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トランプ氏が主張する、大統領選「300万の不法工作」

アメリカの政治事情

緑の党のジル・スタイン党首が、スウィング・ステーツと呼ばれる州の開票の再集計作業を申請し、ウィスコンシン州の選挙管理委員会がそれに応じている。

 
スタイン党首は、ミシガン州とペンシルバニア州の再集計も申請しており、これらの州の動向が注目されるが、再集計によって選挙結果が覆る事は殆どない。

http://www.freep.com/story/news/politics/2016/11/27/michigan-presidential-recount/94509238/

 
この運動は、もともとジル・スタイン党首の主導によって行なわれたものであり、スタイン党首はこの再集計の申請の為に、約6億円以上の寄付を集めたと言われている。
 
クリントン陣営のトップ弁護士は、当初は再集計申請の活動からは距離をとっていたが、ウィスコンシン州選挙委員会の解答を得た後、「クリントン陣営が調査した中には、投票にハッキングなどの不正があったという証拠は全く発見されていない」としながらも、「選挙結果を覆すつもりは無いが、全ての側にとって公正に選挙が行なわれた事を証明する為に再集計を求める努力そのものには協力する」という姿勢を発表した。

Clinton to join recount that Trump calls 'scam' - CNNPolitics.com

 
ところがここにきてトランプ氏は、昨日から今日にかけ、緑の党をもくろみを嗤うものからヒラリー・クリントンは負けを認めているという類のツイートを9回行ったが、5時間前から4回のツイートで「選挙団制度を使った投票で、自分は圧勝したが、一般投票でも自分は圧勝する筈だったのに、300万件の不法投票の為に一般投票での勝利がならなかった」「ヴァージニア州、ニューハンプシャー州、カリフォルニア州での大規模な不正工作が行なわれた。なぜメディアは報道しない。偏見がある」等の全国的な大規模の不法投票、不正工作が行なわれたという類の主張し始めている。

Trump's baseless assertions of voter fraud called 'stunning' - POLITICO

 
勿論、このような大規模な不正工作や不法投票の証拠となるものは何もない。2008年には市民権を得なていない人々の6,4%が投票し、2010年には市民権を得ていない人々の2,2%が投票したという説が流れたが、これはワシントン・ポスト紙のブログ記事を基にした噂であり、選挙分析を行なう専門家が今年初め、統計の取り方によるミスであるとした分析結果を出している。

 

f:id:HKennedy:20161128114721j:plain

 
トランプ氏による300万人分の不法投票説は、ありとあらゆる陰謀説を流布するアレックス・ジョーンズ氏のメディア「Infowar」やブレイトバート誌のマイロ・ヤヌポロス記者等、アルトライト・メディアが流しており、トランプ氏は自身でアルトライト(ネオ・右派)との関わりを否定したものの、陰謀説とアルト・ライトが流す情報を鵜呑みにしていると言える。
 
当たり前のことだが、選挙に勝利し、当選したのは、トランプ氏である。敗者の側が選挙の不正を捲し立てる事はあっても、当選者までが大規模の不法行為が行なわれたと主張する事は有り得ない。もしトランプ氏の言う通り大規模な不法行為が行なわれていたとするならば、真実は再集計によって明らかにされるより他には無い。
 
であるから、緑の党のスタイン党首の再集計活動や、トランプ氏当選が受け入れられない一部の人々による『再集計の要求の正当性』を最も強く主張しているのは、トランプ氏自身なのである。
 
トランプ氏自身にも、陣営にも、支持者にも、このような主張の意味や結果が理解出来ていないようだ。
 
恐らく選挙結果について言えば、ヒラリー・クリントン陣営が主張している通り、トランプ氏当選を覆すものではないだろう。ところが、トランプ氏には「一般投票ではヒラリー・クリントン候補が200万人以上多くの票を獲得していた」とする「人気投票の結果」を受け入れる事も困難なようだ。
 
本来ならば政権の人材や政策の指針に時間を割いているべき時であるのだが、トランプ氏やトランプ陣営が最も関心を持つのは、「他人が自分をどう崇めてくれているか」という人気投票であるのかもしれない。