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トルコ: 政治犯に対する組織的拷問と強姦

イスラム教 国際政治事情

イスラム過激派についての発信を行なっている「クラリオン・プロジェクト」の掲載した、クーデター後のトルコに関する記事を以下にご紹介します。

 

Turkey: Systematic Torture, Rape of Political Prisoners

7月15日のクーデター未遂の後、世界は何千人ものトルコ人が、武器を置き、降伏した自国兵の「処理」をするのを目撃した。政府派のトルコ人が武器を置いた自国兵を市内で拷問し、リンチを加えるのを全世界が目撃したのだ。

しかし、拷問はトルコでは今に始まった事ではない。これは古くから政治的に行なわれてきたものだ。特にクルド人政治犯はもう何十年も、トルコの刑務所や警察所内で、性的、身体的な拷問を受けてきた。

クーデターの前日、トルコの人権団体は記者会見を開き、多くのクルド人が最近逮捕され、シャンルウルファ市やウルファ市の刑務所に入れられ、拘束中に拷問や強姦をされている事を発表した。

ウルファ市にある人権協議会支部の長であるアティラ・ヤザール氏は、2015以来、ウルファから、拷問の報告が挙げられている事を述べている。「拘束された市民は、まずウルファ警察署の中の『反テロ課』に連れていかれ、それから洞穴に連れていかれます。容疑をかけられた市民はそこでひどい拷問を受けます。報告された中の5人は女性ですが、いまだに刑務所にいれられています。」

 

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人権協議会の副議長であるエレン・ケスキン氏は、「以前、エルドアンがまだ首相であった頃、彼は、拷問は禁止される、と約束していました。けれども、実際には数えきれない件の拷問が行なわれています。拘束された市民から聞く拷問の様子は、本当に酷いものです。 私は過去20年に渡り、拷問の報告を処理してきました。しかしながら、今私が聞く拷問の方法は、レイプや拷問が頻繁に行なわれていた1990年代にすら聞いたことがありません。現在、拷問は警察によって組織的に行なわれています。トルコ兵や警察官だけではなく、尋問には関わっていない検察官や拷問の医療レポートを書かない医者や、法医学に関わる人々など、全てが協力して拷問に関わっています。私たちが報告を受けた拷問の被害者の殆どは、「民主人民党」(クルド人政党)の文民政治家です。マズラム・ダグテキンという名前の拘束者は、シーランピナールの町に拷問危惧の置かれた洞穴があると言いました。彼はそこで、警察が人々を検察の監視下で、拷問する事を語っています。まず、警察は拘束者を目隠しします。そして頭に袋を被せ、その袋の上から更に目隠しをします。また拘束者を全裸にします。マズラムの語ったのはこうです。」

 

---警察は私の頭を井戸の中に入れました。そして私は強姦しました。全裸にされていました。彼らは私の肛門に警棒を差し込みました。またアーム・チェアに座らせました。建設につかうようなワイヤーで足が縛られました。また両腕をアームチェアに括りました。胃とみぞおちを警棒や素手で殴りました。その後私の両手をワイヤーで縛り、井戸につり降ろしました。その後、私に放尿しました。一人の警察官はズボンを降ろし、私に彼のペニスを舐めるように命じました。これらの事は全て、検察官の目の前で行なわれています。---

 

 「夜にはまた、警察はマズラムを外へ連れ出しました。警察は彼の足を縛り、彼の頭に銃を押し付け、これ(銃)を使って自殺するように言いました。その時マズラムは、ただもう死にたいという思いで一杯になり、何も考えずに引き金を引いたそうです。ところが銃弾は込められていませんでした。ある人を、ただ死にたいという思いにさせるまで痛めつけるとは、拷問の中でも最悪の部類でしょう。」

