『銃によるトランプ暗殺の未遂』という誤報、デマ

 
土曜日のネヴァダ州で行なわれたドナルド・トランプ氏の選挙ラリー中、トランプ氏があたかも漢に襲われそうになったかのような一幕がありました。ユーチューブやツイッター。フェイスブックなどのソーシャル・メディアの投稿には、「トランプ、銃による暗殺未遂」等の見出しも見られたようです。

 

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               セキュリティーに囲まれ避難をするトランプ氏
 
多くのトランプ支持者などは、民主党支持者が「事件」を起こしたかのように一斉に批判し、トランプ氏の子息である、ドナルド・トランプ・ジュニア氏等は「民主党支持者の暴力を止めよう」とツイートしていますが、事件直後に「暴漢」と一部メディアに報道された、この騒動の渦中の人物、オースチン・クライツ氏は、トランプ氏に反対する共和党支持者である事が判明しています。

Trump protester: I was beaten for holding a 'Republicans against Trump' sign | US news | The Guardian

 
そもそもこの騒動は、クライツ氏が「トランプに反対する共和党員」と書かれたプラカードを掲げようとした際、怒り狂った周りのトランプ支持者らがそれを取り上げようとクライツ氏に向けて殺到し、彼らがクライツ氏から何かを取り上げようとしている様子を見た別の支持者が「銃だ!」と叫び、パニックに陥ったトランプ支持者によってクライツ氏が殴る、蹴るの暴行を受けたのが事実であるようです。
 
騒ぎを聞きつけた警察官により一時拘束され、直後に釈放されたクライツ氏は、メディアのインタビューに対し、「警察が駆け付けるのが遅かったら、殴り殺されているところだった」と恐怖の様子を語っています。勿論、現場からも、クライツ氏からも、拳銃は発見されていません。                
 
トランプ支持者の中には、トランプ氏が国の為に暴漢に襲われたかのように、トランプ氏の勇気を称える人々もいますが、実際には、トランプ支持者らによって平和的反対者に暴行が加えられた事件であり、トランプ陣営による民主党やメディアへの批判等は、恥知らずなお門違いと言えます。
 
また、トランプ陣営や支持者は、何故か不正選挙が民主党支持者によって行なわれていると主張しますが、実際にあった事件として、アイオア州のトランプ支持者、テリー・リン・ロート(55歳)がトランプ氏への二度目の投票を行ない、逮捕されています。
 
テリー・リン・ロートが逮捕された翌日、トランプ氏は、「トランプにキチンと票が入るように、二度投票をするように」と支持者に向けて発言していますが、この発言は「トランプ当選の為には不正を行なって構わない」と受け取られ兼ねません。

Donald Trump Encourages His Supporters To Vote Twice | Huffington Post

 

トランプ支持者の中には、「もしトランプ氏が落選し、ヒラリー・クリントン候補が当選すれば、自分の手で正義を行なう」とメディアに向けて語る支持者もいる事を考えれば、トランプ氏による軽はずみな「不正がある」発言などは、支持者が法を軽視し、彼らの違法、暴力行為を正当化するキッカケとなります。

http://www.nytimes.com/2016/10/28/us/politics/donald-trump-voters.html?_r=0

 
また、民主党支持者が、有権者に向けて嫌がらせや脅迫を行なっているかのようなデマを流すトランプ支持者が多いのですが、インディペンデントから立候補し、ユタ州勝利が噂されているエヴァン・マクミラン候補を中傷する為に、「マクミランはゲイである」「マクミランはヒラリー陣営から資金を受けている」等の録音メッセージを、トランプ支持団体がユタ州の有権者に向けて電話で流していた事が判明しています。一方、民主党支持者からの嫌がらせは伝えられていません。

Trump Campaign Scrambles To Lock Down Utah - BuzzFeed News

 
つまり、不正や嫌がらせ、暴力行為を行なっているのは、一部のトランプ支持者なのですが、熱心なトランプ支持者たちは、事実関係には一切お構いなしに、民主党支持者やメディアによる陰謀説やデマを信じ、拡散しているようです。

 

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                 大きな騒ぎとなったラリー会場
 
フェイスブックなどにも、あたかも今日の騒ぎは民主党支持者やメディアに非があり、トランプ陣営が不正や暴力と戦っているかのような示唆する投稿が見られますが、それらを見るにつけ、「熱心なだけで知識がないのは良くない」という言葉が思い浮かぶのと同時に、「一体、不正を煽り、それを行なっているのはどちらなのか」という腹立たしさと、自分たちの行為に疑問を持たない支持者の多いことに、危機感を感じます。