トランプ支持者たちとの議論 (3)  彼らは何者なのか

今までの投稿で、トランプ支持者の傾向を実際になされた議論をもとに、取り上げてきました。

 

今までの投稿で、トランプ支持者の傾向を実際になされた議論をもとに、取り上げてきました。

トランプ支持者の中には、無知であったり、教養が高くない人々、或いは人種差別主義者もいる事だと思います。しかしながら、当然の事ですが、無知でも無教養でもない人々がトランプ氏の支持者である場合もあります。

私の家より一マイルの場所に住むティムは、教養もあり、熱心なキリスト教徒です。収入も安定し、保守派の中流アメリカ人の典型のような人物です。

 

彼は最近、トランプ氏への支持から、クルーズ議員への支持に乗り換えましたが、その理由を、「あまりにも色々と問題を起こすので、ついて行けなくなった」 と語っています。ところが、もしトランプ氏が共和党からの候補者となった場合、ヒラリー・クリントン候補と大統領の座を争う大統領選挙に於いては、トラン プ氏へ投票すると語っています。

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ティムは8年前、当時殆ど知られていなかったバラク・オバマ議員の大統領就任に対して警戒をしていました。決して非常識な人物ではありません。

ティムのような国を愛する普通の人が、トランプ氏のような極端な人物への支持を掲げる場合、その背景には、オバマ政権の自虐史観に基づく自虐政治やヒラ リー・クリントン候補の腐敗や不正に対するだけでなく、これらに対して対抗処置を取らなかった共和党議員に対する不満があります。

 

実際、マルコ・ルビオ議員やテッド・クルーズ議員のような共和党議員の候補者に対しても、彼らが「オバマ大統領やクリントン元国務長官らの『犯罪』をほう 助をした」かのような、あるいは、彼らが「オバマ大統領らの『犯罪』から、保守派を守ってくれなかった」というかのような怒りと不信感が、トランプ支持者 の中にあります。彼らは民主党政治家と、共和党政治家の両方から裏切られたと感じているのですが、この感情に素早く共鳴をしてくれるのが、トランプ氏の掲 げる『愛国』『ナショナリズム』の公約です。

公約というものは、まず実現が可能かどうかが重要なカギとなる筈ですが、誇りを傷つけられたトランプ支持者達は、トランプ氏のスローガンそのものに癒しを感じているようです。

「アメリカを再び偉大な国とする」

彼らは、トランプ氏の公約が実現可能かどうかよりも、気持ちを分かってくれるかどうかに重点がおいていますし、トランプ氏も、自身の掲げる公約が実現可能 か、或いは真意かどうかよりも、支持者が何を聞きたいかに重点を置いているようです。つまりトランプ氏は、支持者が誇りを取り戻せる公約(スローガン)を 提供しているのです。

トランプ支持者にとって、トランプ氏の掲げる公約が実現されなかったとしても、それはワシントンの政治家たちの陰謀や邪魔によるものであって、トランプ氏によって気持ちを理解してもらえたという満足感は残るのでしょう。

トランプ氏が傷ついた誇りのセラピストであり続ける限り、トランプ氏自身の不正や腐敗は、支持者から無視されます。暴言も矛盾も、全て「人間、誰でも叩け ば埃は出る」で済まされます。(この文章を書いている最中にも、トランプ氏が詐欺で訴えられた裁判に関して、トランプ支持者から「あああ、また『汝より清 い』反トランプ支持者がいる。」というスティッカーのコメントが返信されました。)

 

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さて、出来る限り客観的な観察をしたつもりですが、実は私は、このような傾向はトランプ支持者に限ったことではないと考えております。

自虐史観や自虐政治によって誇りを傷つけられた国民が、強い愛国主義のスローガンに惹かれる傾向があるのは、日本も同じです。

 

日本でも長く『自虐史観』と呼ばれる「すべて日本が悪かった」史観がことさら強調されていました。今ではそれに反動するように、簡単明瞭な愛国ナショナリズムの主張が受け入れられ、現実の妥協策を説く政治家や、複雑で都合の悪い史実を述べる歴史家は批判の的となります。

それでも、誇りの傷ついた有権者が傷の癒しを政治家に求める時、一歩退いてみれば、国家の歩みは間違った方向に進むように思われるのです。

 

アメリカの政治に話を戻せば、DCエグザミナー誌の政治記者であるジョエル・ガーキ氏によれば、トランプ氏が共和党からの指名選に勝った場合、全国大会ではクリントン候補に大敗をする事が予想されています。

この予想が正しければ、感情的癒しを優先させ、現実の妥協策を無視した為に、保守派がもっとも忌み嫌っている結果を招いたと言えるかもしれません。