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誰にも分らないトランプ氏の移民政策と裸の王様

昨日の記事では、トランプ氏の移民政策が180度方向転換され、アムネスティーを主張するようになった、と書きました。

 
その通り、トランプ氏が副大統領候補として任命したマイク・ペンス、インディアナ州知事も、トランプ氏の方向転換を「慈愛と人道に満ちた移民政策」として、第一に「国境警備を充実させ、現在の移民法に則って適切に処置する」とし、トランプ氏が主張していた「強制送還特別部隊」については、「政策ではなく、メカニズムである」と答えていました。

Pence: Trump's Deportation Force Is a 'Mechanism, Not a Policy' | The Weekly Standard

 
それを受けて「強制送還特別部隊の設置」から立場を変えたというのが、ショーン・ハニティー、アン・コルターやラッシュ・リンボーなどのトランプ支持者のメディア関係者さえ、「裏切られた」「もともと信じてはいなかった」などの狼狽ぶりを示していました。
 
ところが、昨日のメキシコのペンニャ・ニエト大統領との会談で、トランプ氏は「国境沿いの壁については話に出なかった」と発表しましたが、それを受けてペンニャ・ニエト大統領は「メキシコは壁について費用を払うつもりは無い事をハッキリと伝えた」とツイートし、トランプ氏もそれを認めるに至りました。
 
その後、トランプ氏は移民政策について演説をしましたが、その内容は今までの主張に近く、メディアは競って「トランプ・熱い演説で再び大規模強制送還へ(NBC放送)」「トランプ・壁を建て、強制送還をすると宣言(フォックス・ニュース)」「トランプ・強制送還を再び明言(US News and World Report)」と報道しています。
 
トランプ氏に対するヒスパニック系のアドバイザー委員会30人のうちの約半数が、昨夜のトランプ氏の移民政策についての演説後に辞任を表明し、そのうちのジェイコブ・モンティ氏は「メキシコからフィネックスに向かう途中、誰と話をしたのか知らないが、急に立場を変えた」とトランプ氏への支持を撤回し、全国ヒスパニック・アドヴァイザリー委員会の代表で、テキサス州の牧師であるラミロ・ペンニャ師は、「トランプ氏は今夜、選挙に敗北したと考える。全国ヒスパニック・アドヴァイザリー委員会は、幻覚を見ていたようです。私はこれ以上の詐欺に騙されるような、時間もエネルギーもありません」
 
ところが、ナショナル・レビュー誌のジョナ・ゴールドバーグは、「確かに、トランプ氏の演説のトーンは、トランプ氏が全ての不法滞在者を強制送還させると思わせている。その証拠に、多くのメディアは競ってトランプ氏が元の移民政策に方向転換をしたと書いている。しかし内容はそれほど極端ではないという分析もある。これからのメディアの取材で、一体トランプ氏の具体的な移民政策はどういったものなのか、多くの質問がなされるだろう」と書いています。

www.nationalreview.com

 
実際、チャールズ・クラウサマー氏の分析や理解では、声のトーンは厳しいものの、内容はソフトになってきていると見ています。 

The Corner | National Review

 
いずれにせよ、矛盾を抱えた発言やスピーチを繰り返し、その都度「立場は一貫している」と説明するため、増々混乱を招いているのが本当のようです。昨夜の演説は、移民政策における「過去の発言を説明する為の前回のスピーチを明確に表す為になされた2週間前の宣言を明らかにするための演説」だと言われていますが、トランプ氏が語れば語るだけ、聞く側が困惑し、誰も何が起こるかわからない政策となっています。
 
それでも「一貫して立場は変わっていない」と言われれば、その「一貫した立場」が分からない方に理解力が足らないように聞こえますが、これこそ「裸の王様」の究極たるものでしょう。
 

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全米5か所の都市(ニューヨーク、シアトル、ロサンゼルス、サンフランシスコ、クリーブランド)に一斉に現れた、全裸のドナルド・トランプ氏の像