読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

トランプ次期大統領・台湾総督との直接電話会談

ドナルド・トランプ次期大統領は、金曜、台湾の蔡英文総督と直接電話で会談を行なった。トランプ氏は、大統領当選を祝う電話だったとツイートしたが、アメリカ大統領、及び次期大統領と台湾総督との直接外交は、アメリカの何十年にも上る外交政策の慣習を破るもので、中国政府の怒りを買う事は間違いない。

Trump Spoke With Taiwan President in Break With Decades of U.S. Policy - WSJ

トランプ次期大統領と蔡英文総督との直接会談は、中国による米国と台湾との直接外交交渉を阻止しようとしてきた中国の努力に逆らったものだ。中国にとって台湾は、独立国ではなく自国領土の一部と主張されている。

トランプ側は台湾大統領からの電話だったと主張するが、台湾政府は、この電話会談はトランプ側からアレンジされたものだったと述べている。台湾から帰って来たばかりの記者らは、台湾に漂う緊張感を伝えている。今日の台湾と中国の間にある緊張関係を考えれば、この電話会談の齎し得る災害を憂慮しない訳にはいかない。

Trump speaks with Taiwanese president, a major break with decades of U.S. policy on China - The Washington Post

f:id:HKennedy:20161203150142j:plain

メディアや外交、軍事、安全保障専門家からの猛烈な批判を浴びたトランプ氏は、「何億ドル分もの武器を売っている国からの、当選を祝う電話会談が問題なのか」とツイートしているが、このツイート自体が、中国の反発という寝た子を起こしている。

中国政府は、ホワイトハウスに事実関係の確認を行ない、ホワイトハウス報道官は、アメリカ政府が長年掲げてきた「一つの中国」政策に変更はない事を声明で発表した。

トランプ次期大統領による、慣習に従わない外交は、外交官らからも大きな懸念を招いている。自身をどの専門家よりも賢いと主張してきたトランプ氏は、その主張によって一部有権者から熱狂的な支持を受けてきたが、同時に専門家らからは厳しい批判と大きな危惧のもととなってきた。熱狂的な支持者の中には、トランプ氏をロナルド・レーガン故大統領になぞらえる人々もいるが、レーガン大統領の得票率、支持率は、トランプ氏のそれとは全く違い、高かった。

何より考慮するべき点は、レーガン大統領が、同盟国を防衛する決意に揺ぎ無い事を常々示していたのに対し、トランプ氏は立候補以来、同盟国がきちんとアメリカによる防衛に見合う負担を支払ってきたかどうかを問題にしてきた点にある。

誤解の無いように言うが、トランプ氏の発言は正しい。中国はアメリカにとって同盟国ではない。経済的な交流があるとしても、アメリカの安全保障にとしては敵国である。中国を怒らせない事がアメリカの外交政策であってはならない。

それでも、トランプ氏の台湾に対する認識や、トランプ氏による発言を台湾がどう受け取るかが問題なのではなく、トランプ氏の発言によって、台湾問題がいかに重要か明確に(軍事行動によって)示さなければならないと中国に思わせることが懸念なのである。その時に、ただでさえ、同盟国への安全保障上の義務から解放されるべく主張を繰り返してきた上に、国民の大多数から支持を受けているとは言い難いトランプ大統領が、自身の招いた種として、台湾の防衛の為に米軍を派遣するだろうか。

勿論、私は個人的に、台湾を独立国として考える。しかしながらアメリカの外交政策の慣習も知っている。トランプ氏の台湾問題に関する真意は分からないが、もし、中国による軍事行動を通しての「明確な意思表示」に、軍事介入をして台湾の安全を守る意思が無いならば、一般人ならいざ知らず、次期大統領として、わざわざ中国の反応を伺うだけの挑発は避けるべきではないか。

トランプ氏のツイートを以て、トランプ氏による台湾独立支持と、台湾防衛の決意を見出す支持者がいるとすれば、余りにも希望的観測が過ぎる。