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『MAGA』---南北戦争以来、最も危険な政治キャンペーン

私は今まで、ドナルド・トランプ氏は白人至上主義者、或いは人種差別主義者ではない、と述べてきました。

これは、トランプ氏は単に人種によって人々の優劣を決めるようなイデオロギーではなく、『自分自身にとって益となるか』、或いは『自分に対してどんな称賛を送っているか』という自己愛を以て、他者への判断基準にしていると分析しているからです。

但し、彼のような自己愛の持ち主は、ある人によって害を加えられていると感じれば、その人の人種や宗教、年齢、学歴、性別、職業、収入、容姿、障害、国籍に至るまで、ありとあらゆる要因を以て攻撃の材料とするでしょう。

 

今までのトランプ氏の言動には、仲の良いマイク・タイソンをそのレイプ疑惑から庇い、O.J.シンプソンを自身のリアリティー番組に招こうとしたかと思えば、全ての黒人を十把ひとからげにして「黒人の住む区域は、人が撃たれずに街を歩くことは出来ない」「アメリカの歴史上、今が黒人にとって最も酷い時代だ」と述べたり、KKKの元リーダーを批判するのに躊躇をする時もありました。

メキシコ人をターゲットに、強姦犯、犯罪者と呼びつけたかと思えば、メキシコ料理であるタコスを食べている写真をツイートしましたが、自身のトランプ大学の詐欺事件を扱う連邦裁判所判事がメキシコ系アメリカ人であると知るや、「彼はメキシコ系である為に、公正な裁判が出来ない」と繰り返し主張しています。

 

要は、自分に対して損害を加えると見られる人物に対して、その人の持つ、最も差別され易い特徴を用いて、その人を攻撃をするのがトランプ氏の傾向です。ですから、トランプ氏自身がある人物によって批判をされたり、攻撃をされたと感じれば、その人の人種や年齢、宗教、或いは容姿、傷害などを挙げて罵ります。このような残酷さは、8歳くらいの手に負えない苛めっ子に見られますが、トランプ氏の場合は、極端な自己愛人格障害の例に当てはまります。

 

但し、例えトランプ氏が人種差別主義者でないとしても、トランプ陣営や支持者の間に人種差別主義が無い訳ではありません。残念なことに、とっくに廃れたかと思われた白人至上主義者や差別主義者は、トランプ陣営に根強く存在しています。
白人至上主義の中でも、特に反ユダヤ主義、反イスラム主義が強く、トランプ氏への批判を記事にしたユダヤ系ジャーナリストや黒人の子供を養子にしたジャーナリストらは、愛国者を気取るトランプ支持者らからフェイスブックやツイート、ウエブサイトにおける嫌がらせや脅迫だけでなく、自宅に押し掛けられたり、留守番電話に脅迫メッセージを残されています。

 

デイリー・ワイヤーの編集長であるベン・シャピロ氏は、その名前の通りユダヤ系ですが、悲しそうな顔の彼をガス室に閉じ込め、笑いを含んだトランプ氏がガス室のボタンを押そうとしているイラストがシャピロ氏に送られています。一時はインディペンデントからの立候補が噂されたデイビッド・フレンチ氏は、7歳になる実娘や、夫人の顔写真を使った嫌がらせの写真が次々に送られたようです。

 

デイビッド・フレンチ氏が書かれた以下のナショナル・レビューの記事は、トランプ支持者によって毎日、毎時間行なわれている、トランプ批判を行なったジャーナリストに対する人種差別的嫌がらせのごく一部が書かれています。

Donald Trump’s Alt-Right Supporters: Internet Abuse Must End | National Review

 

[私は当時7歳だった実娘の顔がガス室の中にはめ込まれている写真を始めてみた時の事を覚えている。あれは2015年の9月17日の夜だった。『コーナー』(ナショナル・レビュー誌の中の社説)に、話題となったトランプ・ラリーで、アン・コルター(トランプ支持のライター)がアルト・ライト(極右)の使う白人ナショナリストの言葉やレトリックを真似した模様を、短い批判記事として掲載した後だ。何分かして、溢れるようなツイートが入ってきた。私の一番下の娘は、エチオピアから養子縁組をしたアフリカ系だ。アルト・ライトの人々にとって、それは赦されない罪のようだ。そうした行為は『人種不貞』、或いは『敵を育てている』と呼ばれるらしい。私は娘の顔がガス室にあり、笑いを称えるトランプがナチスの制服を着て、今にもボタンを押し、娘を殺そうとしている写真を見た。彼女がフォト・ショップで、奴隷の顔に入れ替えられている者も見た。彼女が「ニグレット(ニガーという黒人に対する差別用語とブタのピグレットを掛け合わせたもの)」と呼ばれていたものも見た。

