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アメリカ犯罪事情

元、ニューヨークの警察官で、“Blue Blood” (2004)と、小説 “Red on Red” (2012)の著者であるエドワード・コンロン氏がウォール・ストリート・ジャーナル紙に書いた記事です。

 

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The Racial Reality of Policing - WSJ

www.wsj.com

 

私は警察とは無関係な立場ですから、この元警察官の書かれた、感情的でなく客観的な記事よりも、もっと自由に警察の立場を支持します。ただし「元警察官だから、警察寄りの記事を書いたのだろう」と"身内びいき"の偏見を持たれないようにするには、これくらい"両者成敗"的な記事の方が、説得力を持つのでしょう。

 

コンロン氏は、オバマ大統領がマイケル・ブラウンの死の原因を調査する為に司法省に纏めさせたレポートを紹介する事によって、ファーガソンの事件の背景に、殆ど黒人を占める住民のうちに交通取り締まりで利益を上げようとする警察への不信があったと述べています。

勿論それは警察にとっては反論の余地もあるでしょうし、多くの人々は司法省を用いてのこのレポートによって、オバマ大統領が犯罪者側の論理を正当化したと非難していますが、コンロン氏が元警察官の立場であるからこそ、公平を極める必要があったのでしょう。

反対側の意見を紹介し、『即否定』や『即攻撃』ではなく、『説明』を試みているコンロン氏の態度は、誰でも中立的立場の大多数を説得しようと試みる場合に見習うべき姿勢かもしれません。


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『あれは、ニューヨーク警察署で受けた演習として、最も効果的だったと思います。


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インストラクターは、4人の警官をクラスの前に立たせました。二人の黒人警察官、二人の白人警察官です。彼は黒人の警官を壁に向かった立たせ、両手をあげせ、その背後両側に、二人の白人の警官を銃を構えている姿勢で立たせました。

そして、インストラクターはクラス全員に聞きました。「さあ、これはどんな状況に見える?」

全員が同じ答えを思いつきました。犯罪者の逮捕、或いは、捜査です。

インストラクターは立場を入れ替えさせ、黒人の警官を白人の後ろに立たせました。この時は、白人が両手をあげ、顔を壁に向け、黒人が銃を構える姿勢をしました。

「さあ、今度はどんな状況に見える?」

全員が同じ答えを思いつきましたが、誰もそれを声に出して言いたくはなかったのです。気まずい笑が部屋に満ちました。第二のシナリオは、路上強盗に見えたのです。

 

これは醜い先入観によって結論に至る危険を語っていました。(中略)

 

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ファーガソンでマイケル・ブラウンが警察官によって射殺された去年の8月以降、警察官が黒人アメリカ人を射殺する度にニュースとなって来ました。死者の名をあげるならば、ブラウン、ガーナ―、クロフォード、ライス、ハリス、スコット、グレイ、どこにでもいるようなアメリカの名前です。これらの事件は反発を招きました。ジョージア選出の黒人議員であるハンク・ジョンソン議員は、上院議会で「黒人アメリカ人男性の狩猟解禁シーズンが来たようだ」と発言しました。

 

何人かはこれらの事件をもって、『流行』という言葉でもって表現したり、『民族浄化』と比較をしました。

 

イランのアヤトヤ・コメイニは、ファーガソンについてツィートし、マイケル・ブラウンの両親は国連拷問禁止委員会に訴える為にスイスへ飛び、多くの人々はマイケル・ブラウンの死をきっかけに発生した運動を、偉大な道徳観の目覚めと捉えたのです。

 

活動家たちが何に反対するべきか決めるのは私の仕事ではありませんが、路上犯罪の現実に何年も向き合ってきた身としますと、『Black Lives Matter』の運動が、若い黒人男性が死に至る場合の、最も多いその死因を無視する理由が理解出来ません---それは、仲間の黒人男性による殺人です。

 

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2011年には『Centers for Disease Control and Prevention』が129件の、黒人男性が法の介入(警察官による正当的介入の事)によって殺された事を纏めました。

この数字は、どの様な事件が背景としてあったのか、或いは警察官の人種構成などを報告していないので、これで何か断定出来る事はありませんが、大体の数字はご理解頂けるでしょう。

 

対照的に、同年、6,739人の黒人男性が、仲間の黒人男性によって殺害されました。2001年以降、暴力犯罪の比率は劇的に減少しているにも拘わらず、9万人以上の黒人男性が別の黒人男性によって殺害されています。このスケールの致死率を考えるならば、『流行』と言うのは比喩以上の現実味を持ちます。毎年、黒人が黒人を殺害する犯罪が、911のテロでの犠牲者総数の二倍に膨らんでいるのです。

 

このような大規模の虐殺は、警察による不正行為を正当化するものではありませんが、警察の行ないの改革について語るには、まず知っておくべき事実です。

 

三月には司法省のエリック・ホルダー長官がファーガソンの事件での報告書を二種類提出しました。一つは、警察官であるダレン・ウィルソン巡査によって射殺されたマイケル・ブラウンの死の詳細であり、もう一つはファーガソンに於ける警察の行動のパターンです。

 

支持者は自分の信念によって、どちらか一方のレポートを重視する傾向があります。

 

ブラウンは、(二人組のうちで生き残った相棒が始め証言したように)降伏しようとしている時に、白人警察官に背後から撃たれたのではありません。道路を横断しようとして撃たれたのでもありません。彼は商店を襲い、ウィルソン警官の顔面を殴り、彼から拳銃を奪おうとしたのです。ブラウンの死を考えるなら、ファーガソン市は、(生き残った黒人の相棒の)嘘を信じた為に放火が絶えません。何故なら、未だに多くの人がその嘘を信じているからです。警察官2人が銃撃され、暴動は未だに続いているのです。

 

(オバマ大統領が司法省に命じて纏めさせた)もう一つのレポートは、ファーガソンが、ちょっと近所を運転している住人にとって、スピード違反を取締まる罠が多く仕掛けられている地域だと報告しています。縦横6マイル平方の、住人の殆どが黒人であり、殆どが貧困層であり、殆どが白人を占める50人の警察官が、白人の市役人の為に1ペニーでも多くの罰金を得ようと使命を帯びています。黒人は、罰金と、費用と、裁判所へ出頭できず逮捕をされたりして、生産的な生活をする事ができないと報告されています。

 

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この2種類の報告書のうちの、どちらを信じるでしょう?

それは優先順位のリストによるでしょう。ファーガソン警察による徹底した厳しい行ないは抑制され、何千もの逮捕状は諦められました。しかしながら、その後の多くの報告書によれば、状況に変化は無く、家などの不動産価値は半減しました。』

(後略)