「米国保守派の希望、ヒラリー・クリントン」

何か月か前、「ヒラリー・クリントンとドナルド・トランプ、どちらが"アメリカの保守派"にとって災害的か」という見解を、頂いたコメントへの返信として述べた事があります。

 

その時も、トランプ氏が共和党からの候補者となる場合には、共和党支持者にとっては、いずれにせよ「最悪の大統領」を選ぶしかないのですから、2016年は民主党のヒラリー・クリントン候補に投票し、2年後の中間選挙によって議会を共和党議員で固めた上で、2020年の大統領選挙に向けて専念した方が良いと述べました。

 

トランプ氏の「アメリカを再び偉大な国とする」というスローガンは、確かに愛国心を鼓舞するものですが、政策の中身は「実現不可能」であるか、実現可能である場合には「アメリカと同盟国にとって災害的」であります。

 

その上で、「名前だけの共和党員」と呼ばれる「トランプ大統領」の災害的な政策の責任を共和党が負う事となれば、共和党や保守派の再起は難しいだろうと考えたからです。

 

同じ警告を、ウォール・ストリート紙が5月9日に、『ヒラリー・保守派の希望』という記事で発信しています。

 

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Hillary: The Conservative Hope - WSJ


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『アメリカの保守運動にとって残された最良の希望は、11月の一般投票で、民主党からの大統領が誕生し、共和党議員が多数派を占める議会によって調整されることである。保守派はリベラル派の政権を生き抜くことができる。特に、その失政が予想の範囲内であるのリベラル派政権は、健康的な再建の可能性すらある。カーター政権から、レーガン政権への移行を思い出しても良い。

 

生き抜くことが不可能となる場合は、(関税引き上げで世界恐慌を拡大させた)「スムート・ハウレー」であり、(アメリカの保守派の攻撃的異端児で分裂を招いた)「ジョン・バーチ」と共通点を抱える共和党からの「無知極まりない」大統領を選出する場合だ。

 

トランプ政権がもたらす影響は、保守派の活動にとって何十年かにわたる障害となる。

誰に投票するべきか悩んでいる共和党員が、何とか対抗候補者よりも忌み嫌っていないトランプ氏に投票をする前に、理解するべき現実である。いずれにせよ、もし次の政権が『災害的』であるならば、どうしてその次政権を共和党から出して、その災害の責任を負うべきだろうか。

(中略)

トランピズムは、ただの個人的資質によるカルト宗教の広まりではない。これは保守主義の土台を、民族間の分裂と、排他的なナショナリズムにまで退化させる運動だ。近代の保守派は、伝統と信仰への尊敬と、開かれた市場の可能性を持つ文化的な変化とのバランスを保つ政策によって、排他主義からの決別を図ってきた。もしこのバランスが「共和党大統領のもとで」崩れるならば、我々の生きている間での修正は不可能となろう。

 

保守派にとっては、11月の民主党の勝利は、選挙にまたしても敗北したという経験となる。政策の転換の希望も無くなったとも言えるだろう。これは大きな失望でもあるが、選挙というものはまたやってくる。しかし、もしトランプ氏が大統領となれば、共和党という政党は終わりを迎える。保守派は、今最も保守的な知恵である、「経験から来る知恵」を受け入れる必要がある。一旦負けることで勝つこともあるのだ。ましてや、一時の敗北が、政治の清潔さに対する教えを提供しようとしている時は、尚更だ。』

 

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トランプ氏は、以前にも何度か大統領選に出馬したこともあり、今回の出馬ももともと勝利を見込んだものではなかったようですが、彼の出馬により、共和党指導者としては「離れを貸して母屋を盗られた」ように感じているかもしれません。いずれにせよトランプ氏の齎す災害を見誤った点は、やはり反省するべき点と言えます。