2月13日、共和党討論会 トランプ氏の醜態 (1)

土曜日の夜に行なわれた共和党候補者の討論会で、ドナルド・トランプ氏の外交問題の無知や、彼の掲げる政策が根本的に民主党と同じであることが明らかとなり、彼が共和党から立候補していることが益々疑問に感じられました。

http://dailycaller.com/2016/02/13/fighting-back-audience-boos-trump-says-jeb-is-so-wrong-video/

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トランプ氏はCBSのジョン・ディッカーソン氏からの質問に答える形で、ブッシュ元大統領によるイラク戦争の決断について「ブッシュ大統領らは嘘をついた。彼らは大量破壊兵器があると言ったが、無かったではないか。彼らはそんなものが無いことを知っていながら、アメリカの兵士をイラクに送ったのだ」と発言し、「911の世界貿易センターの崩壊は、あなたのお兄さんの治世で起こった。その事実を忘れるべきではない。ブッシュ大統領は我々に安全をもたらさなかった」とブッシュ前大統領批判をし、ブッシュ前フロリダ州知事を攻撃しました。

トランプ氏はニューヨーカーとして、ニューヨーク・タイムズ紙による大量破壊兵器がイラクにおいて発見されていたという2014年の秋の報道をご存じないようです。http://www.nytimes.com/interactive/2014/10/14/world/middleeast/us-casualties-of-iraq-chemical-weapons.html?_r=0

イラクにおける化学兵器の発見は、大々的に報道される事はありませんでしたが、注意して報道を読んでいれば、大量破壊兵器があると主張したブッシュ大統領が正しかった事がわかります。

トランプ氏による前大統領への侮辱に対して、ブッシュ前大統領の弟のジェブ・ブッシュ候補が、何か月も馬鹿にされてきた鬱憤を込めて、「ドナルド・トランプ氏がリアリティ―番組作りに勤しんでいた頃、兄は我々の安全の為に戦いに勤しんでいた」と反撃をしました。

911テロの責任をブッシュ前大統領に嫁せるトランプ氏の論理には、マルコ・ルビオ議員も「世界貿易センターが崩壊された時、我々が戴いていたのがブッシュ大統領であった事は、不幸中の幸いだった」とブッシュ兄弟の援護にまわっています。

それはそうとトランプ氏は、自らの掲げる「ロシアにISISを制圧させる」という『対テロ政策』を、ブッシュ・フロリダ州知事に批判された事を以て、「ジェブ・ブッシュは嘘をついている。ロビィストに言われて、彼らの利益の為に語っているのだ」とジェブ・ブッシュ批判を繰り返しましたが、ジェブ・ブッシュ候補の「ロシアによってISISを制圧するという案は非現実的だ」という非難の何が『嘘』であるのか、トランプ氏の説明を聞いてもハッキリしません。

トランプ氏の主張は、「アメリカが強く在る為には中東問題に介入するよりも、国内投資をするべきだ」というもので、国内投資の是非はともかく、それが対テロ政策や安全保障にどう関係するのかが説明されていません。

アメリカがISIS制圧の為に軍事介入をせず、国内投資をしていれば国の安全が保証されるなら、そもそも何故9・11のテロが起こったのでしょう。9・11テロ以前のアメリカは、イスラエルを支援していた以外に、中東の紛争には殆ど関わっていませんでした。

トランプ氏の論理で言えば、今日のアメリカの安全保障はロシアが担っている事になりますが、この程度の外交や安全保障についての理解で、よくも指名選に立候補をしたものだと呆れます。

政治評論家のチャールズ・クラウサマー氏は、「最も高度な討論を行う場が、バラエティー番組となってしまった」と痛切に皮肉を込めて批判をしています。

本来、オバマ政権による7年の失敗と、腐敗しきった候補者や全体主義・社会主義者しか候補者を出せなかった民主党を相手に、共和党は国を立て直す為に躍進をする筈でした。

それがこのように票が割れてしまっている責任は、挑発や侮辱を繰り返す7歳児のような不動産王と、「聞きたい事を言ってくれる、強そうな候補者」のマジックを信じてしまう、7年前のオバマ大統領を当選させたメンタリティーと同じメンタリティーを共有する有権者にあります。

このような民主主義の欠点を考えると、トーマス・ソーウェル博士の、「アメリカが抱える大きな諸問題が何であるかを理解していない有権者は、国を愛しているなら尚更、投票をしないでくれ」という言葉が説得力を持ちます。