「私たちが話をすることが出来た5人の女性は、ひどい政敵拷問を受けました。彼女たちは全裸でボディーチェックを受けます。警察は彼女たちの体にくまなく触れました。彼女たちがどのような拷問を受けたか、ここで、言葉で表現する事は私には出来ません。彼女たちはこういったことを私にも発表してほしくないのです。性的拷問を受けた女性は、自分たちの経験を語るのに困難を感じます。私たちの名誉に対する感覚では、彼女たちは恥を感じ、恐れ、怯えています。こういった気持ちは理解できるのです。それでも私たちは、彼女たちの証言を纏め、国連に報告はしますが。」

「これは拘束されたすべての人が語っている事ですが、彼らはこのように聞かされます。『我々はアンカラ(首都)から遣わされた特別チームである。 お前たちが白状するまで、あらゆる方法の拷問を与える事が使命として与えられている。』」

ケスキン氏らは、トルコ医療協会に対して、人権侵害に関わった医師への苦情報告をしようとしている。

「囚人が警察によって病院に連れてこられると、医師は車の中に頭を突っ込み、『誰かここに、ケガをしている人はいますか』と聞くそうです。警察が『いいえ』と答えると、医師はけが人がいないという報告書に署名します。これは明らかな違反です。」

「医師らは拷問を見て見ない振りをしているか、そうするように強要されているのでしょう。例えば、我々が話を聞いた被害者の一人であるインシ・コルクマズは、気を失いました。警察は彼女が心臓発作を起こしたと考え、病院に運びました。医者は初め、『こんな状態で彼女を退院させる事は出来ない』と言いましたが、警察に押し切られ、彼女に注射をしただけで、再び警察のもとに返しました。これは医師の倫理・任務などについての宣誓文である『ヒポクラテスの誓い』に反しています。」

 「ウルファの反テロ課では、囚人は日常的に性的拷問を受けます。我々は国に対して、トルコは国際条約に署名をしている事を訴える必要があります。トルコはこれらの条約にあからさまに違反をしています。」

「現在、トルコでは法務大臣によって政治犯が弁護士に話をすることを禁じられています。トルコ当局によって、多くのクルド人の政治犯が拷問され、残酷な虐待を受けている事に加え、失敗に終わったクーデターの為に、何千という市民が逮捕をされました。」

 

これらの人々の訴えを取り上げる人はいません。トルコがEUに加入出来るように運動した(*)ブリュッセルにいる外交官らは、トルコの警察署や刑務所で強姦され、拷問を受けている政治犯の為に声を挙げてくれるでしょうか。

トルコを支持し、経済支援するアメリカも、これらの拷問を、見て見ぬ振りをするのでしょうか。 

 

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1987年にEU加入の申請がなされるまでは、トルコは世俗イスラムの国でした。人権や民主主義は、世俗化したイスラム教との共存によって、守られていました。トルコが民主主義や人権の守られる世俗イスラム国であり得たのは、シャリア法(イスラム法) による統治を求めるイスラム主義を弾圧していたからです。

ところがEU側は、軍によるイスラム主義者の弾圧を問題視し、トルコはEU加入と引き換え、イスラム主義を認め始めました。その結果、トルコには非寛容の極みと言えるイスラム主義が、民主主義を利用して政治権力を持つようになり、現在は、非イスラム教徒や少数民族を含む「反政府主義」と見られる国民への弾圧、迫害、人権侵害が、政府主導で日常的に行なわれています。

「不寛容」に対して「不寛容」で臨んで、初めて「寛容」な社会であり得たのがトルコです。

7月15日に失敗に終わったクーデターは、政府による弾圧、迫害、人権侵害に対して軍が立ちあがった事件と言えます。これが失敗に終わった事で、現在までに、1,577人の大学長、2,745人の裁判官、21,000人の教師が罷免され、トルコの刑務所に拘束されている全ての政治犯は、弁護士をつける権利や、家族への面会、電話を掛ける『権利』をはく奪されています。

「不寛容」に対する「寛容」は、決して「寛容」のしるしではなく、むしろ「臆病」の表れです。

私たちが臆病である限りは、この現在進行形の悲劇の原因さえ口にする事が出来ず、まして解決などは見込めないでしょう。