読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

『ヒラリー・クリントン大統領』と『ドナルド・トランプ大統領』...どちらが日本にとってより悪い結果をもたらすか

『ヒラリー・クリントン大統領』と『ドナルド・トランプ大統領』の比較をワルシャワ大学教授のアンジェイ•コズロウスキー博士が分析されています。

以下は、コズロウスキー博士の書かれたものの和訳です。

.......

ヒラリー・クリントン元国務長官が大統領となる際の考え得る最悪の外交政策は、オバマ大統領の外交政策を継続させる事であり、最善の外交政策は、夫であるビル・クリントン元大統領の外交政策に逆戻りさせる事です。

   f:id:HKennedy:20160310074400j:plain


これはどちらの場合でも、基本的にアジア地域への外交方針を現状維持するもので、安倍首相の政策に一致します。


『ヒラリー大統領』は、日本と韓国との同盟を続けると考えられ、アメリカはインドとの協力関係も深めつつ、経済戦争を起こさずに中国の拡張を防ごうとするでしょう。中国が軍事暴発や戦争を起こす事は、『ヒラリー・クリントン大統領』の政権下では起こらないと思われます。


勿論『ヒラリー大統領』の現状維持政策は、アジアにとって最善ではありませんが、トランプほど挑発的ではありません。一方『ヒラリー大統領』の最善の策は、夫であるビル・クリントンの外交政策や政権運営の手腕を取り入れる事です。


ビル・クリントンはポピュリストであったため、左翼イデオロギーに固執するよりも、国民の支持や、議会を占めていた共和党議員との政策面での妥協や協力を求める政権運営を行なっていました。『ヒラリー大統領』が彼の姿勢から学ぶならば、アメリカの政治史上最も腐敗に塗れた政治家と呼ばれつつも、安定した外交・経済政策をとる事となり、結果的にはいくらか国の益になると思われます。

 

  f:id:HKennedy:20160310082404j:plain

 

トランプ氏が大統領となる場合を考えますが、現実的には彼が共和党からの指名を得ない場合も勿論あります。もし指名を得たとしても、大統領選挙の際にクリントン候補者に対して勝てる可能性は希薄です。しかも大統領に当選したとしても、今までの公約を守る可能性も低いだろうと思われます。


それでも我々には、トランプ氏が大統領に当選し、その掲げる公約を守る『最悪の事態』について備える必要があります。

 

意外なことに思われるかもしれませんが、日本にとって最悪なシナリオは、トランプ氏が大統領に就任し、選挙公約を守る場合です。これは一方では自由貿易の終結を意味し、もう一方では米軍による同盟国への安全保証の終結を意味します。


この米国の変化の為に最も大きな被害を被るのは、ヨーロッパやイスラエルではありません。

 

     f:id:HKennedy:20160310082523j:plain

 

 『トランプ大統領』の掲げる政策は、本人の人格に呼応する形で、考えられる限りの愚かさと危険性を伴っています。まず彼は、アメリカの日本、韓国、台湾に対する安全保障の重要性を全く認識していません。第二に彼は、中国経済をアメリカへの脅威と見なし、中国へ打撃を与える事を正しいと信じています。『トランプ大統領』の掲げている対中国政策は、真珠湾の攻撃を招いたルーズベルト大統領の政策とまるで同じであると言って良いでしょう。

 

   f:id:HKennedy:20160310084128j:plain


もし『トランプ大統領』が、メキシコやラテンアメリカ、インドなどに対してと同じように、中国との間に経済戦争もやむを得ないとするならば、中国はアジア地域での軍事行動を抑制しようとする全ての動機を失います。中国経済に打撃を加えようとする彼の政策は、真珠湾攻撃を行なう前の日本と同じ状況に中国を置くことになるのです。


中国の軍事的暴発にはいくつかのシナリオが考えられますが、アメリカから被る損失を補おうと別の市場を求め、中国共産党はプーチンが行なったように、国内の経済の低迷による不満を、対外的なナショナリズムを台頭させることによって発散させるでしょう。

 

     f:id:HKennedy:20160310110128j:plain


プーチンがウクライナとシリアへ侵攻したように、中国政府がアジア地域への侵攻を行なおうとすれば、台湾への侵攻、尖閣諸島の略奪が可能性として高くなります。


アメリカが軍事介入しないことはあまりにも明確である事を考えれば、中国は戦争をせずにアジア地域に於ける絶対的な権力を得るかもしれませんが、『トランプ大統領』が中国に対する経済制裁を与える道を選ぶ場合、直接戦争が起こるのは必至です。

また『トランプ大統領』が繰り返す主張の通り、韓国やインドに貿易上の制裁を設ければ、中国の侵略性に対するアジア共同体は崩れます。この危険性に対して日本は早急に対処を取らなければなりません。安倍首相はインドのモディ首相を訪問し、トランプ氏の掲げる政策の対応を図る必要に迫られます。

 

        f:id:HKennedy:20160310104817j:plain



日本は早急に韓国との間の緊張を解く必要があります。日本はアメリカ無しで自国と地域の安全保障を守る相互関係を必要としているのです。ロシアはいずれその枠組み に参加をするかもしれませんが、現在その可能性はありません。現在のロシアとの軍事協力は、そもそもロシアが中国との軍事協力を行なっている事から見ても不可能ですが、西側の自由主義国にとって、第二次世界大戦時のドイツとの同盟のように見なされるからです。

ナショナリスト達がどれほど愛国を叫んでいたとしても、現在日本は同盟国なしで中国をくい止めることは出来ません。彼らが本当に祖国を愛しているならば、アメリカが他地域でも同盟国に対して自らの役割を縮小させている現実から学び、対策を練らなければなりません。


同じ共和党からの候補者であるルビオ議員が大統領となれば、日本にとっては最善となるでしょう。少なくともあと4年間、或いは8年間は時間稼ぎができます。しかしながらトランプ氏が大統領となった際には、日本には時間があまりありません。

 

         f:id:HKennedy:20160310105003j:plain


日本は、自国とアジア地域の安全保障の為に防衛の同盟を結ぶ必要がありますが、ナショナリスト達が何と主張していも、この枠組み から韓国を外す事は出来ません。韓国は技術先進国としてアジアでは日本に次ぐ地位にあり、日本の軍事力が世界第9位であるのに対し、韓国の軍事力は世界で 第7位を誇っています。


韓国は日本の貿易パートナーの第3位でもあり、何よりも中国からの同じ脅威に直面しています。もし日本が、韓国、インドとの間に軍事同盟を結べるならば、アメリカ無しでも中国に対抗出来ると思われます。

Global Firepower Military Ranks - 2016



勿論、安倍首相率いる日本政府はこれら全てのことを弁えており、同じ危機感を共有出来ないのは一部の国民と無責任な政治家だけです。アメリカの経済が低迷期を迎える時、日本も煽りを受けると思われますが、その時の安倍首相の支持率の低下が野党の躍進へとつながれば、日本の安全保障は更に危機に見舞わることになります。

 

               f:id:HKennedy:20160310105249p:plain


現実や事実を無視するトランプ支持者を笑う事は簡単ですが、自国の防衛もなおざりにしたまま、韓国との関係改善を目指す最も現実的な政権である安倍政権批判に明け暮れるメンタリティーは、愛国心とは程遠く、無責任だと言わざるを得ません。