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                  デイビッド・フレンチ氏に対する嫌がらせ

 

アルト・ライトらは、私の妻のナンシーが、私がイラクに従軍している間に黒人の男性らと寝ていたと妻に対する攻撃を仕掛け、私が妻と黒人男性らとのセックスをしている様子を見るのを好むと主張した。彼らは妻に黒人男性と白人女性がセックスをしている様子を、私が傍観しているフォト・ショップを送り付けた。

 

私がこれらの人種差別的な攻撃を「ナショナル・レビュー誌」に、妻が「ワシントン・ポスト紙」に公表すると、事態は更に不気味さを増した。次の夜遅く、幸いにもナンシーがワシントンDCで開かれた退役軍人の為のチャリティーに参加している間、更に陰湿なアルト・ライトたちは彼女のパテオス・ブログを見つけたらしい。いくつかのアカウントが彼女のブログのコメントセクションに、極めて暴力的な写真やGIFを投稿し始めたのだ。それをクリックすれば、黒人の男性が別の黒人男性を射殺したり、自殺の様子であったり、残酷な処刑のGIFであったり、一度見てしまえばなかなかその映像が忘れられなくなるような心理的恐怖心を煽る映像だ。イラクに派遣され、間近に死を目撃していなかったら、これらの映像にショックを受けただろう。私はすぐにナンシーに電話をし、彼女のウエブサイトを開かないように伝え、これらのコメントの消去とIPアドレスのブロックを始めた。それでも、何人かの隣人や友人は、これらの映像を見てしまったようだ。

 

次の日曜日、教会で友人が近づいてきて、我々の安全だけでなく、彼らの安全に対する心配を打ち明けてくれた。我々の地域には似た名前が多くあり、郵便配達や宅配員や、訪問客が住所を間違える事が多くある。彼らはこれらの映像を脅しと受け取り、誰かが我々の近所にやって来て、あの映像の通りを実現するのではないかと心配していた。何日か経過し、その間に何百ものIPアドレスのブロックや、ツイッターでの苦情報告を行ない、何とか平穏が取り戻せたかのように思えた。洪水のようにやって来た人種差別的な映像は、水滴の滴りと変わった。夜には何とかリラックスする事も出来るようになり、平穏でノーマルな生活が戻ったかと思えた。が、それは誤りだった。これは我々の困難の終わりの始まりではなく、序章の終わりであった。] 

 

更に、デイビッド・フレンチ氏の記事は、他の多くのトランプ批判記事を書いたジャーナリストらに対する脅迫や嫌がらせの数々を記しています。こうしたトランプ支持者による嫌がらせは決して珍しい事ではなく、私自身、何度も経験をしています。

 

アメリカで最も批判されるべき卑怯な差別集団がトランプ支持者のどれくらいを占めるかは定かではありませんが、およそ2割から4割ではないかと言われています。勿論、多くのトランプ支持者は、これらの卑怯な差別主義者と決別しようとはせず、愛国の美名のもとに、トランプ批判を行なうジャーナリストやメディアの『陰謀』を疑い、トランプ批判をする政治家やその他の有権者を、アメリカの敵であるかのように非難し続けるばかりです。但し、彼らはアメリカの敵であり、アメリカ政府や民主党へハッキングを行なったロシアを擁護し、時には称賛して見せます。

 

こういったトランプ支持者に対する強い批判を、核戦争(戦略)の専門家であるトム・ニコールズ氏は以下のように述べています。

 

「私はヒラリー・クリントンが大嫌いだ。しかし、マクミラン勝利が見込めるユタ州以外の全米で、クリントンがトランプ・キャンペーンを細部に至るまで壊滅する事を願っている。デイビッド・フレンチやその他の人々が通ってきた事を考え、又私自身のこれらの狂信者とのやり取りや、トランプの「不正選挙」云々の主張を考え、私は自分に出来ることをしてトランプを制止しようと思う。言葉を換えれば、トランプと彼の狂人たちは、ヒラリー・クリントンへの投票以外、私に選択の余地を与えてくれていないのだ。全てのトランプのキャンペーン協力者、トランプ支持の評論家、「MAGA(アメリカを再び偉大な国とする)」の赤い帽子をかぶる全ての愚か者らは、南北戦争以来、最も危険な政治キャンペーンの共謀者である。」