可能性は少ない。

Donald Trump rejected Secretary of State candidate John Bolton over his moustache, adviser reveals | The Independent

 
しかもタカ派として知られるボルトン氏の対中、対ロ政策と、国務長官としてトランプ氏が選んだレックス・ティラーソンの意向は全く違っている。仮にボルトン氏が副長官として採用されても、彼は長官の意向に従う立場となる。
 
トランプ氏にとっては、良い提案や政策は関係が無い。むしろ自分の指輪に口づけを出来るかどうか、やりたいようにさせてくれるかどうかしか眼中にないのだ。

 

勿論、今までのアメリカ大統領は、政策を掲げ、それに向かって議会との協力や調整と共に政治を行なってきた。これからのトランプ政権は、そうではない。トランプ新大統領は、自分に与えられた立場と権力を利用して己のビジネスを潤し、自分や取り巻きを豊かにし、気に入らない国や人物への復讐を、政策やプロパガンダを通して行なうだろう。
 
これを防ぐのは議会の務めである。
 
ボルトン氏の提案は、もし実現されれば有益である。ボルトン氏の姿勢や、主張には賛同する。しかし、残念ながらボルトン氏はトランプ氏のアドバイザーではない。また、トランプ氏の政策決定に影響力を持たない人々によるキリの無い提案は、海外のメディアが取り上げるようなニュースではない。責任ある立場にない人間の提言や主張に一喜一憂し、踊らされ続ければ、真に重要なニュースや兆候を見逃す危険が伴う。
 
責任ある立場にない人物の一提言をもって、トランプ大統領に期待したり、新政権を評価するような愚かさからは、そろそろ卒業するべきではないか。