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ドイツ、クリスマス・マーケットを襲ったイスラム教テロ

国際政治事情 イスラム教 アメリカの政治事情

月曜夜、クリスマスの買い物をする客でにぎわうベルリンで、中世からの恒例となっているクリスマス・マーケットの人込みの人込みを目指し、トラックが突っ込み、12人が死亡し、約50人が負傷した。ドイツ当局をこれをテロと断定し、トラックの中に残されていた身分証明の書類から、チュニジアからの移民アニス・アムリ(24)を容疑者とし、行方を追っている。ISISはこの事件に関して犯行声明を出し、ヨーロッパの国々を恐怖に陥れた自分たちの勢力を誇示している。

イスラム教徒移民の間に過激派のジハーディストが紛れ込む危険性は、ドイツのメルケル首相による寛大な移民措置政策が開始される以前より警告されていたことだ。それでもドイツが、警告を無視する形で、率先して何十万人もの移民の受け入れを断行した理由には、第二次世界大戦への罪悪感があると考えられている。70年前のホロコーストの負い目が、ドイツを感情的な『人道主義』に追い立てたようだ。

以下は、ウォール・ストリート・ジャーナルの記事である。

A Terrorist Truck in Berlin - WSJ

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去年のテロのニュースはパリのナイトクラブでの銃撃だった。3月にはブリュッセルの空港での爆弾もある。7月にはパリ祭を祝う花火客の列へのトラックを使ったテロ、その何日か後にはドイツの電車内で斧を持った男によるテロがあった。月曜夜のテロは、ベルリンのクリスマス・マーケットを狙った、またトラックによるものだった。

ベルリンで起きたテロ攻撃の死者は12人にのぼり、およそ50人の負傷者がいる。ISISが犯行声明を出した。警察は月曜夜、容疑者を逮捕したが、彼とテロを結び付ける物的証拠が見つからず彼を釈放した。真犯人は逃走をしているのだ。

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今回のベルリンにおける攻撃は、ISISによって感化を受けた犯人による、86人が殺害されたフランス、ニースにおけるトラック・テロと酷似しているが、共通点はトラックというだけではない。テロリストは典型的な国家の伝統行事を標的にしたのだ。ニースではフランスの民主主義誕生を祝う記念日を、ベルリンではドイツの街々が中世の時代から継承してきたクリスマス・マーケットだ。これはヨーロッパ文化と価値観への攻撃だと言えるだろう。

 

ドイツに対する平手打ちは、特に手厳しい。メルケル首相は一年半に渡り、自国民に対し、中東からの移民を受け入れる事はドイツ価値感の本質であると精力的に説いてきたのだ。彼女は、安全保障の役人が何十万人もの真の難民に紛れてISISが戦闘員をヨーロッパに侵入させていると警告を与え、新しく到着した移民が、7月の電車内テロのように、テロ攻撃に関わってきたにも拘らず、それでも難民を積極的に受け入れてきた。

犯人が最近移民してきた人物であっても、或いはドイツにおいて過激化した長年の住民であっても、新たな脅威の増殖がドイツの安全保障の負担になっている事は間違いない。テロリストがシステムのひび割れから入り込むことは避けられないだろう。

この事件の結果は、被害者と遺族にとっては、悲劇であるが、メルケル首相にとっても警告となる。去年、ドイツのドアを圧倒的な数の移民の流出に開けたのは、彼女である。危機的な移民問題の最中における彼女の「私たちにはそれが出来る」という呪文は、政府が最低限の安全さえ保障できないならば、「いや、我々にはそれは出来ない」という有権者の答えとなる。

20世紀の歴史の中で、ドイツにおける取り締まりや監視は、特に悲惨であった。しかしテロリストは、彼らが見つけられる、どんな抜け穴でも悪用する。ウォール・ストリート・ジャーナルが報道した通り、12歳のイラク系ドイツ人の少年が、今月別のクリスマス・マーケットを爆破する為にリクルートされたり、16歳の少女はISISの司令部から警察を攻撃するように命令をうけているが、ドイツの法律は未成年に対する監視を禁じているのだ。

ドイツは、過去への恐れと現在イスラミストが有する危険の重大さとのバランスをどう取るか、痛みの伴う討論を行なう時期に来ている。去年メルケル首相が見せた寛大な歓迎は、増えつつある現実の世界の脅威によって和らぐだろう。

ヨーロッパは、イラクとシリアにおけるISISへの全面的戦闘へのアメリカの尻込みと、オバマ政権の残した空白を埋める能力のないヨーロッパ政策からの苦い実を収穫してきた。

その失政の代価は、今年のクリスマスを祝うテーブルの空席の数によって悲劇的に測られるだろう。

 

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