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『ヒラリー・クリントン大統領』と『ドナルド・トランプ大統領』...どちらが日本にとってより悪い結果をもたらすか (2)

ヒラリー・クリントンは、恐らくアメリカの政治史上最も腐敗している政治家です。

 

ベンガジ事件やe-mailのプライベート・サーバー使用などを考えれば、有能からは程遠く、その他の限りない不正や腐敗のスキャンダルのリストを鑑みて、法を重んじる保守派のアメリカ人が彼女を嫌うのは尤もな事です。

 

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ところが、「ヒラリー・クリントンが嫌ならば、ドナルド・トランプしかいない」かのように、アメリカの一部保守派がトランプ氏を支持している理由は、トランプ氏の中身のないレトリックや『トランプ』というブランドのイメージに影響をされただけの、感情的な支持であると言えます。

 

トランプ氏の掲げる政策と言っても、政策と呼べるほど具体的なものは何も示しておらず、「すべてのイスラム教徒をデータ・ベースに登録し、監視する」という宣言も、一体どのように、すべてのイスラム教徒をデータ登録し監視するのかという具体的な議論がなされないままです。

大きな壁を作って不法入国者を防ぎ、全ての不法滞在者を強制退去させると約束したかと思えば、但し彼 らが再び入国できるようにするとも言っています。

技術者へのヴィザの数を減らすとも言いましたが、そんな事はしないと発言を翻し、ニューヨーク・タイムズへの極秘インタビューでは、それらを本心から言ってはいないとも答えています。

 

ですから実際に、トランプ氏の「アメリカを再び偉大な国とする」というスローガンの中身がどのようなものか討論される事がないまま、口汚い罵りや個人攻撃、或いは訴訟の脅しで、同じ共和党からの候補者への攻撃が何か月も行なわれてきました。

 

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他候補者が口汚く罵り返さなければ『弱者』のレッテルを貼り、同じレベルで反撃をすれば、矜恃を保つ事を期待する支持者を幻滅させる事になり、他候補者にとっては、不利な戦いを強いられたと言って過言ではありません。実際、このような程度の低い『公約』や、中身のない『スローガン』、『個人攻撃』、『脅し』、『罵り』で喜ぶ支持者を抱えていたのは、トランプ氏だけでしょう。

 

以前にも書きましたが、トランプ氏支持者達は、「トランプでなければヒラリー・クリントンしかいない」という理屈に持ち込んで、トランプ氏の政策面、人格面での疑惑や警告に耳を防ぎますが、不支持率が突出して高いのはトランプ氏であって、殆どの意識調査を見ても、トランプ氏がヒラリー・クリントン候補と一対一の争いになった時に、大敗する事が予測されています。

RealClearPolitics - 2016 Latest 2016 Presidential General Election Polls    

 

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ここへ来て、ヒラリー・クリントンが中国から献金を受けていることを以て、「それであるから、中国が尖閣諸島に侵攻した際には、『トランプ大統領』とは違い、『クリントン大統領』は日本を見捨てるだろう」という意見もあるようです。

クリントン基金が中国から寄付を受けていることは事実です。実際、中国からだけでなく、ロシアなど、さまざまなサイドから献金を受ける事が知られており、その為に、却って一方には肩入れを出来ないのが実情でしょう。

Clinton Says Chinese Money Did Not Influence U.S. Policy - NYTimes.com

http://www.nytimes.com/2015/04/24/us/cash-flowed-to-clinton-foundation-as-russians-pressed-for-control-of-uranium-company.html

 

献金を受ける事は、その他の政治家も献金を受けていますが、ロシアや中国などからの献金は、『ロシア政府』や『中国政府』から為されているものではなく、ロシアや中国の企業から、ビジネスの便宜を図ってもらう見返りになされているものです。勿論、こうした企業と国との繋がりはあるでしょうが、見返りはあくまでもビジネス上の便宜です。

 

これは「ロッキード事件の田中角栄元首相が、ロッキード社から賄賂を受け取った為に、アメリカに買収され、アメリカの国益の為に働いた」と言っているに等しく、田中角栄がアメリカの一企業の便宜を図らったとしても、アメリカの国益の為に働いたという主張がなされないのと同様です。

Lockheed bribery scandals - Wikipedia, the free encyclopedia

 

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以下の記事では、日本の指導者が、中国から賄賂を受けるクリントン候補ではなく、トランプ氏への警告感を強めていることが書かれています。勿論、ヒラリー・クリントン候補は日本にとって理想的な候補者ではありませんが、賄賂を取って商業や一企業の便宜を図るような腐敗した政治家は、当然ながら、国際関係ではそれ程恐れられてもいません。

Trump's Tough Talk On Trade Spooks Japan | The Daily Caller

 

それよりも恐ろしいのは、トランプ氏のような、極東への軍事介入をしないと断った上で、中国に対する挑発を繰り返し、経済制裁まで行ないかねない政治家です。「クリントン大統領になった場合、中国が尖閣に侵攻してもアメリカは日本を助けないだろう」という予測は、そもそも、中国が暴発する原因への、基本的な理解を欠いていると言えます。

 

中国の軍事暴発を抑えている要因は二つあります。

一つは、アメリカの軍事的優位性とアメリカの極東における明確なプレゼンスです。中国が軍事的にアメリカに対して敗北すると考える限り、中国は暴発を抑えざるを得ません。

 

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もう一つは、米国との間の良好な経済関係です。

但し、トランプ氏が繰り返して主張するように、中国に対しての関税が引き上げられ、経済戦争が起きるならば、中国は経済制裁を避けようとする歯止めを失い、近隣諸国への拡張や侵略によって自国の経済を守ることを選びます。これは、当時の日本に真珠湾攻撃を決断させた圧力と同じ要因だと言えます。

 

トランプ氏が主張する極東における軍事プレゼンスの縮小は、中国にとっては、手っ取り早い軍事勝利への更なる誘因ともなります。トランプ氏のこのような主張は、長年、アメリカが他国の安全保障の為に外国に利用され、搾取されてきたという意識に根ざしているからでしょう。

 

一方、ヒラリー・クリントンは、中国を挑発して、軍事暴発を招くような政策をとるとは考えられません。彼女はオバマ大統領の外交方針を継続させる事 を表明していますが、夫であるビル・クリントン元大統領の助言を受け入れ、イデオロギーに固執するよりは、国際紛争を避ける政策をとるでしょう。

 

オバマ大統領は極東へのあからさまな軍事介入には乗り気ではありませんでしたが、それでも中国を経済封鎖して、暴発を招くような政策はとりませんでした。

 

中国が軍事暴発する要因を作り出すのは、トランプ氏の政策であって、ヒラリー・クリントンの政策ではありません。

 

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トランプ氏の大統領当選に向けて、日本政府が憂慮をし、危機感を覚えているのは、トランプ氏の極東における地政学への理解の無さや、挑発的で、しかも大統領の権限を悪用しかねない性質に基づいています。

 

国民の安全や国家の主権を守る義務を負う日本政府指導者が、トランプ氏の大統領就任に警戒をするのは当然でしょう。

 

また、このような国際紛争を避けるためにも、トランプ氏の指名選勝利を防ごうと、心ある共和党員や保守派アメリカ人が、ブローカード・コンヴェンションに持ち込もうとするのは、アメリカの将来を考えた上でも必要な『抵抗』だと思われます。