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トランプ氏の勝率

共和党のトップ候補者であるドナルド・トランプ氏が、今までの選挙から獲得したDelegates(選挙人)の割合は47%ですが、実際の得票率は全体の票の36%となっています。選挙人の獲得率が得票率を上回る理由は、最も得票を果たした候補者に州が保有する選挙人の100%が割り当てられるシステムを採用している州があるからでしょう。

 
このシステムは、トランプ氏が51%、クルーズ議員が49%の得票を果たした州があったとして、そこに例えば100人の選挙人が登録されている場合、100人の選挙人全員が、一番得票率の多かったトランプ氏に割り当てられる『ウィナー・テイクス・オール(勝者が全てを勝ち取る)』という仕組みを意味します。
 
この仕組みによって最も得をしたのはトランプ氏で、もっとも損を被ったのは(3人の中では)ジョン・ケーシック州知事であると言われています。
 
勿論、共和党の選挙システムがご自分の利に繋がらない時には「アンフェアだ!!! 暴動が起こるだろう!!!」と叫んでいるトランプ氏ですが、ご自分が得をされている時には、何も仰いません。
 
今日は地元ニューヨーク州でクローズド・プライマリーの選挙が実施され、トランプ氏は58%の得票率で98人の選挙人を獲得しましたが、民主党からのヒラリー・クリントン候補の得票数に約2倍の差をつけられ、民主党の社会主義者であるバーニー・サンダース議員の得票数でも大幅に差をつけられています。
 
ここから考えても、11月の選挙でトランプ氏がニューヨークで勝利をする確率が低いことがわかります。

 

 
共和党、民主党支持者を含めた全国の有権者からのドナルド・トランプ氏の『不支持率』或いは、『不人気度』の割合は突出して高く、民主党の第一候補者ヒラリー・クリントン元国務長官の『不人気度』52%をはるかに上回る68%である事が、意識調査の結果明らかになっています。 
 
 
因みに、二大政党が政権を争い合うアメリカの政治は、民主党支持者と共和党支持者の割合がほぼ等しく分かれていますが、52%の不支持率は、民主党支持者の中にもクリントン候補に対する積極的反対者がいることを意味します。
 
トランプ候補の68%という前代未聞の不支持率、不人気度から考えれば、どう見積もってもトランプ支持者はアメリカの有権者の32%しかありません。
 
一方、共和党指名選に於けるトランプ氏の36%の得票率には、共和党支持者として登録をされていない無党派層や、大統領選挙においては民主党候補者に投票をするつもりである民主党支持者からの票が含まれています。
 
アメリカの選挙には、党員として登録されている有権者のみが自分の党の選挙に投票できる「クローズド・プライマリー」或いは「クローズド・コーカス」と呼ばれる投票システムと、誰でも投票できる(民主党員として登録されている有権者が共和党候補者を選ぶ選挙に投票できる、またその逆も可能である)「オープン・プライマリー」、「オープン・コーカス」のシステムがあり、どちらのシステムを取り入れるかは、州によって違います。
 
トランプ氏の得票した36%の得票のうち、どれ位の割合が真の共和党支持者によるものか判別をつけ難いのは事実ですが、トランプ氏の躍進が大きい選挙地区がオープン選挙を採用している地区のみであり、共和党員以外の投票を禁じるクローズド選挙では敗退をし続けている事から考えて、共和党指名選においてトランプ氏に投票した人々の中には、民主党支持者や無党派層がかなり含まれている事がわかります。
 
民主党支持者がトランプ氏に投票をしている理由は、民主党の選挙が、接戦地域を抱えているにも拘らず、ほぼ何もしない状態でも、ヒラリー・クリントン元国務長官の指名獲得が決まっているからだと言われています。
 
これは、民主党には一般投票の結果を全く反映せずに自身の好む候補者に投票できる「スーパー・デリゲーツ(選挙人)」と呼ばれる選挙人が700人近くあり、その全てがクリントン候補に投票をすることを既に決めてあるからでしょう。
 
民主党支持者とすれば、クリントン議員の対戦相手となる共和党候補者には、マルコ・ルビオ議員のような、一般のアメリカ人に好評が高い人物が選ばれる事は好ましくありませんので、「民主党がもっとも勝ちやすい共和党候補者」に投票する戦略を立てているようです。
 
こうした選挙戦略の通り、「大統領選に於いてクリントン候補対トランプ候補のどちらを選ぶか」というどの意識調査でもクリントン候補がリードをしています。因みにクリントン候補が苦戦する相手はクルーズ議員であり、敗退する相手は既に選挙活動を停止したルビオ議員、また次にケーシック州知事だという意識調査の結果がいくつも出ています。http://www.realclearpolitics.com/epolls/2016/president/us/general_election_trump_vs_clinton-5491.html
 
これが本来、共和党支持者が考えるべき『現実』です。
 
ところが、元外科医でトランプ支持を表明したベン・カーソン氏は、「保守派は全て、一番勝つ見込みのある共和党候補者のもとに集まり、力を合わせるべきだ」とメディアに出演しては強調しています。
 
カーソン氏が支持しているのは、不支持率・不人気度が70%に近く、到底勝つ見込みのない「共和党候補者」であって、「保守派」ですらない人物です。掲げる政策が実現されれば、アメリカや同盟国の国益を脅かす政策しか掲げておらず、トランプ氏の大統領就任をクリントン氏の大統領就任よりも好意的に見る国は、多くの同盟国を含む世界20カ国のうち、ロシア一国だけとなっています。
 


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カーソン氏に対して、トランプ政権樹立の際の政権内ポストに関するオファーがあったようですが、カーソン氏の危惧する共和党分裂が避けられない事実だとしても、トランプ氏は、保守派が一致して反対こそすべき人物です。
 
「保守派としての原則を捨て去っても共和党という政党を守らなければならない」と、多くの共和党議員や支持者は考えていない点が、アメリカ保守派の潔い点だと思われます。