「海外に住んでいる日本人」として日韓合意を考える

 

「海外に住んでいる日本人」としての立場を政治利用して、主張に正当性を持たせようとする人々がいらっしゃいますが、海外に住んでいることの何が特別であり得るかと言えば、移住先の(政治)事情に詳しくあり得るという点につきます。

 

ところがある意味当然の事ですが、移住先の政治事情には全く興味を持たず、主に日本から仕入れるニュースだけに夢中になる「海外の日本人」の方も勿論多くいらっしゃいます。

 

そうしたことは悪い事ではありませんが、「海外の日本人はこう言っている」という主張の殆どは、「日本に住む日本人はこう言っている」というのと同じくら い、本来あてにならないものです。

 

実際には、海外に住む日本人の意見にも色々な意見があるのですが、「海外に住んでいる日本人は、歴史問題の為に苦労をしている」…といった誤った見方が広められています。それどころか、「海外に住んでいる日本人は日韓合意の為に言われなき非難にを受けて苦しんでいる」といったものまであります。

 

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私も海外に住んでおりますし、慰安婦問題に関わって発言をしたこともあります。色々な州を旅行し、アメリカ人とも、日本人とも、これらの歴史問題について語ったりします。子供を公立学校に通わせておりますが、「海外の日本人が経験している」とされるイジメや嫌がらせなどを体験した事はなく、直接そのような体験をされた方を知りません。


アメリカの「慰安婦問題事情」を調べる為に日本からこられた方に「イジメや嫌がらせを体験した事は全くありません」と申し上げた事はありますが、こういう実体験は面白みが無いようで、記事にはされません。

 

日本人への嫌がらせが一般化しているような報道は、日本人こそ嫌がらせの犠牲者であると強調して、政治目的を果たそうとするものだと思われます。

 

これは嫌がらせの可能性が全く無いという意味ではありませんが、その嫌がらせが暴力的でない限り、大人であるなら「心のケア」は自分でするべきです。暴力であるなら、現地の司法当局に任せるべきです。子供がイジメられているとしたら、現地の学校に報告を行なって対処をする問題です。

 

いずれにせよ、外交問題となるべき問題ではありません。

 

さて、先程も申し上げた通り、「海外に住む日本人の有利な点」は、「移住先の政治事情を日本に住まわれる方々よりも詳しく知り得る」ことにつきます。この点を利用して、慰安婦問題に対する日韓の合意を見た場合、安倍首相と朴大統領が「慰安婦問題の解決」に向けて合意した事は、大きな快挙であると考えています。

 

私の書くものをお読みになる方は、私がオバマ政権やアメリカ民主党に対して厳しい見方をしている事をご存知でしょうが、もし本当に今回の合意の裏にアメリカの意向が大きく働いていたとしたら、その働きは日本人として感謝が出来る、オバマ大統領の数少ない功績の一つであると言えます。

 

私はアメリカの政治事情を少し詳しく見て参りましたし、そうする中で、日本にとって一番重要視するべき問題は、「歴史問題」ではなく「安全保障問題」であると確信しております。

 

私はどなたに対しても同じ事を強調したいと思いますが、北朝鮮や中国からの軍事脅威を真剣に考えるならば、韓国との連携はこれからもっと重要になります。

 

韓国の朴大統領が、中国と距離を置き、日米に接近する動きを見せてきた点は、歓迎すべき事です。更に緊密な日本との関係を結ぶ為に一番のしこりとなっている慰安婦問題を解決する事は、アジアの安定の為に不可欠です。

 

私は「安全保障問題」を無視して「慰安婦問題」だけを語る余裕はないと考えております。

 

合意を取り付けた安倍政権を批判し、政権打倒を叫ぶ権利は、勿論どなたにもありますが、無責任なナショナリズムだと言わざるを得ません。

 

「安倍政権打倒」だけでなく「民主主義との決別」を説いて「皇政復古」さえ叫ばれている方もいらっしゃいますが、こうした意見は既に「保守派」ですらありません。

 

本当に保守派であるならば、狂信的な「自称愛国者」による愛国心の競い合いに惑わされる事なく、現実を見据えた安倍首相の政治決断を評価するべきです。すぐには評価が出来なくても、静観する姿勢は大切です。

 

「愛国」「名誉」の名のもとに、安全保障を疎かにした集団心理に惑わされる事の代価は高すぎます。