読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

アメリカ保守派(Libertarian)の言い分 (3)

ア メリカの世論に不介入主義・一国平和主義がある事を理解せずに『アメリカは自国の国益・利益の為に在外基地を置いている』と主張する事が、どれだけ結果的に自らの首を絞める事になっているでしょう。

 

Liberterianのダグ・バンダウ氏のご意見は、日本人にとって耳の痛い正論であって、大筋もっともな指摘だと言わざるを得ません。

 

          f:id:HKennedy:20160315164616j:plain

 

バンダウ氏は、「アメリカの保護があって戦争にはならないと過信するからこそ、歴史認識に於いてお互いを挑発出来るのだ」と主張されますが、それが「歴史認識に於いて日本の立場を主張したいならば、中国・北朝鮮・ロシアのような周辺国に囲まれていながら、憲法改正をせず、その必要性を国民に納得させる事もしないで70年も過ごしたのは、アメリカが自国の兵士を犠牲にしてもきっと守ってくれると過信しているからではないか」という意味ならば、どう日本の立場をひいき目に見ても、バンダウ氏の主張に分があります。

 

時折、米国の利益の為に米軍が基地を置いていると主張する方がいらっしゃいますが、自国を守り切れない現実を正当化する為の言い訳の域を出ません。

 

「日本列島に米軍基地があることによって米国が得られる利益は何もない」と主張するつもりはありませんが、「在日米軍基地は、日本の為ではなく米国の為である」とでも言うような極論に対して、米国は明らかに「自分の国は自分で守ってくれ」と反論をしています。

 

同じような極論が韓国政府から出た時に、米国側は撤退を仄めかしました。その時に慌てふためいたのは、もちろん韓国です。米軍基地によって第一義的な利益を受けているのは、韓国であり、また日本です。

 

在韓米軍基地の根本的な目的は、北朝鮮や中国からの"韓国への軍事侵略・攻撃を防ぐためのもの"であって、アメリカの国益を第一としたものではありません。 米軍が韓国や日本から撤退した場合、中国や北朝鮮には、米国を攻撃する必要がそもそも無いのです。このような歪曲は意図的な事実の歪曲です。

                        

    f:id:HKennedy:20160315164353j:plain

 

米国議会で安倍首相の仰った日本の貢献が、「明らかにトーキョーは、自らの役目を非戦闘的な、比較的安上がりで危険の少ない、国際的に評価をされ易い社会慈善事業だと考えている。(安倍首相が感謝をしている日米安全保障条約は)アメリカに血まみれの仕事、嫌な仕事を押し付けているだけだ。それは他国の軍との交戦であり、安倍首相が無視している内容である」と一蹴されても、実際にその通りですから、果たして反論が出来るでしょうか?

 

常識で考えても、世論を注視し、議会とやり渡らなければならず、しかも選挙を控える民主主義国家の政府としては、外国の紛争の為に自国の軍と兵士を犠牲にする事は難しく、避けられるなら避けたい決断です。経済援助や人道支援で替えられるなら、その方を選ぶでしょう。

 

こうした意見が米国内にある事は、日本政府と日本国民は肝に銘じるべきですし、「アメリカの国益の為に守らせてあげる」とでもいうような考えは、改めなければなりません。

 

日本には、まるでアメリカが「世界の警察を気取ってお節介をやく、戦争好きな国である」かのような誤解がありますが、これは或る意味、国際社会がアメリカに期待している役割であるだけで、アメリカが一貫して外国の紛争に介入しようとしてきた事実はありません。

 

アメリカの政策というのは、一辺倒ではありません。

アメリカの外交政策には、絶え間の無い躊躇と、方向性の変更があります。この傾向は、第二次世界大戦の前から変わっていません。むしろアメリカの性質であると言っても良いでしょう。この性質を理解しない限り、日本は大変な危険を抱える事となります。

 

この点は、ヘンリー・キッシンジャーが警告した「アメリカの敵はアメリカを恐れるべきだが、アメリカの友はもっとアメリカを恐れるべきだ」との発言通りです。この意味は、「ある国がアメリカの敵である場合、アメリカはその国と戦うかもしれないが、滅ぼすことはしない。しかし、或る国がアメリカの友である場合、その国が最も大きな危機に直面している時に、アメリカはその国を見捨て、大きな脅威によって滅ぼされるに任せるかもしれない」というものです。

 

f:id:HKennedy:20160315164823j:plain

 

このアメリカの性質を理解し、安倍首相は地球外交に励んでいらっしゃいます。また韓国との軍事協力も、お互いに感情論を抜きにした、共通する安全保障問題を優先させた上での協力関係を結ぼうとされています。

 

ギャロップ社の調査によれば、自国を守る為に戦うと答えた日本人は国民のうちの11%です。あとの89%は、「誰も攻めてこない」と考えているのかもしれませんが、「中国が50年以内に必ず戦うと思われる6つ戦争」の中に、尖閣諸島奪還戦争が含まれていることは中国紙が報道し、オーストラリアのシンクタンクも警告しています。

Six Wars China Is Sure to Fight In the Next 50 Years » Indian Defence Review

China’s six wars in the next 50 years

 

或いは「アメリカが守ってくれる」と考えられているのかもしれませんが、肝心のアメリカ人は、自国の為にでさえ44%しか戦うと答えていません。

 

      f:id:HKennedy:20160317094758j:plain

 

時のアメリカ政府高官の発言を持ち出されて『米国が必ず尖閣諸島 を守る』と結論付ける事は、非現実的なのです。このような政府高官の発言は、中国を牽制する重要な役目を負っていると言えます。

 

実際に、「必ず助ける」と約束して助けなかった例を挙げるならば、ニクソン大統領が「北ヴェトナムが南ヴェトナムを攻撃するならば、アメリカは必ず助ける」と約束をしたものの、ニクソン後の大統領であるフォード大統領政権時の議会が介入に反対し、ヴェトナムは完全に北の勢力に制圧された事例があります。

 

ブタペスト覚書でも、ウクライナは核兵器を手放す代わりに領土の安全保障を求め、アメリカ、ロシア、イギリス各国はそれを保証しましたが、ロシアによるクリミア侵攻時に、オバマ政権は経済政策を行なっただけで、軍事対介入をしませんでした。

 

約束、覚書、条約、これらが破棄される事は「あり得る」のです。

 

私は、日米の同盟が続く事を強く願いますが、アメリカの介入が望めない場合でも、日本がどのように自国を守るか考える事は、必要だと思います。