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『450人のトルコ人国外追放』という暴挙

7月に起きたクーデター未遂事件以来、反対派や民主運動家らの弾圧を続けるトルコは、その弾圧の矛先を海外にも向けています。

 
独裁色を強めるレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領のトルコ政府は、トルコ初代大統領のムスタファ・ケマル・アタテュルク以来の国家方針であった、『世俗主義とイスラム教を矛盾させない』運動を続けてきた、世俗派イスラム教徒で、トルコの市民運動家でもあるフェトフッラー・ギュレン氏を、クーデターの首謀者と決めつけています。
 
現在アメリカ在住のギュレン氏はクーデターとの関わりを否定し、アメリカ政府もトルコ政府による身柄引き渡しの要求を退けていますが、エルドアン大統領がクーデター未遂事件を口実に、政敵や民主運動家らの弾圧を続けている事は否めません。
 
トルコ政府は弾圧の矛先を海外のトルコ人にも向け、パキスタンにある28の『パク・トルク・インターナショナル・スクール』がギュレン氏と繋がっていると主張し、先週パキスタンを訪問したエルドアン大統領は、パキスタン政府に対処を求めました。学校側はトルコ政府による主張を、その裏付けとなる根拠がないと関わりそのものを否定していますが、パキスタン政府はこれに応答する形で、『パク・トルク・インターナショナル・スクール』に勤務する約100人の教師とその家族ら、合計約450人の、72時間以内の国外退去を命じました。

Pakistan expels Turkish teachers at 'Gulen-linked' schools - BBC News

 
子供が通う学校の教師らの国外退去命令を受け、パク・トルク・インターナショナル・スクール父兄グループは、この措置に反対する運動を起こし、この命令を人道的見地から見直す要求を裁判所に提出しましたが、裁判所はこの訴えを却下しています。
 
約450人に上るトルコ人教師とその家族は、急な国外退去を悲しむ生徒、父兄、同僚や友人らの涙の中、期限の11月20日、トルコを後にしました。

Tears and sadness as Turkish people pack up to leave Pakistan | The Indian Express

 

www.youtube.com

 
7月のクーデター未遂以来、トルコ政府はギュレン氏と繋がりがあると思われる人物や組織を、社会の全ての層から排除しようと試みています。何万人にも及ぶ人々がこの粛清によって職を奪われましたが、この中には軍人や政府役人、教師らも含まれています。
 
先にも述べた通り、この粛清はクーデターを口実とした反対派や民主運動への弾圧であり、20日にパキスタンを後にした450人のトルコ人教師とその家族らが、トルコ政府によってどのような扱いを受けるのかは未定です。

 

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              別れを惜しむトルコ人教師とパキスタン人生徒ら
 
イスラム教国でありながら民主主義国家を標榜していたトルコは、西側にとって重要な同盟国の一つとして現在まで在りました。ところがトルコの民主主義は、イスラム主義の台頭と、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の専制独裁主義によって、有名無実化しています。
 
多くの大衆が、自らの好む独裁者による専制政治を、意見を異にする政治家らによる議会政治に勝ると考えた時、確かだと思われていた民主主義や法治システムなどは、儚く崩壊してしまうのかもしれません。