アフガニスタンの少年性奴隷---西側は倫理的罪悪にどのように関わるか
アフガニスタンでの米軍にとって、同盟相手であるアフガン警察の協力は、タリバンやISISなどのイスラム教テロリスト制圧の為にも欠かせません。ところが、アメリカやNATOに協力してイスラム教過激派と戦うアフガン警察と言っても、その中には腐敗があったり、西側との大きな文化の違いが存在します。
深刻な文化の違いの一つとして懸念となっているのが、アフガン警察による、地元の未成年に対する性的虐待です。アフガン警察等は米軍の武器によって武装されていますが、それを使って近隣の村落を襲い、未成年の少年を誘拐し、奴隷として鎖につないだまま、恐怖と痛みに泣き叫ぶ少年に対して強姦を繰り返す例が絶えません。
これはアフガニスタンには、有力者が少年の性奴隷を多く所有する事がステータスの誇示として見做される文化があるからです。
これに対して、アフガニスタン駐屯の米軍の関わりが問題となっています。米軍の基本精神として、アメリカでは犯罪である児童に対する性的虐待については、見て見ない振りをするように指示があった事を、約30名の兵士が証言しています。
ところが、米軍の基地内で、誘拐してきた少年を強姦したことについて笑って話したアフガン警察関係者が、この虐待を見て見ぬ振りできないと感じた米軍海兵隊員によって殴られた事件がありました。所属していた米軍海兵隊左遷されたチャールズ・マートランド軍曹への処分の妥当性を巡って裁判が開かれています。
この裁判に関連して、海兵隊と米海軍の将校らは、アフガン警察署長による少年らへの性虐待の事実が行なわれていた事を承知しながら、署長を放置していたこと、また2012年8月10日、このアフガン警察署長によって性的虐待を受けていた少年の起こした米軍基地内の発砲事件で、3人の米軍海兵隊員が死亡し、一人が重傷を負っていた事も、提出された文書によって明らかになりました。
米軍のなかには、誘拐された幼い少年が権力者によって繰り返し強姦されるのを「米国の倫理観を以て多文化を批判してはならない」という規則によって見て見ぬ振りをするしかなく、その精神的苦痛と無力感によって鬱病となる兵士も出ています。
マートランド軍曹は共和党のダンカン・D・ハンター議員の介入によって、米軍内の任務に留まることが許されましたが、これから、イスラム教過激派だけでなくイスラム主義国との関係の中で、性奴隷として性暴力を受ける多くの女性や子供達を目の前に、自分がその「倫理的な罪悪」に直接加担しないとしても、個人として、また国として、どのように関わるべきか考える時が来るかもしれません。