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11月の大統領選挙不正を今から訴えるドナルド・トランプ氏

多くの世論調査に見る支持率で、伝統的に共和党が強いと考えられていた州でも、ヒラリー・クリントン候補にリードされているドナルド・トランプ氏は、これらの世論調査を「不正」「メディアによる嘘」と主張し、しかも11月の大統領選においても不正投票が行われるだろう」という、無責任極まりない見解を示しています。
 
これらの発言は、支持率の低迷による大統領選挙での敗北を見越して、自分が負けるのは偏見で固まった左翼メディアによる情報操作と、反対者による不正が行われるからだ、というメッセージを支持者に対して送ることを目的としているようです。
 
 
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共和党からの大統領選候補者となったドナルド・トランプ氏は、11月の選挙が公正に行われるという見方に疑問を投げ掛け、支持者に対して、ヒラリー・クリントンが大統領として当選する際には、不正が行なわれたとして、結果を受け入れないように呼び掛けている。
 
トランプ氏は、今週訪れた殆ど全ての選挙ラリーに置いて、選挙のシステムが彼に対して不利になるように不正が行われるという見方を示した。彼は支持率においてヒラリー・クリントンが優勢に立っているいくつもの世論調査を「インチキ」だとし、不正投票によって彼の当選が妨げられるだろうと警告を発した。
 
トランプに近いトップの側近は、ブレイトバート・ニュースに「もし権力者によって共和党候補者から公平な選挙が否定されるならば、誇張ではあるものの『大量殺害』が起こるだろう」と警告し、その数日後に、トランプ陣営は、まだ第一回目の投票も行われる何ヶ月も前から、選挙結果の正当性を認めない段取りに取り掛かっていると言われている。
 
「まず真っ先に行なうのは、考えの"植え付け"です。そしてトランプ氏はまずそれに着手しています。支持者に対して、不正投票を疑わせるどんなに小さい証拠でも見つけるならば、大敗でない限り、選挙結果を受け入れないとしています」と、トランプ陣営のロジャー・ストーン氏は語り、トランプ氏は裁判に訴えるか、支持者による反対デモの奨励をするだろうと本誌(The Hill)に語っている。
 

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「トランプ氏は闘士で、喧嘩人です。誰もこの選挙をトランプ氏から盗むことは出来ません。彼は彼のやり方を貫くでしょう。」
 
アメリカの民主主義システムに不信を抱かせるようなこれらの『警告』は、共和党、民主党、又インディペンデントなど、全ての政党に、大きな懸念を生じさせた。
 
ヴァージニア大学の政治科学者であるジェフリー・スケリー教授は、「もし人々が選挙結果の正当性に疑問を持つ場合、社会不安と民主主義のプロセスへの不信を煽るような発言は、危険です」と語っている。「これは、国の為にならず、どの党からの政権であるか関係なく、次の政権に対する正当性を疑わせることになります。」
 
それでも、トランプ氏は今のところ、ストーン氏の語った手順に従っているようだ。トランプ氏は、不正投票があった事を匂わせる発言をフォックス・ニュースの『ハニティー』で行ない、トップ・アドバイザーのポール・マナフォート氏は、現在の司法庁が『公正な選挙を確証する能力』に欠けていると示唆している。
 
(中略)
 
これに対し、ミッチ・マッコーネル共和党上院議長の元補佐官は「私もこのシステムに不正があるように感じるようになりました。トランプ氏は、クリントン陣営から送られた駒ではないでしょうか。もし彼が民主党の駒と考えた場合、彼は一体何か今と違うことを行なっているでしょうか?」と皮肉っている。 
 
トランプ氏の発言には、オバマ大統領からも批判を浴びている。大統領選挙においては、州ごとに行なわれ、共和党が選挙管理の実験を握る州も多くある事を指摘しつつ、
 
「(トランプ氏の主張は) 実にくだらない事です。全く理に叶っていません。誰もそんなことを本気にはしないでしょう。まだ選挙の始まる前から、不正選挙が行なわれているなどと不満を述べる人物は、今まで聞いたこともありません。」
 
 (後略)
 
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共和党は、トランプ氏を指名した時点で、もはや遵法精神に溢れる保守政党ではなくなった、と言えます。勿論、トランプ氏が共和党からの立候補を示唆した時点で、これを止める手段はありませんでした。また党とすれば、トランプ氏が党指名を受ける為の必要最低限の票を得た時点で、党候補者として正式指名せざるを得なたった事も事実です。これらは、ポール・ライアン下院議長やミッチ・マッコーネル上院議長の非とは言えません。
 
また、心ある共和党議員らが、党の指名を勝ち取ったとしても、トランプ氏への支持を拒否していることから考えても、共和党議員すべてに責任がある訳ではありません。トランプ氏の指名によって、共和党は危機的状況に陥っていると言われ、ポール・ライアン下院議長は、トランプ氏の勝敗に関わらず、2年後の中間選挙で共和党が上院・下院とも、大敗する事を予測しています。
 
 
共和党をこのような危機的状況に陥れたのは、多くの共和党議員に責任があるというよりも、むしろ遵法精神の全くないトランプ氏のような人物に投票した共和党支持者です。
 
自分の利にならないシステムは全て「不正だ」と叫び、暴力や、暴動、脅迫で我を通そうとするトランプ氏の、11月の選挙結果の否認を奨励するような発言は、アドルフ・ヒトラーによる、彼の自殺8日前の発言を思い起こさせます。彼はドイツの敗退を目の当たりにし、ハインリッヒ・ヒムラー内相らを前に、以下のように語ったと記録されています。
 

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「全ての人が私に嘘をついた。全ての人が私を騙した。誰も真実を語っていない。軍は私に嘘をつき、秘密警察も私を欺いている。ドイツ国民は勇敢に戦っておらず、滅んで当然だ。戦争に負けたのは私ではない。ドイツの国民が戦争に負けたのだ。」
 
 

 

国民の不満や不安を煽るスローガンによって権力を手に入れる指導者は、自分への礼賛の中で生き、自らの敗退責任を負う事が出来ないのかもしれません。